2012/11/17

1指宿温泉 弥次ヶ湯温泉

指宿に久しぶりに来た。「日本全国マル秘湯」という単行本以来だから、約10年ぶりである。



指宿は町中に小さな共同湯があり、古い造りで風情がある。弥次ヶ湯温泉はレトロな建築で四角い浴槽が2つあり、床が赤褐色に染まり風情がある。分析表がないので4~5グラムの食塩泉であろうと推測した。



透明ささ濁り、塩味、少金気臭ありと観察した。コンクリートの浴槽であるが底に木が敷いてある。建築は10年前と一切変わらず古い意匠のものでこのまま残してもらいたいものである。



2指宿温泉 村の湯温泉

弥次ヶ湯温泉の近くにある、足元湧出の共同湯である。2つの浴槽が並んでおり、ともに足元が源泉で自噴している。



以前は劇熱で数秒も入れなかったが、今回は適温になっていた。小屋組みの露出したひなびた浴室でささ濁り透明、塩味、無臭である。



総計はちょうど良いだし汁のようで8グラム前後と思われる。外観のペンキだけ塗り替えたがその他は以前のままでこの、古い温泉を末永く守ってもらいたい。



3山川温泉 ヘルシーランド露天風呂

山川港の先の台地には温熱地帯があり、海岸には温泉が自噴して天然足元湧出砂蒸し温泉になっている。



その台地は開聞岳と近くの屹立した岩峰が眺められ海の景観と合わさって非常な絶景である。湯は総計28,510㎎の食塩泉で温度は100度である。



大きな眺めの良い露天風呂が一つで潔い温泉施設である。加水、循環なのであろう、透明、少塩味、無臭と源泉よりも薄くなっている。



大隅半島も眺められ美しい。100度の源泉をうまく冷まして小さくてもよいので源泉掛け流しの浴槽を造ってほしい施設であった。しかし景観は国内に誇るほどの絶景である。



4古里温泉 桜島シーサイドホテル

鹿児島の桜島フェリーに乗って、桜島に渡った。古里温泉は有名な混浴風呂のある温泉ホテルではなく、内湯と絶景の高台にある露天風呂があるシーサイドホテルにて入浴した。



46.8度の食塩泉で総計4126㎎である。鉄分の成分が良く出ており、黄緑色に濁り、塩エグ味+微炭酸味、少金気臭である。



掛け流しの四角いタイルの内湯に色の付いた源泉が掛け流しになり、露天風呂は一面の海の眺望が美しい。Fe 5.9㎎、CO2 395㎎である。



5まさかり温泉 TM温泉牧場

日本で有数の析出物の多い温泉。ほかに考えると北海道の二股ラジウム温泉や島根の木部谷温泉、入の波温泉、山鳩湯くらいしか思いつかない。



とにかく炭酸を含んだカルシウムが炭酸カルシウムとなって析出し、湯口や浴槽の縁に付着する。以前来た時にあった露天風呂は析出物で埋まりなくなっていた。



内湯もあったが配管が詰まり、無くなっているので露天風呂風の内湯の半分になった浴槽に源泉が入れられていた。



土類重層泉(NaCa-HCO3)で総計4207㎎である。炭酸分は836.9㎎で1000㎎には及んでいないので含炭酸という名は付かない。しかし41.8度というやや高めの温度が炭酸を良く残している。



湧出口からは間欠的に炭酸とともに湯が湧出している。析出物はかなり削られているが縁に20センチほど付いている。湯は茶褐色で白い湯の華は浮遊している。これは炭酸カルシウムであろう。味覚は炭酸エグ味で炭酸の少刺激臭がある。日本の珍温泉として屈指の温泉であろう。



6海潟温泉 江の島共同湯

海潟温泉の江の島共同湯は古い造りで入浴料も150円と格安である。しかし湯が良く、新鮮で中央に1つだけの浴槽に掛け流しされており、良い温泉である。



46.8度の単純温泉で総計510㎎という清澄なものであるが、HS 1.6㎎ S2O3 0.7㎎を含み硫黄臭とたまご味がはっきりわかる。

 


