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関東
2012/01/09 関東 

東京、横浜の温泉センター6か所

1 宮前平温泉 湯けむりの庄  
食塩重曹泉 3.8グラム 37.6度 
掛け流し浴槽1ヶ所あり
人工炭酸風呂も源泉利用、つるつるの湯

 

 
宮前平の駅近くの高台に出来た温泉。和風平屋の温泉センターで数多くの同様な施設が出来て廻るのもたいへんである。1500mの掘削で37.6度の食塩重曹泉(Na-HCO3,Cl)が毎分350リットル湧出している。

 

総計は3823mgで重曹分の濃い温泉である。炭酸イオン(CO3)を8.7mg含有しつるつるの湯になっていた。黒褐色、透明度12センチ、塩エグ味、モール臭(循環風呂はわら臭)で源泉掛け流し風呂の匂いが良かった。

 

いわゆる黒湯系で循環の風呂は内湯に1つ露天風呂1つ、壷風呂4つ、寝湯などにあるが人工炭酸泉にも源泉が使われていた。弱いが気泡が付着した。源泉掛け流し浴槽は1つのみありここも多くの温泉センターと同じく1つだけ掛け流し浴槽を造る最近の例と同じである。

 

2 港北温泉 スパガーディッシュ 
食塩泉 10870mg 42.5度
内湯に源泉掛け流し風呂あり
赤褐色濁り 露天風呂は循環

 

 
港北ニュータウンのセンター北近くにある温泉センター。ゲームセンターやショッピングプラザなどが入る、大きなアミューズメントビルの3階、4階にある。1503mの掘削で42.5度の食塩泉が毎分200リットル湧出している。総計10870mgの高張性の温泉である。

 

源泉掛け流しの内湯があるが加熱、殺菌を掛け流ししている。露天風呂は循環であった。湯は赤褐色濁りで透明度50センチ、塩甘味、源泉湯口で臭素臭があった。温度がやや低くなっても非加熱、無殺菌の源泉掛け流しをして欲しかった。

 

3十里木長岳温泉 瀬音の湯 

あきる野市の最も奥、桧原村に入る手前、秋川渓谷に入ったところに出来た日帰り温泉施設。コテージも10室あり朝食のみ付きの宿泊もできる。木造の曲線の平面の瀟洒な建築で渓流に沿って疎林の中に建っている。都内ではあるが市街地の温泉ではなく山の中の温泉で自然に囲まれよい景色である。

 

関東平野から山地に入ると黒湯や褐色の強食塩泉は姿を消しアルカリ性単純泉になる。総計450mgのアルカリ性単純泉でPH10.1と強いアルカリ性である。1500mもの深い掘削であるが、温度は27.2度と低い。

 

大きな内湯と石組の露天風呂があり内湯は加熱掛け流しで、露天風呂は循環である。特記成分はOH 2.1mg HS 0.8mg CO3 67.2mgである。透明、甘味+少たまご味、硫黄臭ありと観察した。内湯は大きな浴槽で2箇所から加熱源泉が入れられている。

 

その湯口は新鮮であるが湯量が少なく浴槽はやや新鮮味に欠けた。しかし源泉は匂いと味覚に個性があり良い源泉に触れることができるので善しとしたい。そしてCO3 67.2mg(28.5%)と多量に含有されつるつる強しの体感になっていた。露天風呂は循環で殺菌臭が分かり残念であった。

 

 

4河辺温泉 梅の湯 
青梅線の河辺駅前にデッキで繋がったビルの5階6階に造られた温泉施設。駅の改札から徒歩100mほどである。大きな百貨店のようなビルの上部に造られ露天風呂が屋上の一部である。5階が受付、食事処、リラクゼーションサロンなどがあり6階が温泉施設である。

 

11種類もの浴槽があるが内湯に源泉オーバーフロー循環の浴槽が1ヶ所、露天風呂に小さな源泉掛け流し浴槽1ヶ所のみで温泉を使っており、その他は白湯である。

 

