温泉チャンピオン 郡司勇の温泉サイト » 2011 » 4月
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郡司が実際に行き、観察・記録した湯について書いています。
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温泉紀行
2011/04/29 東北 
赤い湯の古町温泉と宮床温泉ほか2か所

1 古町温泉 赤岩荘 再訪   

 赤い湯 金気臭のある食塩泉 



只見に下る伊南川沿いには上流に桧枝岐村があり、下ると伊南村であったが、現在は南会津町になった。かつての伊南村の中心部に古町温泉があり、突然変異のような個性的な温泉がある。真っ赤な湯で存在感が抜群である。これが古町温泉赤岩荘である。



鉄分と炭酸を含有する食塩泉で名湯だと思っている。近くを通るたびに訪問し数回目となった。簡素な玄関棟に渡り廊下がありその先に2浴槽に分かれた露天風呂がある。



総計15900mgの高張性の食塩泉で53.1度である。Feは4.3mg、CO2 110mgと少ないながら共によく表現されており、真っ赤な湯である。特に内湯では炭酸の弾ける様子を観察することが出来る良い湯である。



しかし今回は、内湯に入り忘れ、露天風呂だけで満足して帰ってしまった。途中で気づいたがすでに遅しであった。露天風呂は背景の雪が残る山々が美しく桜も咲いている。



美しい景色と赤い湯の取り合わせが壮観ででる。濃い赤褐色、塩味、香ばしい金気臭ありと観察した。かなりの赤い湯で晴天の露天風呂では湯の存在感が非常に高い。湯口が新鮮で匂いが放散されていた。掛け流しで使われており良い温泉である。

 

2 宮床温泉   

 褐色の湯 芒硝泉 掛け流し

宮床温泉は過去に訪問し、薄い記憶であるがモール系の褐色の温泉という思い出が残っていた。しかし今回訪問してみると、鉄分のある褐色の硫酸塩泉であった。



只見温泉の村の湯や鹿瀬温泉赤湯などと同系の泉質であった。白い小さな民家のような外観で、前回の訪問時と同じままに営業されていた。



浴室のほとんどが浴槽で洗い場が手前に小さく付いているという乳頭温泉の大釜温泉のような大きな浴槽に湯が掛け流されている。45.3度の食塩芒硝泉(Na―SO4,Cl)で総計3667mgである。毎分24リットルと少量の温泉であるが掛け流しが実現している。良い使い方である。



湯は個性的で茶褐色濁り(20センチ)エグ塩味、少香ばしい金気臭あり、と観察した。ピンク色のタイル浴槽が1つのみの簡素な温泉で湯に入るためのみにあるという存在が嬉しい。良い温泉であった。

 

3 さかい温泉 さゆり荘 再訪  

循環 

さかい温泉は私のもっとも初期に訪問した温泉で入浴番号は50番台である。学生の終わりにバイクで足尾から日光に抜け、鬼怒川から山王峠を越えて旧道のタイトな舟が鼻峠を越えて南会津を抜けた時に宿泊した。



その後新潟に出て山形方面まで行ったときである。ほとんど記憶がないので再訪した。見覚えのある鉄筋の古い宿と、新築の浴室棟があった。60度の食塩芒硝泉で総計411mgの宮床温泉と同系の泉質である。



しかし加水、加温、循環、殺菌の4点セットの残念な使い方であった。循環のためかつるつるの湯になっており、透明、少苦味、無臭の個性の少ない温泉であった。ただし露天風呂からの展望が良く、満開の桜の花が美しかった。

 

 

4 山口温泉 きらら289    

 センター系 循環 

山口温泉は旧南郷村の中心にある施設で、以前は川沿いに仮説風の山口温泉があった。今回訪問してみると、旧施設は撤去され、その源泉はきらら289で使われていた。



同じ源泉であるが大きな温泉センターとなったので湯の使われ方がどうか、確かめてみた。男女別になっており、りんどうの湯と山桜の湯がある。源泉浴槽はりんどうの湯のほうにだけあり、今回は女湯になっていた。男湯は山桜の湯で、加水、加温、循環、殺菌の湯しかなかった。



大きな内湯と岩組の露天風呂がある施設である。61.4度の食塩泉で総計8785mgの立派な温泉である。しかし透明、塩甘味、無臭で塩分以外の個性がなくなっていた。男女両方とも源泉浴槽を作っていただけると幸いであった。以前の仮設プレハブ造りの源泉は匂いも良く、色も淡い褐色で良かった。その掛け流し温泉を知っているだけに非常に残念であった。