またCO3(炭酸イオン)を30㎎含有し主成分になっている。そのため、つるつるした感触の良い湯である。以前に行ったときには中央の浴槽から床一面にきれいに薄く掛け流しになっていて感動したことがある。良い温泉の見本である。



 

2012/11/11

1人吉温泉郷 華まき温泉

人吉はモール泉があり黒い湯に入れるが、ここ華まき温泉は黒い湯ではなく透明である。純重曹泉で34.1度という温泉である。



国内屈指の個性派の源泉で泡付きが非常に多く源泉掛け流し浴槽では身体中が真っ白になる。今回は貸切風呂で非加熱掛け流しの「岳の湯」に入浴した。



総計1558mgで湯の個性は少ないがとにかく泡付きが凄い、これは炭酸ではなく湯中に溶け込んでいた気体で酸素や窒素という普通の大気であろう。透明、少エグ味、無臭と観察した。



2人吉旅館

人吉旅館は以前に宿泊して雰囲気の良い宿だなあと思っていたら、このたび国指定有形文化財になるようである。やはりそうであったかと思った。玄関口には天井に梁が露出し古民家のようである。



客室は正統派の書院造で派手さはないが質実である。食塩重曹泉(Na-HCO3,Cl)で54.6度、総計2247mgである。



以前は黒湯であったが今回はほとんど黒くなく、淡い褐色であった。エグ味に少たまご味が残り、モール臭があった。



つるつるの湯で入浴感は良い。浴槽の中に椅子があって腰掛けて入浴するという変わった趣向である。少ないながら新鮮なために少泡付きがある。良い温泉であった。



3人吉温泉 新温泉共同湯

創建当時からの建築が残る新温泉は貴重である。ここも鶴亀温泉などとともに有形文化財物であろう。古びた木造の共同湯で青いペンキの屋根である。



白木の脱衣場であるが古色を帯びていて茶色になっている。看板類が古く古物商のようである。



単純温泉の総計490mgでモール泉である。薄黒褐色、少たまご味、モール臭ありと記録した。広い内湯の空間の両脇に浴槽があり石造りである、一つはかなり浅い。不思議な温泉である。



4白木川内温泉

足元湧出の温泉で岩肌が露出しておりその中から涌いている。この濃い緑色の岩肌が野趣に富んでおり国内でも屈指の素晴らしい温泉である。



湯の個性が良い、上の湯と下の湯があり上はHS 5.6mg CO3 49mgで下の湯はHS 14.7mg CO3 33mgである。微妙な差であるがこの2つの成分が非常に良い感触となっている。



透明、たまご味、硫黄臭である。つるつるの感触もあり極上の泉質である。それが足元から湧出しているのでこれ以上の良い温泉は考えられないほどである。貴重な温泉遺産として大事に守ってもらいたい温泉である。



5湯川内温泉 かじか荘

日本を代表する足元湧出温泉の一つと言って決して間違いない名湯である。上下に2つの浴槽がありともに足元湧出である。



湯が透明で綺麗に澄み渡っている。上の湯は大きな岩が足元にあり、その周囲が砂利や砂敷きになっていてそこから湧出する。下の湯も砂利敷きの中から湧出する。



総計153mgの極めて清澄な源泉であるがHS 3.3mg S2O3 2.0mgで単純硫黄泉である。CO3を32.9mg含有しており陰イオンの主成分になっている。つまり炭酸ナトリウム系の単純温泉である。そのため透明、たまご味、硫黄臭で成分総量にしては絶大な存在感の良い湯である。



つるつるもほかの成分が少ないので非常に強く感じられる。つるつるやや強しと記入した。宿は木造の古い宿で左側が湯治棟で宿泊棟は玄関のある右側の棟である。ここの湯に入り足元からの湧出する湯の流れに身を任し、のんびり入浴していると夢想の境地になる。温度も30度台でヌル湯である。天然記念物にしたい温泉である。



 

6紫尾温泉 しび荘

紫尾温泉はこんなに良かったか。と思わせてくれた宿である。以前、神社の横にある古い共同湯に入り、その後新築されてからも入ったが、今回はしび荘に入浴した。総計373mgの単純硫黄泉でHS 12.2mg S2O3 1.0mg の含有量である。