28.3度のアルカリ性単純泉でPH 9.48の温泉である。総計680mg 28.3度で湧出している。1352mの掘削である。瀬音の湯と同じく深い源泉であるが温度のないアルカリ性の高い単純泉が湧出している。この源泉は素晴らしかった。

 

弱く白濁し、露天風呂のひのき浴槽は源泉掛け流しで薄墨色になっている。色が個性的であった。薄灰色濁り(60センチ)、少甘味、無臭と記録した。内湯は循環併用ながら薄く白濁して個性的である。

 

さらにこの温泉の特記することはつるつるが猛烈に強く「つるつるたいへん強し」である。何度も転倒しそうになった。一部の重曹泉を除き、アルカリ性単純泉の中ではCO3が国内でも屈指の90.1mg(31.9%)と多量に含有されており、強く記憶に残った。

 成分が純重曹系で硼酸イオンも28.6mgと多かった。湧出量は毎分70リットルと少ないが一つだけ掛け流し源泉浴槽を造るという勇断が非常に良い結果となっている。このような温泉センターの造りを見本にしてほしいと思った。

 

5戸越銀座温泉 中の湯  
都内の戸越銀座の商店街に出来た銭湯の温泉。しかし規模が大きくスーパー銭湯と一般の銭湯の中間である。メガ銭湯なる言い方もできる。新築の3階建てで、屋上に露天風呂を造ってある。

 

陽の湯と月の湯に分かれており日替わりで男女を入れ替える。今回は陽の湯が男風呂で内湯が白湯で露天風呂が黒湯温泉であった。月の湯は内湯が黒湯で露天風呂が白湯であるらしい。1階は食事処で2階に内湯がある電気風呂やサウナ、ジェットバスなどの内湯は白湯で、階段を上がり3階の屋上に石貼りの円形露天風呂が黒湯である。

 

総計1102mgの純重曹泉で20.9度の温泉が毎分227リットル湧出している。黒褐色(10センチ)、少苦味、少わら臭であった。カラン自在ではなく加熱源泉を完全循環が残念である。しかし浴感は「つるつるやや強し」で大田区の黒湯などよりつるつる感触が強く好感した。

 

6中延温泉 松の湯 
戸越温泉の近くで課題になっていた隣の中延温泉にも寄った。入母屋の大屋根がお城のような古い銭湯を改修して使われたいた。入口は唐破風がありその上に大きな千鳥破風が乗る銭湯建築の定番である。数少なくなってきているので貴重である。しかしエントランス部分は改修されビル風になっていた。

 

ここはメタ珪酸で規定の温泉で18.6度の総計356mgという軟水のようなきれいな湯であった。透明、無味、無臭。循環、殺菌でまったく温泉だか分からないものであった。電機風呂、ジェット風呂、露天風呂、水風呂全てこの温泉を利用している。この温泉で4521温泉地になった。

 

 

 

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2012/01/06 関東 

横浜周辺の温泉センター+掛け流し1ヶ所

1 稲城天然温泉 季の彩  
食塩重曹泉 2グラム 41.4度 
薄い褐色の湯 掛け流し浴槽1ヶ所あり
香ばしい香りあり

 
稲城市の郊外に出来た日帰り温泉センター。和風の瀟洒な施設ながら中は結構広い造りである。41.4度の食塩重曹泉が毎分355リットルも湧出している。

 

1700mの掘削で総計2019mgと比較的薄い温泉である。しかし湯の存在感はある。この温泉も1つだけ掛け
流し浴槽があり良い使い方である。

 

薄褐色透明、少塩エグ味、香ばしい香りありと観察した。弱いつるつるもあり色と匂いで温泉の個性を充分に発揮していた。ジェットバスなどは白湯を使い温泉浴槽を限って掛け流しで使うのは良い。最近の温泉センターは掛け流し浴槽があるのでどこも楽しい。良い傾向であると思う。

 

2 くりひら温泉 野天湯元湯快爽快くりひら  

純重曹泉 1.5グラム 29.2度 
腐植質32mg つるつるやや強し 
加温、循環、殺菌が残念

 