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2011/04/23 東北 
湯の花温泉の共同湯2つと小豆温泉

1 湯の花温泉 天神の湯共同湯 再訪 

 混浴の浴槽一つの小さな共同湯 



川を渡る鉄骨の大きな橋のたもとに小さな扇型の湯小屋があり、これが天神の湯共同湯である。非常に小さな共同湯で玄関の靴脱ぎ場が脱衣棚である。玄関を入ると一つの部屋空間があるだけである。



そして四角い浴槽が一つと50センチ角ほどのさらに小さな浴槽が横に付いているだけの共同湯である。中央の浴槽から小さな浴槽に湯が流れる仕組みでヌル湯になっている。透明、無味、無臭のきれいな湯が掛け流しで使われていた。



源泉は弘法の湯と同じ清滝源泉である。窓からは川の流れが見える清々とした風景である。また湯小屋と浴槽の鄙びた風情が良い雰囲気を出しており、たくさんの写真を撮ってしまった。



 

2 湯の花温泉 湯端の湯共同湯 再訪  

 平成5年築の共同湯 湯の個性は少ない

 

湯の花温泉には茅葺きの宿に泊まりたく訪問した。民宿山楽は茅葺きの宿で温泉はないが、曲屋造りの立派な民家で、私はここにしようか湯の上温泉の扇屋にしようか迷ったがここに決めた。



幸運なことにエントランス真上の2階の角部屋になった。窓を開けると重厚な茅葺きの厚さをもった屋根に囲まれている。庭先の桜が満開で美しい、川の流れも眺められ良い部屋である。天井には黒い梁が出ている古い造りである。



1階は食事をする広間で囲炉裏の付いた2間続きであった。白い障子と黒く磨かれた板戸の空間は昔の風情で、まさに茅葺きの宿の良さが出ている。





湯端の湯共同湯は山楽の前の橋を渡ったすぐ近くである。清滝旅館の隣にあり平成5年に改築されたが以前のような簡素な共同湯であった。浴室は男女別になっており、中には珍しいことに地元専用共同湯も付随していた。一般客は違う浴室に入る。





天井の高い梁が露出した造りの湯小屋でコンクリートの浴槽が一つのみの簡素な共同湯であった。湯本の湯源泉で58.6度の単純温泉で総計548.8mgである。毎分13リットルと少ないが自然湧出で嬉しい。透明、無味、微湯の香と記録した。



 

 

3      小豆温泉 窓明の湯  

49.2度の単純泉 循環 

翌日は快晴の良い天気であった。青い空が会津の風光に映えて美しい。桧枝岐近くの小豆温泉に訪問した。以前は古い宿であったが、現在は立派な日帰り温泉センターとなった。雪崩避けのオーバーシェルターの続く道路から、シェルターの切れ目から川を渡ってアプローチする。





三角屋根のエントランス棟の両側に三日月形の建築と扇型の曲線の屋根の建築が建っており、男湯は左側の陽明の湯という広い方であった。8種類の浴槽がある大きな温泉センターで露天風呂も付いている。玄関に入ると天井の高い空間でトップライトから光が入って明るい。



多種類の浴槽があるが最近はこのような施設には何の感動も覚えない。しかし現代建築の凝った造りで施設のきれいさはある。49.2度の単純泉で総計453mgの清澄な湯で大きな施設のため循環、殺菌である。湯は透明、無味、無臭の個性の無いものである。



少量オーバーフローしている浴槽もあったが基本的には循環で湯の新鮮さが分からず残念であった。以前の施設も個性は少なかったが小さな浴室で鄙びて良かった記憶である。大施設で循環、殺菌にしたのははたして正解であったのかは不明である。

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2011/04/16 東北 
木賊温泉の足元自噴と湯の花温泉の共同湯2つ

1木賊温泉 岩の湯共同湯 再訪 

 硫黄臭のある良い湯が足元湧出 素晴らしい温泉 



 

木賊温泉の川沿いにある、岩の湯共同湯は有名である。木賊温泉の井筒屋のすぐ下流である。上流から見ると川の中に突き出した形で小屋掛けしてあり、洪水があればひとたまりもなく流されてしまうように見える。井筒屋の湯小屋も同じように川に突き出している。



岩風呂共同湯の真上には旅館「湯の上」があり、立派な曲屋の造りで屋根が寺院のような垂木が見えて良い建築である。次に木賊温泉に来た時には泊まりたい宿であった。



岩の湯共同湯は川に突き出してコンクリートで固められた床があり、河岸側にの天然岩が露出していてその底から自噴している温泉である。足元湧出源泉浴槽である。2つの浴槽があり上流側の足元から大量に温泉が湧出し、下の浴槽に流れている。湯量がかなり多いのである。