HS系の硫黄泉特有の緑色透明になり素晴らしい源泉である。たまご味に硫黄臭はやや強めにある。そしてCO3が51.6mg(36%)で多量に含有されていてここも「つるつるやや強し」である。



掛け流しで使われており良い。楕円形の浴槽と壁際に四角い浴槽もある。露天風呂は一度外に出てから入浴する方式である。単純硫黄泉の代表とも言える立派な温泉であった。



7吹上温泉 みどり荘 宿泊

吹上温泉は黒い硫化鉄が湧出する温泉として珍しい。これは町営源泉が持つもので、みどり荘でも内湯が町営源泉を使っており、黒く濁っていた。



露天風呂が池の周囲に2か所あるがどちらも独自源泉で透明、無たまご味、硫黄臭である。



みどり荘はみどり池に面した敷地に点々と離れが点在する瀟洒な宿である。10年近くぶりに再訪した。



いぜんのまま内湯は町営源泉と独自源泉の混合泉で黒色(8センチ)焦げたまご味、硫黄臭は弱い。総計297㎎でHS16.44㎎という含有である。PHも9.0でつるつるの感触もある良い湯である。



 



 

2012/11/01

1霧島温泉  湯之谷温泉

九州温泉道という企画があり、主に私が選定した温泉施設や宿のうち88か所に入浴すると泉人になれるというものである。今回鹿児島を中心に廻った。湯之谷温泉は霧島の中心地、丸尾から少々山に入ってゆくと丸尾の滝があり、そこをすぎてすぐの温泉宿である。丸尾の滝は温泉成分が含有されていてやや白濁している。温度もヌルいそうだ。



湯之谷温泉は何度目かの訪問であるが変わらずに存在していた。木造の内湯に2つの源泉が注がれており、一つはヌル湯で炭酸泉と呼ばれている。ただし1000mgには達していないので正確には炭酸泉ではない。しかし炭酸味を感じる源泉である。



これが小さな浴槽に注がれており、大きな浴槽は44.1度の単純硫黄泉である。総計985mgでHS 0.2mg H2S 10.8mg S2O3 0.3mgの含有量である。この熱い浴槽は白濁し、少炭酸味、硫黄臭である。



ヌル湯のほうは透明白湯の華浮遊、少炭酸味、微硫黄臭であった。このヌル湯と熱い湯の混合浴槽が中央にあった。ここが適温である。露天風呂は離れにあり昔は入浴出来たが、今回は宿泊者専用になっていた。小さな岩造りの浴槽である。



2霧島硫黄谷温泉 霧島ホテル

霧島ではいわさきホテルと並ぶ大きな宿で、緑渓湯苑などとも並ぶ大湯量の温泉宿である。大きな千人風呂の内湯浴槽があり深くかつ広いので50メートルプールのような大内湯が名物である。久しぶりに訪問した。



その大浴槽の周囲にも小さな浴槽がいくつかあって、これらは鉄泉、明礬泉、塩類泉、硫黄泉と4つに分かれている。しかし違いは湯が透明か、白濁かの違いで便宜上の泉質名の違いにしているが分析表が4枚あるわけではない。



代表的な一番大きな浴槽の湯は薄白濁、少明礬味、少硫黄臭であった。奥に行くと内湯を出て露天風呂になるがここの湯が明礬味が濃く、色も白濁しもっとも成分が多いと感じた。



塩類泉は透明、無味、無臭であまり存在感はない。昔は別棟に明礬泉、硫黄泉、鉄泉の3つの浴槽が並んだ温泉があったが現在はなくなってしまった。とにかく大きな内湯で国内でも屈指の千人風呂といえるであろう。



3湯穴温泉

宮崎県に入って都城に向かう途中にある個性的な鉱泉の入浴施設。炭酸を充分に含有し、CO2 677.9mgで炭酸泉に近い。温度が22.5度しかないのでCa-HCO3冷鉱泉である。総計2723mgでカルシウムが370mgも入っているので炭酸カルシウムとなって析出し、浴槽の縁は析出物でいっぱいである。九州温泉道には私が推薦した。



