2010/04/06

1尾張温泉 
単純泉 50.3度 総計623mg 分析表4枚あり、大湯量掛け流し

名古屋近郊にある温泉。川の両側に温泉施設とホテルが建ち、大きな橋で繋いでいる外観である。長島を初め、飛島、永和、木曾岬など名古屋の四日市寄りには温泉が数々湧出して温泉郷とも言える地域である。この尾張温泉は4本の源泉を持ち湯量豊富で千人風呂のような大きな内湯にふんだんに湯を使っている。大きな岩風呂で床に湯が流れていて掛け流しなのがすぐ分かった。1.2.4号泉の混合で50.3度で総計623mgの立派な温泉である。3号泉は50.7度で総計727mgである。食塩重曹系の単純泉である。新鮮なため匂いが良く残り好感した。湯は仄かな緑色で無味ながら弱い苦味が残り、新鮮な香ばしい湯の香がある。露天風呂は小さく湯量も少ないので、ここは内湯がベターであった。

2永和温泉 みそぎの湯 
重曹食塩泉 48.5度 総計1291mg 透明、少エグ味、微たまご味、無臭 
コンクリート3連浴槽 ボロ鄙び強烈 

入り口に白衣のマネキンと宗教的な祭壇がある温泉施設。奥に浴室があるが古い造りのままで鄙びている。というよりボロさが際立っている。至るところに貼り紙や注意書きがあるのもこういったボロイ施設特有である。屋根と壁は塩ビ波板が1枚張ってあるのみで、所々に隙間があり、雨の日は雨漏りがするであろうが、気にしていない。簡素なコンクリートの3連浴槽で高、中、低温浴槽に分かれている。48.5度の重曹食塩泉(Na-Cl,HCO3)で総計1291mgで湧出量は毎分1300リットルにもなる。永和温泉の源泉からの引き湯である。透明、少エグ味、微たまご味、無臭で味覚に湯の表情が出ている。重曹食塩のエグ味と硫黄分のたまご味を感知できた。弱いながら一つの浴槽に掛け流しにしており、順に中温、低温浴槽に流れるようになっている。しかし湯よりも温泉施設の存在感と宗教的な雰囲気があまりにも強烈で、全国的に見ても珍湯の一つであろう。


3片岡温泉 
アルカリ性単純泉 43.6度 透明、無味、かつおぶし臭 
ややつるつる 掛け流し 

湯ノ山温泉の下にある一軒宿の日帰り温泉施設。コンクリート造の2階建てで43.6度のアルカリ性単純泉が毎分530リットル湧出している。pH8.5で総計497.5mgである。加温もしていないで掛け流しで使われ素晴らしい。透明、無味、かつおぶし臭と観察した。重曹系の単純泉のため弱いつるつるのある温泉である。露天風呂のほうが掛け流しが多く、周囲の床に湯が溢れて流れている。しかし内湯ではそっと湯を入れているので、湯口では少しながら身体に泡付きが見られた。匂いが新鮮さを物語っている良い温泉である。

2010/04/03

1 鷲倉温泉  (再訪)  80
  裏が噴気地帯、男女とも内湯、大掛け流し H2S 9.3 
  単純硫黄泉 離れの岩根の湯は酸性明礬緑礬泉 43.4度
  透明、渋酸味、微金気臭 

国道沿いの土湯峠温泉郷で峠に一番近いところにある温泉。裏山がガレ場になっており、噴気が立ち昇っている。新築の和風宿になっており、以前訪問時より改築されていた。内湯は細長い浴槽で白濁した湯が掛け流しにされていた。石造りの小さな露天風呂も付いておりこちらも弱く掛け流しになっている。弱硫黄泉である。別に貸切の露天風呂があり、山側に面していて、噴気の源泉地帯が眺められる。四角い木製の浴槽で浴槽の縁から掛け流しの温泉が流れ良い風情である。こちらに入浴した。71.2度の単純硫黄泉で総計213mgの清澄なものであるが、硫化水素(H2S)を9.3mg含有し白濁した存在感のある湯になっていた。白濁、たまご味、湯口硫黄臭であった。この温泉には酸性含鉄明礬泉もある。以前は半地下のような浴室であったが、今回は別棟に木造の瀟洒な共同湯のような造りの棟が建っており、そちらが明礬泉である。岩根の湯と命名されていて、大きく書かれていた。小さな脱衣場に露天風呂の付いた簡素なもので、透明、弱酸味、微金気臭の湯が入れられていた。43.4度の酸性含鉄明礬泉(H、Fe-Al―SO4)で水素イオンを2.0mg含有されており、PH2.74になっている。適度に掛け流しにされている。総計1032mgでほぼ純な緑礬明礬泉である。浴槽は金属分で真っ赤に染まっている。湯は透明であるが鉄分の析出物が微量にあるのであろう。個性的な源泉であった。