川崎の郊外にある温泉センター。和風の平屋造りの温泉センター特有の建築である。湯は29.2度の純重曹泉で総計1477mgの薄いものであるが、黒湯で存在感抜群である。
 



腐植質32mgも含有し大田区の黒湯のような外観になっていた。黒褐色、透明度10センチ。エグ味、わら臭である。この湯は特につるつるが強く熱湯浴槽はつるつる強しであった。しかし掛け流し浴槽はなく、加温、循環、殺菌であったのが残念である。

 

地下800mから毎分237リットルの湧出量である。

 

3 瀬谷目黒温泉 さぶん瀬谷目黒店  
純重曹泉 2.0グラム 30.3度 
黒湯、透明度15センチ
つるつるやや強し 掛け流し露天風呂あり



横浜でも町田に近い瀬谷区に出来た温泉。東名高速の横浜インターからも近い。30.3度の純重曹泉で総計2086mgの温泉で腐植質を4.0mg含有し薄い黒湯になっている。

 

この温泉も掛け流し浴槽を1ヶ所造ってあり好感した。壷湯3ヶ所は循環である。黒褐色(濃紅茶色)、透明度15センチ、エグ味、少わら臭と記録した。つるつるはやや強しで感触は良い。地下800mから毎分355リットルの湧出量である。

 

4 コットンハーバー温泉 インスパ(再訪) 
(現在廃業しました。この記事は約4年前のものです)強食塩泉 18.3グラム 43.1度 
港に面した温泉センター 
循環の半露天風呂のみ

 

この温泉は湧出直後の仮設風呂に入浴した温泉である。その時は真っ白に気泡で白濁し、臭素やアンモニアの匂いのする素晴らしい源泉であった。立地も横浜港に面した海沿いで良い温泉施設ができることを願っていた。このたびインスパなる温泉センターができた。

 

しかし湯は加工済の綺麗な源泉で掛け流しをすることなく循環であった。綺麗な薄黄色透明、強い塩味、少臭素(アンモニア)臭であるがはっきりと殺菌の塩素臭がした。湯は43.1度の強食塩泉で総計18320mgである。内湯は白湯で格子の中の半露天風呂だけが温泉利用である。小さくても良いので掛け流し浴槽を造ってもらいたい温泉であった。廃業も時間の問題だと思っていた温泉である。

 

5 新横浜温泉 フジビューホテル 
強食塩泉 15.9グラム 42.2度 
加温循環殺菌の内湯のみ
茶褐色濁りの湯


新横浜のホームから見える駅前のビジネスホテルの温泉。高層ビルのホテルの地下1階が温泉施設になっている。内湯が2つあり高温湯と適温湯の浴槽である。湯は42.2度の強食塩泉で総計15900mgの源泉である。茶褐色濁り、透明度30センチ、塩甘味、少臭素臭+アンモニア臭である。

 

加温、循環、塩素殺菌が残念であった。色が個性的な源泉で加工済であっても匂いが残っているので掛け流し浴槽であればインパクトがあるであろう。入浴料2000円にしては価格と施設のバランスが取れていない温泉施設であった。

 



 

6 獅子ヶ谷温泉 スパリブール横浜 
純重曹泉 1.8グラム 19.3度 
綱島の黒湯系 内湯1ヶ所露天風呂1ヶ所は循環
内湯に加温掛け流し浴槽あり



 
新横浜から鶴見に向かう環状2号線に沿ってある温泉。大きなビルの温泉センターである。19.3度の純重曹泉で綱島温泉系の黒湯である。内湯1つと露天風呂1つは循環であるが小さな四角い内湯の源泉掛け流し浴槽も付いており良い。黒褐色、透明度15センチ、少エグ味、わら臭ありと観察した。

 

循環のほうが匂いが強くなっていた。施設は全体にバリ島のデザインで南国風の植物が配置されていた。湯は弱いつるつるもあり黒湯系特有の個性を発揮していた。

 

 

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2011/12/24 関東 

東京周辺の掛け流し温泉センター 

東京周辺の温泉センターの取材は大変であった。

お客さんが多く、写真の許可を取るのが大変であった。  

 

