5塩原あら湯(むじなの湯共同湯)
塩原あら湯にまた来た。3箇所の共同湯めぐりはすでに何回もやっている。以前混浴であったが仕切りが出来たむじなの湯から行く。岩肌から足元自噴した源泉浴槽でかなり熱く長湯が出来ない。
この新湯はみな硫黄を含む酸性泉である。酸味を比べてみるとむじなの湯がH4.0mgで少酸味、寺の湯がH6.4ではっきりとした酸味、中の湯がH2.5mg で弱い酸味である。3つとも味覚や色が違うので楽しい。
むじなの湯は白濁(20センチ)少酸味、硫黄臭で3箇所のうち中間の濃さである。H2S 36.7mgという硫黄含有量である。59.2度の源泉が足元から湧出しているので熱い湯になっている。
女湯側が多く湧出しており、男湯よりさらに熱いということであった。PH 2.4 総計1792mgの酸性含硫黄明礬泉(H,S-Al-SO4)である。
6塩原あら湯(寺の湯共同湯)
小さな湯小屋で脱衣場がかろうじて2つに分かれているが浴槽は混浴の共同湯である。湯小屋の建築で塩原屈指の風情がある。
74.3度の酸性含硫黄明礬泉(H,S-Al-SO4)である。特記成分はH 6.4mg Al 102.4mg Fe 14.8mg HSO4 251mg SO4 1180.9mgである。硫黄分はH2Sの55.6mgでかなり多い含有量である。総計2099mgでPH 2.2である。
ヌル目の白濁した浴槽と熱目の薄白濁した浴槽が2つあり、ともに源泉が掛け流されている。白濁、はっきりした酸味、少硫黄臭と記録した。
硫黄臭は慣れてくると感知できなくなる。むじなの湯の後なので、実際はもっと硫黄臭がしたかもしれない。すぐ後ろにある地獄地形からの源泉であろう。濃い酸性硫黄泉であった。
7塩原あら湯(中の湯共同湯)
中の湯共同湯は小さな湯小屋ながら、男女別になっている。四角い小さな浴槽一つのみの簡素な共同湯である。以前冬に行った時は湯が枯れていたが今回は湧出していた。
火山性の酸性泉は地獄の表層水のため、冬になって雪が降ると水が地層に染み渡らないので枯れてしまう。今回は適温の湯が掛け流しになっていた。
硫黄分が多く寺の湯に匹敵したH2Sは55.4mgである。Hも2.5mgでPH 2.6である。酸味は弱いものであった。
酸性泉というより硫黄泉に近い感触である。木の浴槽が風情があって良く、湯も適温なので一番ゆっくりできるであろう。硫黄分以外の含有量が少なく総計414mgであった。
8塩原元湯(大出館墨湯)
大出館に久しぶりに訪問した。5回目くらいである。ここの墨湯が貴重で、その後も健在かなと思ったわけである。分析表を見て驚いた。3枚あり、そのうちの御所の湯源泉は国内でも屈指の硫黄含有量であった。
チオ硫酸イオン(S2O3)3.6 硫化水素イオン(HS)10.2 遊離硫化水素(H2S)72.7mgである。総硫黄は合計すると(厳密には違う)86.5mgである。
薄緑白濁で、まったりしたたまご味がして、硫黄臭がある。月岡温泉のような源泉であった。重曹食塩泉(S-Na-Cl,HCO3)で総計3213mgの温泉で温度は50.9度が毎分149リットル湧出している。
この元湯は酸性ではなくPH6.2から6.5と中性であるのが面白い。この湯が大出館のメインの源泉である。御所の湯源泉は炭酸も836mgも含有し湯口では残り香が感知出来る。飲むとたまご味の中に清涼味も分かる。
ほかに五色の湯源泉57.7度が毎分10リットル。墨湯源泉(五色の湯No3)が52.6度で毎分1.6リットルの湧出である。この墨湯源泉は特記成分に鉄分を4.4mg含有し真っ黒になっている。
さらに底には泥のようになった析出物が厚く沈殿し泥湯のようである。手で掬い取ることができる。硫黄分はS2O3 2.8 HS 7.9 H2S 35.8mgの含有量である。これに4.4mgの鉄があるとこんなにも真っ黒になるのかと思った。
写真にすると大田区の黒湯のような絵になった。真っ黒な湯である。この温泉は女性専用浴槽以外は混浴である。しかし昼の1時間だけは墨湯のところが女性用になっており30分ほど待った。しかし東京近郊で混浴の温泉があるのは貴重である。
郡司が実際に行き、観察・記録した湯について書いています。
※これらの写真・文章の版権所有者は郡司勇です。無断でコピーしたり転載したりすると法律で罰せられます。
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2011/10/16 関東
塩原の名湯 「あら湯」と墨湯で有名な「元湯」大出館