この湯が絶品であった。透明、たまご味、はっきりとした硫黄臭である。浴槽の底は大きな玉石が敷いてあり、一部コンクリートで固めてあるが、源泉湧出部分は石を置いてあるだけで、底から熱めの湯が湧出している。湯量があるので湯の流れが体感できる。かなりの良い湯でこの旅行一番の高い評価とした。



天然岩の足元湧出温泉は貴重で大切に守ってほしい温泉である。以前は湯の花が多量に舞っていたとのことである。連休のころは川が雪解け水で増水していて激しい流れになっているが、以前夏に訪問したときは、井筒屋の前の川の中から各所に湯が湧出していて、そこに手掘りの浴槽がいくつか作ってあった。川の流れが少ない時ならば、河原のマイ浴槽を造ることができる。なお井筒屋の内湯も足元湧出の温泉でコンクリートで固められた底の一部が穴になっており、そこから源泉が湧出している。

 

2湯の花温泉 石湯共同湯 3回目  

 石の下から湧出する温泉 鄙びた湯小屋 掛け流し

木賊温泉から湯の花温泉へのショートカットの峠道はまだ開通していなかった。352号線まで戻り、また湯の花温泉への沢を登ってゆく。昔からの4箇所の共同湯が健在で良い温泉地である。



その中でも浴槽が一つのみで小さな建屋の共同湯は石湯である。美しい渓流に沿った位置で佇まいも日本の原風景のような素朴さである。浴室内部に大きな岩が露出しているので石湯と呼ばれている。小さな共同湯で一つの空間に浴槽が一つの混浴である。



石の下とその右側の2箇所から源泉が湧出し浴槽に流れている。熱い湯であるので少量掛け流しになっている温泉である。分析表の掲示もあり57.1度の単純温泉である。総計784mgで9.8リットルの湧出量である。熱い湯なのでこの湧出量で充分である。



横の川の流れが清冽で美しい。澄んだ水が白い岩の上を滑るように流れている。鄙びた浴舎で以前訪問した時と変っていなく安心した。湯は透明、少たまご味、微々硫黄臭である。湧出したばかりなので、微量の硫黄分を含有しているのが感知出来た。



熱い湯で湧出量9.8リットルでもそのまま源泉から浴槽に流れているので冷めない、天然岩を削った浴槽をコンクリートで固めてあるだけの簡素な浴槽である。浴槽の底も刳り貫いた岩である。たいへん原始的な共同湯であった。

 



 

3     湯の花温泉 弘法の湯共同湯 再訪 

 新しい共同湯 コンクリートの浴槽が一つのみ 掛け流し

弘法の湯は新しい白壁の共同湯になっていた。玄関と脱衣場が白壁の建築で木の壁の湯小屋が浴室である。小さな浴室棟が付いていた。男女別の浴室がある。浴槽はコンクリート造りの10人ほど入れるやや大きめな浴槽が1つのみである。



清滝源泉で60.5度の単純温泉が掛け流しで使われていた。総計575.7mgで毎分31.1リットルの自然湧出である。透明、無味、無臭のきれいな湯で個性は少ない。床、浴槽ともにコンクリートの素朴な共同湯であった。

 

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2011/04/14 東北 
会津高原温泉、たかつえ温泉、木賊温泉共同湯

1      会津高原温泉 夢の湯   

掛け流しのよい湯 香ばしい香りあり

山王峠を越えて会津に入った。高い山には雪が残るが、新緑の美しい高原である。以前滝の原温泉に入浴したが、この度「夢の湯」という違う源泉の宿に入浴した。国道沿いの白い簡素な宿である。



43度の単純泉で毎分200リットル湧出している。単純泉ながら良い温泉で気に入った。総計939.5mgの食塩泉系の湯であるが掛け流しで利用されており、新鮮で良い。特に湯口の匂いが絶品である。透明、少塩味、香ばしい香り多し。であった。



岩組露天風呂は掛け流しで、内湯は一部循環併用のオーバーフローである。しかし多量に溢れていて、ほぼ掛け流しである。露天風呂、内湯共に新鮮味が残り、良い温泉であった。



露天風呂は川沿いの離れにあって2つの浴槽があるが1つしか使われておらず、混浴である。渓流の流れが美しい景観である。内湯からは満開の桜が目の前に見え美しかった。

 