1 前野原温泉 さやの湯 
強食塩泉 23.91グラム 41度
源泉掛け流し浴槽1ヶ所あり
緑白濁し香ばしい香りあり

 

東京板橋区の街中に温泉ができた。和風平屋の造りでゆったりとしている。ここは源泉掛け流し浴槽があるということで温泉仲間の評判も良い。白湯の浴槽もあるが一部温泉を使っている。

 

壷風呂の3連のものと源泉浴槽からオーバーフローする露天風呂で使われている。循環濾過のものであるが源泉が濃厚なため色と味覚に存在感がある。薄褐色透明、塩味、無臭の湯に加工されていた。

 

ここの目玉の源泉掛け流し浴槽は露天風呂の一角に1つだけあり、ここの湯は良かった。加熱しているだけで掛け流しで使われている。41度の強食塩泉で総計23910mgである。鉄分を4mg含有し緑白濁していた。

 

透明度は30センチほどで新鮮なためにまだ赤くなる前であった。塩味は同じである。匂いが特によく、鉄分と臭素の香りが混ざったのであろうか、香ばしい香りが放散されていた。

 

この一つの浴槽でここの評価はたいへん良くなった。このように掛け流し浴槽を1ヶ所造る温泉センターが各地に造られるようになって喜ばしい限りである。

2 第2日の出湯 (再訪)
蒲田近くの黒湯銭湯
やや濃い目の湯 カラン自在
透明度7センチ

 

蒲田の周辺には黒湯の温泉銭湯が数多かったが、年々減少して貴重なものになってきた。濃い黒湯の2ヶ所が無くなったのが痛い。辰巳天然温泉は枯渇し、女塚浴場は廃業した。わが自宅の近くで2ヶ所の温泉が無くなった。残る第2日の出湯は健在であった。

 

白湯の浴槽の片方に黒湯の温泉浴槽があり、カラン自在になっている。この湯も前記2ヶ所ほどではないが、やや濃い目で透明度7センチほどの黒湯である。黒褐色、少エグ味+苦味、わら臭と観察した。

 

銭湯は熱く沸かしているのでカランから源泉を出して弱い掛け流しにして入った。この時はうめても良いですかと聞くことを忘れてはならない。しかし最近は激熱の湯よりも適温のほうが歓迎されているようだ。今回もややヌル目まで源泉を入れた。

 

3 成城の湯温泉 スパ成城  
重曹食塩泉 34.1度 
掛け流し壷風呂あり 
透明度7センチの黒湯

 
環状8号線沿いにある大きなビルの温泉センター、店舗と一緒になっている。34.1度の重曹食塩泉(Na-Cl,HCO3)で総計7467mgと等調性をやや下回っている濃さである。ここの温泉にも源泉掛け流し浴槽が一つだけあり、最近の温泉センターの良い傾向が出ている。

 

内湯と露天風呂は循環加熱であるが、露天壷風呂だけが源泉掛け流しである。食塩泉の黒湯で黒褐色、透明度7センチ、塩エグ味あり、アンモニア臭あり。と観察した。重曹分を含んでいるためと黒湯の有機物によってつるつるの感触があり好きである。アンモニアイオン(NH4)が45.4mgと多量に含有されている。



 

4 花小金井温泉 おふろの王様 花小金井店 
食塩泉 4.8グラム 42.8度 
加温掛け流し浴槽あり
香ばしいかつおぶし臭あり



 
小金井公園の近くにある日帰り温泉センター、和風平屋の瀟洒な施設である。おふろの王様チェーンで、この店舗はみな源泉掛け流し浴槽があり良いところが多い。

 

1500mの深さより掘削した食塩泉で総計4781mgの温泉で、42.8度が毎分255リットル湧出している。少量のモールを含有しており黒湯にはなっていないが紅茶色透明で美しい色である。王様の湯と命名された浴槽が掛け流しで弱く加温しているだけである。表面に気泡が浮いていて新鮮な感触がある。

 