 

2 新野地温泉 相模屋 (再訪) 80
  平成元年に新築 古い木造のときに行った時が最初 
  浴槽部分は変わっていない。 造成泉 H2S 17.4 PH 6.3

土湯峠温泉郷で鷲倉温泉の下にある温泉。以前訪問した時は古い木造であったが平成になって新築された。しかし内湯と露天風呂は昔のままの古い木造で、共同湯のような簡素な造りだ。外観は茶色に煮絞めたような色に染まっている小さな小屋で、柱や壁が湾曲し古さを物語っていた。露天風呂は木の歩道が造られており手摺も木で雰囲気がある。すぐ横に噴気が出ている。木の枝をたくさん立て掛けて目隠しにした露天風呂は野趣に富んでいる。白濁した硫黄泉で箱根大涌谷などと同じ造成泉である。しかし湯の表現は硫黄分が良く出ており、白濁、少たまご味+酸味、硫黄臭であった。PH6.3で硫化水素(H2S)は17.4mgである。
3 野地温泉 野地温泉ホテル  80
  造成泉 千寿の湯が造りが良い、鬼面の湯は昔のまま 
  すべて同じ源泉 H2S 18.3 白濁、硫黄甘苦味、硫黄臭あり

野地温泉は上の新野地温泉と同じく噴気造成泉であるが同じく白濁した存在感のある硫黄泉である。44.1度の単純硫黄泉でPH 5.8 総計80.5mgの造成泉特有の成分の薄さである。しかし硫化水素(H2S)を18.3mg含有し白濁した湯になっている。味覚も硫黄苦甘味がある。そして特有の硫黄臭である。内湯の圧巻は千寿の湯で改築されていたが天井の高い立派な木造で3連の浴槽の奥側に源泉を入れ、中央、手前と湯が流れる方式で湯口は熱め、中央は適温、手前がヌル湯になっている。やや黄白濁するほどの白濁の濃さで硫黄分が良く発揮されている。露天風呂は鬼面の湯で以前から変わっていなかった。床が白く染まり硫黄華の析出物が付いている。ほかに御影石の内湯もある。綺麗な宿になっているが、廊下に昭和26年頃の古い宿の写真が掲示されており、鄙びた湯治場のようで風情があった。

1 沼尻温泉 田村屋 (再訪)  75
  71.8度 酸性明礬塩化土類石膏泉(H-CaAl-SO4,Cl)
  なぜか硫黄分が抜けており、透明、酸味、無臭である。
  昔は薄白濁していた記憶 

沼尻元湯に明治19年より大正9年まで営業していた温泉宿。以来スキー場の下に移転して沼尻元湯から引き湯で営業されている。以前入浴した時には白濁した明礬泉であったが今回は透明でやや温泉の雰囲気が欠けた。酸性は同じく強いのであるが硫黄分の感触がほとんど無く、純な酸性泉、または明礬泉といった感じであった。泉質はH-Ca,Al-SO4.Clで酸性塩化土類明礬石膏泉である。PH1.9で71.8度、総計3002mgの温泉である。これは沼尻元湯の分析であろう。成分はH15.0mg Ca 264mg Al 90.2mg Fe 23.8mg Cl 377.6mg HSO4 433.6mg SO4 1465mg H2SO4(硫酸)13.8mg という内容である。硫黄分が抜けているのが不思議である。その通り透明、酸味、無臭で硫黄臭はなかった。元湯の川では石に多量の硫黄が析出しており、真っ白な石になっていたが、分析表では硫黄分の数値はゼロであった。

2 横向温泉 中の湯温泉旅館 (3回目) 80
  透明、渋鉄苦味、加温、金気臭 41度の単純泉ながら
  存在感はある。昔の浴槽は縁が上がっていたが、このたびは
  埋めこみ式であった。23年ほど前に宿泊 