2 たかつえ温泉 白樺の湯 再訪  

 47度のアルカリ性単純泉 循環 

会津高原リゾートにはスキー場があり、アストリアホテル、高原ホテル、アストリアロッジの3つの大きなホテルがあり、たかつえ温泉が入れられている。そのほかにも日帰り温泉施設として白樺の湯があり、以前入浴したが、ずいぶん前で記憶が薄くなっているので再訪してみた。



建築が改築されており、中の造りも変わっていた。茶色の木の壁に黒い屋根の小さな共同湯風の温泉である。石貼りの露天風呂と木枠の内湯があり、アルカリ性単純温泉が使われていた。47度の源泉で総計590.1mg PH8.6のものである。加水加温循環で残念であった。



透明、無味、無臭の特に個性のない湯であるが弱いスベスベがあった。炭酸泉イオン(CO3)が10.2mgの含有のためであろう。

 

3 たかつえ温泉 水芭蕉樽露天風呂 

 水芭蕉の咲く湿原の横にある露天風呂 風情は良い

会津高原より峠を越え旧舘岩村(現在南会津町)に入った。この舘岩村には前沢集落に茅葺きの民家が集中して残っており、ふるさと公園として観光地になっている。翌日訪問したが、一部新築の家が点在しており、湯の上の大内宿には及ばないなあと思った。



その舘岩村に入る峠の斜面にあるのがたかつえ温泉である。たかつえ温泉には源泉の近くに無料の大きな樽浴槽の露天風呂がある。水芭蕉の咲く窪地にあり。ちょうど連休の季節には水芭蕉の群落が見える。花を咲かせており良いタイミングであった。湯が少量掛け流しになっているが、清掃したのか?まだ半分しか溜まっておらず残念であった。



午後遅くの時間には一杯になるであろう。透明、無味、無臭であるが源泉垂れ流しの湯で加工していないので印象は良い。樽の浴槽と周囲の風情は大変良く湯が溜まっていたらさらに良かったであろう。

 

4 木賊温泉 広瀬の湯共同湯   

 湯小屋の風情は良いが透明、無味、無臭の循環 

木賊温泉は西根川に沿った美しい渓谷にある温泉で、井筒屋の内湯が足元湧出温泉で以前、通販生活誌で取材した温泉である。このたび広瀬の湯という内湯の共同湯に入浴した。41.5度のアルカリ性単純温泉で総計293.4mgという極めて清澄な温泉である。PH8.6で毎分85.7リットル湧出している。茶色に退色した木の壁の共同湯で建物の外観の風情は良い。



浴室は高い天井に梁が出ている造りである。コンクリートの床の中央に浴槽1つのみの簡素なものである。木枠のタイル浴槽に湯が入れられ、温泉は加温、循環、殺菌で透明、無味、微塩素臭の残念なものであった。ほのかにすべすべするのが温泉としての一つの個性であった。



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2011/04/10 東北 関東 
有名温泉地の塩原と中三依温泉、まるみの湯 

1      大網温泉 湯守田中屋 再訪 

野天風呂 川沿いの露天風呂 一番下の川沿いは足元湧出および横から流入 

連休の頃、南会津は美しい。白い山を背景に、雪解けと新緑の最中ながら桜が咲き、紅葉の頃と是非をつけがたい美しい季節である。この会津が大好きで中学1年の時に会津若松にSLを撮影に行ってから10回以上に渡り南会津の山村に惚れて、通い続けている。以前は若松機関区にSLが大集合しており、ターンテーブルの付いた機関庫にC58やC11がたくさん留まっていた。そのうちC11が日中線や会津線、只見線を走り、ダム湖と鉄橋の美しい車窓風景を織りなしていた。毎月のように会津磐梯周遊券を買って、夜行急行で出かけていた。その頃は会津磐梯地区を廻れる周遊切符が学割で1800円であった。上野23時50分発のばんだい5号には毎度の客であった。これに乗ると会津若松で5時10分発の熱塩行きのSL牽引列車に接続していた。また会津線の滝の原(現在の会津高原)行きや只見行きにも接続が良かった。



この度も、35年間にも渡る「会津行き」を懲りることもなく計画した。塩原を経由して南会津の木賊温泉や湯の花温泉に行こうと思い旅立った。また茅葺きの宿に泊まりたくて、茅葺きの残る、全国でも数少なくなった地域に出かけた。



まず塩原の谷に沿って行く。大網温泉は平野から坂道を登り、塩原の渓谷が深くなって滝や道路の屈曲が多くなってきたところにあり、塩原温泉の入口の温泉である。塩原という名の温泉ながら、この湯だけは芒硝泉で奇麗な湯である。深い谷底に向かって300段以上の階段を下る。かなりの高低差があり、帰りが疲れそうだ。