入浴してみるとつるつるが強く良い湯であった。紅茶色透明、塩エグ味、少臭素臭+香ばしいかつお節臭で高い評価としたい。



5 府中駅前温泉 縄文の湯 
食塩泉 7グラム 43.6度
つるつるの湯 
内湯2ヶ所と露天風呂、循環が残念

 
府中の駅前のビルの中にある温泉。6階がエントランスで12階までを温泉センターで使っている。男湯は最上階で露天風呂からは周囲の景観が俯瞰できる。

 

43.6度の食塩泉(Na-Cl,)で総計6992mgである。もう一枚分析表がありこちらは重曹食塩泉(Na―Cl,HCO3)6144mgである。大きな内湯と露天風呂が1ヶ所ありどれも加温、循環、殺菌で残念である。

 

1ヶ所でも掛け流しの浴槽を造るとよいだろう。屋上には3ヶ所の貸切天空風呂がある。湯は紅茶色、透明度15センチ、塩甘味、わら臭ありと記録した。つるつるの湯で感触は良い。



 

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2011/11/23 関東 

那須湯本と甲子温泉ほか4か所 

1那須湯本温泉(鹿の湯共同湯)  

鹿の湯は大盛況であった。駐車場が一杯でしばらく待った。観光客が日帰り入浴することが多くなったのか、または全国的に広がった日帰り温泉センターの普及が原因なのか?かなりの入浴客である。ここの温泉は那須湯本温泉の酸性硫黄泉で白濁した湯と硫黄臭が特徴である。

 

大きな空間に6つの浴槽と打たせ湯、掛け湯があり、合計8箇所の湯船である。ほぼ満員で混んでいた。浴槽は温度差がつけられており、41度、42度、43度、44度、46度、48度の温度がある。白濁、酸味、硫黄臭あり、と観察したが48度の浴槽だけ白濁が濃いものであった。68.4度の酸性含硫黄石膏泉(H,S-Ca―SO4,Cl)で総計1040mgである。

 

水素イオンが2.5mg 遊離硫化水素が28.8mgでこの温泉のほとんどの個性を発揮している。PHは2.5である。塩原新湯が明礬泉、塩原元湯が重曹食塩泉または食塩重曹泉であるのにこちらは石膏泉である。改修はされ浴槽は新しくなっていたが基本的な建築は昔ながらの湯小屋で木造のこじんまりとしたものである。玄関は休憩室である。渡り廊下で沢を渡り、浴室棟に行く。板の壁の木造建築である。48度の浴槽にも入ったが10秒ほどしか入れなかった。この鹿の湯は元湯で那須湯本の14軒の旅館に引き湯されていると書かれていた。

 

2高雄温泉(おおるり山荘)  

那須高雄温泉の火事で焼けた旅館跡におおるり山荘ができた。以前は源泉だけが川のように湧出し、野湯であった。この時は新鮮な湯を味わえる素晴らしい野湯であった。拙著、日本全国丸秘湯112選で紹介した温泉である。その後この旅館が出来てから2回目の訪問である。

 

しかし湯の使い方は良く豪快な掛け流しで、野湯の頃と変らないので安心した。旅館にアプローチすると大量の溢れ湯が湯の川になって流れているのが見える。硫黄分のために真っ白な川である。ここの温泉の湯量豊富さが印象付けられる。高雄湯の川と石碑が建てられていた。旅館に最初に訪問したときには、宿の横にある展望の良い高台に大きな露天風呂に豪快に湯が入れられていたが、今回この露天風呂は半分以下に小さくなっていた。そして宿の前に小さな露天風呂がもう一つ出来ていた。

 

40.1度の含硫黄重炭酸土類石膏泉(S-CaMgNa-SO4、HCO3)でPHは6.1とほぼ中性である。遊離硫化水素を26.2mg含有している。炭酸も261.8mgである。総量は1グラムを越した程度なので、ほぼ純な硫黄泉と言ってよいであろう。湧出量は毎分800リットルで豪快な湯量である。しかし温度が少し低いので内湯のみ蒸気で少し加熱している。白濁、まったりしたたまご味、硫黄臭と観察した。

 