湯の存在感も大きく茶褐色に濁り、炭酸鉄味、弱金気臭であった。湯面近くは析出物が迫り出し庇のようになっている。個性的温泉の一つである。



湯の色、味、匂いも変わっており、良い泉質であった。源泉に触れられるのが良い、よく加熱の温泉は源泉に触れられないで循環していることが多いが、ここは湯口のカランが自在で温泉の感触を楽しめるのが良い。たくさん投入すれば加熱掛け流しである。このような鉱泉の使い方がベターである。



4湯之元温泉

霧島の東側の山麓は宮崎県の高原町になっており、日本有数の炭酸泉湧出地域である。近くに極楽温泉、血捨の木(東霧島温泉)、皇子原温泉などの炭酸泉または炭酸含有泉がある。温泉がたいへん良い使い方になっていた。



この湯之元温泉は21.6度の含炭酸重炭酸土類泉(CO2-Mg、Na、Ca-HCO3)で炭酸の含有量は1314mgである。使い方が素晴らしい。源泉のままの高濃度炭酸泉と少加熱の中濃度炭酸泉と加熱した赤い浴槽の3ヶ所があり、炭酸の温度による含有量が入浴することによって分かるというものである。



まず高濃度浴槽に入ると炭酸清涼感が体感できる。そしてものすごい量の気泡が身体中に付着する。味は炭酸えぐ味である。匂いは炭酸の刺激臭がする。弱く加熱した中濃度炭酸泉も気泡が付き、ややヌルメの浴槽である。



加熱した浴槽は鉄分の含有が5.3mgあるので赤く濁り、炭酸味も弱くなっているに従い、鉄渋味が出てくる。匂いも金気臭である。炭酸泉の劣化の状況が分かる日本唯一の温泉であろう。



庭には以前から変わらずに飲泉場がありここでペットボトルに源泉を汲むことも出来る。宮崎の誇る炭酸泉の名湯といって間違いないであろう。



5サンヨーフラワー温泉

私が以前出版した「日本全国マル秘湯」という本で紹介した温泉。温度がありながら、炭酸分を含有しているので入浴すると少し熱く感じるという、炭酸清涼感がある。



露天風呂が掛け流しで良い。浴槽の縁は赤く染まりこの温泉の存在感がある。湯は46.1度の重炭酸土類泉(Ca、Na,Mg-HCO3)で総計3330mgとなかなか多い含有量である。



46.1度の温度ながら炭酸を647mg含有しており、長湯などよりも炭酸泉という感触がある。特記するべき際立った個性はその匂いであろう。



香ばしい匂いがして炭酸刺激臭ではない。どちらかというと掘削直後のノッチタンク入浴のような香ばしい香りである。湯口から香っている。芳香である。



6神の郷温泉

以前違う名前だったときに訪問した温泉。以前は紀の島温泉と言った。温度のある土類重曹泉(Na、Mg、Ca-HCO3)が湧出しており毎分2000リットルを誇っている。



そのため男女とも内湯、露天風呂ともに豪快な掛け流しである。ここも炭酸分を充分に含んでおり、入浴したときに熱く感じる体感清涼感を感じることができる。湯がたいへんフレッシュである。析出物も浴槽の縁に付いており雰囲気は良い。



透明、炭酸味、少香ばしい香りと観察した。宿泊者専用温泉や部屋付き露天風呂も掛け流しで良い温泉である。




7妙見温泉 おりはし旅館 宿泊

おりはし旅館の旧館の2階の風情が良く、ここに泊まりたいなあ、とかねてから思っていた。このたびまさに2階の角部屋に宿泊できた。欄間の透かし彫りが素敵である。2面が窓で廊下が廻っており古い造りで私の好みの部屋である。



デザイナー系や新築おこもり系の宿などより私はこのような昔ながらの客室に感動する。湯は妙見同系の土類重曹泉(Na、Mg,Ca-HCO3)で46.9度である。総計は2211mgと比較的少ないが湯の存在感はある。





薄緑褐色で炭酸の痕跡のある味覚で、少エグ味もある。匂いは土類臭であろう。内湯は4分の1円形の浴槽に掛け流しされている。

内湯

露天風呂は庭園風岩組である。離れにキズ湯という浴舎があり入りに行った。33度のヌル湯でキズを治すのであろう。また51度の源泉も引かれているので熱い湯にも入れる。

キズ湯

 

 



 

 

 

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