久しぶりに再訪したが、建築は昔通りで健在であった。ここはヌル湯で以前訪問した時には、寒くてなかなか上がれなかった記憶である。今回は少し改修されており、すぐ横に加熱浴槽があったのでそちらで暖まることが出来た。最初の訪問は、そうとう昔で宿の女将に聞いても記憶が薄くなっているほどで、以前は中央に混浴のヌル湯1つのみであった。20年以上昔である。そこに源泉がただ掛け流されているだけであった。冬に宿泊すると、部屋の室温で零下の気温であった。すきま風が多く、ほぼ外気温と同じである。廊下にある手洗いは厚さ30センチ以上の氷の塊になっており、凄い宿泊施設だなあと思った。数人で宿泊したので自炊でキムチ鍋を作り、暖かくなったが、あまりに寒いのでコタツの中で寝た。緑白濁した温泉がパイプから直接湯船に注がれていたが、今回は2つに分かれた浴槽に源泉と加熱湯が注がれる方式になっていた。湯も清澄なもので透明、渋鉄苦味、金気臭となっていて緑白濁していなかった。横向温泉では隣の滝川屋では濁っているが、こちらは透明になっていた。しかし長年の常連客が多く、今回は満員状態で、小さな浴槽に7人で盛況であった。ヌル湯に長湯して、加熱湯で時々暖まるのであろう。41度の単純泉で総計は1149mgである溶存が781mgなので単純泉である。鉄分を7.8mg 含有する土類重曹系である。古いままの療養泉の宿が健在なのは嬉しかった。しかし昔の37度くらいの源泉そのまま掛け流しのころが懐かしく感じた。
3 幕川温泉 水戸屋旅館 (再訪)  85
  単純硫黄泉 84度 総計1397 溶存 928 HS 0.1 H2S 0.1
  硫黄分抜けた後の分析表であろう。白濁、たまご味、硫黄臭多目 
  渓流露天風呂は特に硫黄分が濃い 

土湯峠には温泉が密集しており温泉郷を形成している。独自源泉の宿が点在しており楽しい温泉巡りが出来る。この地域にも10年以上後無沙汰で最初に訪問した時は新野地温泉は旧館の木造のままであった。幕川温泉は深い山奥にあって、土湯峠の温泉郷でも山の奥に位置する。標高1300mで福島県一の高さである。近く幕滝から幕川温泉と名付けられた。分析表では84度の単純泉であるが5号泉の分析で、ほかの源泉は硫黄泉だと思われる。内湯は白濁し奇麗に掛け流しされている。木枠の浴槽でタイルの床に薄く湯が流れていた。露天風呂や小さな内湯岩風呂にも同じく白濁した湯が掛け流されている。この宿で記憶にあるのは屋上の露天風呂で、今回も行ってみたが樹齢800年の桧を刳り貫いた円形の2連浴槽で周囲の紅葉の色づいた景色と白い湯が印象的であった。離れにある露天風呂が秀逸で行ってみるべきである。ここはさらに白濁が濃かった。こちらは完全な硫黄泉で15から20mgの硫化水素含有量はあるであろう。真っ白(15センチ)、少酸味+たまご味、硫黄臭多目である。すぐ横に源泉があり湧出しているのが分かる。渓流露天風呂「さえりの湯」と称する。良い温泉であった。

4 幕川温泉 吉倉屋 (再訪) 80
  昔の分析表ではHS 3.3 露天風呂5号泉 白濁 
  内湯 1号泉 透明、 

幕川温泉は土湯峠から細い道を10分ほど行く秘湯である。2軒の宿があり、この吉倉屋と水戸屋である。白い外壁の木造2階の宿で長く連なり24室である。露天風呂の分析表は同じく幕川5号泉である。HS0.1mg H2S 0.1mgと硫黄分はほとんど含有していない分析になっているが、こちらも水戸屋と同じく濃く白濁していた。露天風呂が白濁しており真っ白である。しかし内湯は透明で不思議である。内湯は1号泉の分析である。岩組の露天風呂と総桧の内湯でそれぞれ違うような泉質で良かった。昔の分析表に拠るとHS3.3mgというのがあったが、現状でももっと多量に硫黄分を含有していると思われる。硫黄分は分析機関まで行く時間で飛散してしまうと思われる。いずれにしろ幕川温泉は白濁した立派な硫黄泉であった。

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