3甲子温泉(千人風呂) 大黒屋  

甲子温泉は湯量も多く下流にある新甲子温泉に引き湯もしている湯元である。この大黒屋は大きな混浴千人風呂があることで有名な温泉である。沢に向かって下って行き、橋を渡ると湯小屋がある。この中は一つの空間で大きな浴槽1つだけあり、周囲に脱衣場が付いている。大岩風呂と呼ばれている。

 

小屋裏の合掌梁が連続して見える大空間である。以前、雑誌通販生活で取材した時以来である。泉質は石膏泉だと思っていたが、石膏系の単純泉で総計964mgで45.1度であった。透明、少苦味、無臭のきれいな湯である。大きな浴槽は5メートル×15メートルの大きさである。深さも1.2メートルあるので、大きな容量の浴槽である。横の壁から源泉を入れている。

 

ここから自噴していると思っていたが、実は別の場所に源泉があり掘削自噴だそうだ。しかし古いままの浴槽と湯小屋は良い。湯の個性は少ないが雰囲気があり名湯に入るだろう。また白河藩主の別荘であった勝花亭は改築されて綺麗になっていた。このような記念物は古いままが良いと思うがどうだろうか?

 

4芦野温泉(つるつるの湯)  

つるつるのアルカリ性単純温泉で記憶に強い温泉。このたび再訪してみた。28.1度のアルカリ性単純温泉で総計252mgの源泉であるが成分のうち陽イオンはナトリウムが66mg陰イオンが重炭酸(HCO3)が76.3mg 炭酸イオン(CO3)が52mgと純粋な重曹系になっているためつるつるが強くなっていた。

 

透明、少甘味、無臭で源泉と加熱湯を同時に入れて掛け流しにしている良い使い方である。内湯と露天風呂ともに四角い木製の浴槽で「つるつるやや強し」であった。内湯42度、露天風呂40度に設定されていた。露天風呂は長湯の出来る浴槽である。

 

 

 

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2011/11/19 関東 

塩原元湯の間欠泉と那須の名湯 2か所

1塩原元湯(ゑびす屋) 

塩原元湯で大出館の下にある温泉宿である。炭酸を含む重曹食塩泉が湧出し、ヌル湯の梶原の湯源泉と間欠泉で高温の弘法の湯源泉の2本がある。弘法の湯源泉は驚異的に析出物が付着し、湧出口の下はたぬきの腹のような大きな玉が出来ている。掛け流しの床にもうろこ状に析出物が付き壮観である。

 

一時は析出物が浴槽の壁に付着して非常に狭くなってしまったので削ったことがあると聞いた。木造の湯小屋で混浴である。この弘法の湯源泉は約5分おきにドーッと湧出して豪快に浴槽に注がれる。夏の時期だと熱くて少量加水しないと激熱であった。

 

弘法の湯源泉は52.1度で白濁し、塩エグ味と弱い炭酸味がある。HS 17.8 H2S 40.3mgと硫黄含有量も多い。CO2は498.7mgである。この炭酸分とカルシウムが多量の析出物になるのである。含硫黄重曹食塩泉(S-Na-Cl、HCO3)である。

 

ヌル湯の梶原の湯は塩原最古の源泉と記され薄く白濁した湯で温度も39.7度とヌルメの湯である。炭酸味とたまご味が混ざった味覚で硫黄臭は弱い。HS 7.8 H2S 27.9mgでCO2は635mgである。こちらは食塩よりも重曹が多く、含硫黄食塩重曹泉(S-NaCa-HCO3,Cl)である。入浴客はみな梶原の湯に入っていた。

 

 

2板室温泉(加登屋本館)  

板室温泉は以前幸の湯温泉に宿泊したことがあるが、離れていて別温泉名のため別カウントしていた。板室温泉は日帰り温泉施設のグリーングリーンでカウントした。個性のないきれいな湯で特に記憶に残るものではなかった。ただ綱の湯という綱が下げてある浴槽があってここに捕まりながら長湯をするという伝統があると聞いた。

 

この板室温泉は奥に温泉街があって木造3階建ての宿もある。加登屋本館だけになってしまったが風格のある建築であった。細い道に面して欄干のある2階と3階の窓が並ぶ木造3階の宿は好きである。日本温泉建築の本来の姿であった。