渓谷の川沿いにたどり着くと、上に2つの露天風呂と川沿いに2つの浴槽がある。上の露天風呂は男女別であるが、下の川沿いの2つは混浴である。大岩の横にコンクリートで固めた「石間湯」露天風呂と、洞窟風にコンクリートの屋根を付けた半露天風呂の「河原湯」がある。



河原湯の洞窟風の浴槽は足元が砂で、天然岩が露出した気持ちの良い浴槽である。足元湧出の温泉も少量あると思われるが横のホースから温泉を入れていた。川と同じレベルの浴槽で川に迫り出して造られている。



上の露天風呂は「仙郷湯」と命名され玉石の大きな広い露天風呂で渓谷の眺めが美しい。透明、石膏味、少湯の香と観察した。感触は芒硝泉特有のキシキシである。重曹や炭酸イオンを含まないのであろう。 

 

2      中三依温泉 男鹿の湯 再訪  

 石膏泉の冷鉱泉 循環 

塩原の渓谷を過ぎると、中塩原の平地に着く、そこから元湯に登ってゆくのであるが、今回は好きな元湯も新湯も行かずに、国道400号線のトンネルで峠を越えた。鬼怒川の上流で、すでに男鹿川と名前を変えた谷に出た。以前は日光塩原ライン(日塩もみじライン)で延々と峠道を走り新湯の横を通り、鬼怒川温泉に出ていたが、尾頭トンネルの開通によって会津方面のメインルートになった。



古い地図だと塩原元湯から林道で鬼怒川沿いの121号線に抜ける道も書いてあったが、すでに廃道のようだ。昔はRH250という2サイクルのオフロードバイクに乗ってこの辺を廻ったことがある。そのときでも行けなかった。近くの安が森林道や田代山林道、川俣桧枝岐林道、山王林道などを走り回った。昔は奥鬼怒温泉の加仁湯や手白沢温泉にも林道で行けた。もう20年近く前である。

121号線に出ると、明るい沢筋である。鬼怒川から川治にかけての大きな沢の渓流も細くなり源流部の様相を見せてきている。旧会津街道の宿場のような三依に温泉があり、男鹿の湯という日帰り温泉があった。かつて「るるぶ首都圏日帰り温泉300」の取材で栃木、茨城県を担当したので、ほとんどの温泉センターはそのときに廻った。しかし古い記憶になり再訪してみた。



小さな建築に1つの浴槽の簡素な施設で伊豆石の縁にタイル浴槽である。天井の高い湯小屋である。湯は総計2308mgの芒硝石膏泉で、23.3度の鉱泉が加熱循環で利用されていた。透明ささ濁り、苦味あり渋味残る、微々硫黄臭ありと観察した。個性的な源泉ながら循環で新鮮さがなくなっていたのが残念である。

 

3      まるみの湯温泉 民宿みより荘 再訪 

 古い木造の造りの宿と小さな共同湯のような浴室 循環

 

まるみの湯も97年度版「るるぶ首都圏日帰り温泉300」で取材して以来である。この本が私の一番初期の温泉記事である。ここは簡素な共同湯風の造りで良い記憶になっている。しかしそれ以来10年以上の日時が経っている。早いもので、私はこの間に200冊を大きく超える月刊誌。雑誌、新聞から銀行社内報に至るまでいろいろと寄稿している。現在私の書棚には「旅」「通販生活」「自遊人」「大人のウォーカー」「毎日新聞」「温泉」などの連載誌から「山渓」「CanCam」「OZマガジン」に至るまでのさまざまな掲載誌で埋まっている。



まるみの湯は以前と同じ形で残っていた。簡素な湯小屋で浴槽は桧浴槽である。宿の本館が古い民家の造りでここに泊まりたくなるような雰囲気であった。民宿みより荘という。離れが湯小屋である。13.5度の芒硝泉で総計1005mgというほぼ単純泉に近いものである。



しかし1グラムという規準は意外と個性を発揮してくる境であるのか、透明、無味、無臭かなと思ったが、味覚にはっきりと石膏苦味が感じられた。しかし湯は加熱循環で新鮮味はなかった。共同湯のような梁の出た天井の造りと渓流の眺めが美しい温泉であった。

 

※   太郎温泉 不在 

水仙と桜が満開の桃源郷のような美しい沢を遡り、太郎温泉に行くが誰もいなくて入浴できなかった。隣の渓流釣り堀は営業していた。水色のペンション風の建築で「山宿観峰」という宿である。アルカリ性単純温泉が湧出している。

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