 

この本館は日帰り入浴不可で、別館のほうの御主人にお願いして入浴させていただいた。こちらの古い木造宿の1階にある小さなタイル浴槽がよかった。38.7度の源泉と44.9度の源泉があり、44度のほうが掛け流しで使われていた。

 

透明、無味、無臭のきれいなアルカリ性単純泉で個性のない清澄な湯であった。小さな渓流に沿った浴室で窓から流れが見える。湯量も豊富で床に湯が溢れて流れている。板室温泉は栃木の薬湯といわれる療養の名湯である。療養で有名な温泉はこのように透明、無味、無臭のことが多いのが不思議である。

 

3那須北温泉 泊   

那須塩原方面への温泉行きの目的は、北温泉に泊まろうと思ったことがきっかけである。古い宿で江戸時代築が7500円、明治築が8500円、昭和築が9500円と決まっていてかなり安い料金である。この古い宿にゆっくりと泊まり、翌朝も遅く起きてゆっくりしようと思い今回の再訪ばかりの旅を思いついた。

 

明治築の部屋に泊まった。北温泉は湯量豊富で、宿の裏にみえる崖に源泉が滝のように流れ出しているのが素晴らしい温泉である。浴室は4箇所にありそのうち1箇所は女性専用で芽の湯と命名されている。

 

露天風呂は大きな円形の浴槽が一つのみの簡素なもので川に沿って造られ河原の湯と呼ばれている。巨大な堰堤が見え、下にはその下流の川が眺められる。混浴の内湯が天狗の湯と打たせ湯があり、大湯量が掛け流しになっている。家族湯も付いている。玄関前には共同湯のような小さな木造の湯小屋造りの外湯(相の湯)がありさらに庭先には泳ぎ湯という大プールがある。

 

湯量豊富な単純泉で透明、少金気味、無臭である。天狗の湯は掛け流しが多量で縁から溢れている。湯温度が高いので少量加水しているが新鮮さには問題ない程度である。

 

 

 

4大丸温泉    

大丸温泉の湯の川は素晴らしい。何度も来ているが圧倒的な湯の量と、綺麗に澄んだ川底が美しく、国内でも屈指の名湯であろう。78.6度の単純泉で総計897mgである。濁っておらず綺麗な湯である。芒硝石膏系(CaNa―SO4)で透明、無味、無臭である。

 

男湯の内湯から出たところにある湯の川が大きく池のようになっており上から渓流のように湯が流れてきている。この大きな浴槽は足元から高温の温泉が湧出しており、上から流れてくる湯と合わさり適温になっている。

 

玉砂利が敷かれていて日光に反射してきらきらと光り美しい。白樺の湯と命名されている。さらに上流には両側が迫り渓谷のようになった浴槽がある。そして小さな滝が急な流れになった先には、一段上にまた池のような露天風呂になっている。さらに上流は女性専用浴槽であった。

 

川全体が温泉で大きく3箇所の混浴露天風呂があった。宿は新築になっており、綺麗な和風旅館である。風情のある造りで女性に好まれるだろう。

 

5弁天温泉   

弁天温泉はひっそりと奥まったところに建つ一軒宿で、やや古びた旅館である。大きな内湯と混浴の露天風呂が5箇所あり樽風呂や陶器の壷風呂、鉄の釜風呂のほかに石積みの露天風呂が2つある。

 

総計912mgの単純泉で48度の源泉である。かなり昔に訪問したきりになっていたが、変らずに存在していた。濁った湯も同じである。毎分210リットルと湧出量も豊富である。宿の奥の崖から温泉が湧出している穴があり、金気分のために濃い褐色の析出物が溜まっていた。

 

そのほか敷地内で4箇所の源泉があるとのことである。湯は鉄分のために薄白濁しており鉄渋味と金気臭である。Feは1.0mgであるが新鮮な状態ではもっと多く感じる。コンクリートの浴槽の内湯はうっすらと白濁しており湯の存在感は単純泉と思えないほどである。

 

 

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