1湯山温泉 東温泉下野湯
湯山温泉は国道を境に上に西共同湯、下に東共同湯がある。明礬小屋の連なる坂道の上には西共同湯があり、風情のある外観で過去にお願いして入浴したことがあるが、綺麗な透明の湯がドバドバの掛け流しで良い記憶になっている。
東共同湯は沢筋に下って行く。10年以上前から使われておらず廃墟のようになっている。湯山温泉の野湯は山中にあり発見は困難であろう。川沿いに小さな露天風呂があるだけの施設で、横にブルーシートで覆われた脱衣場がある。地元専用共同湯のような使われ方で許可なしでは入浴不可である。
ここの湯が個性的である。赤褐色でえぐ味と薬味があり、金気臭と少硫黄臭である。コンクリートの浴槽1つで湯口から49度の源泉が掛け流しされ浴槽では42.2度の適温になっている。赤い湯が少ない別府では珍しい存在であろう。
2血の池地獄 個人宅温泉
別府の鉄輪から柴石に至る地獄群は観光名所となっているが、これらの存在は非常に貴重で世界遺産にも匹敵すると思っている。その中で赤い湯で有名な血の池地獄の湯に入浴した。
近年、足湯が出来て湯に触ることはできるが入浴施設はない。以前にも入浴させていただいたが、社員用の個人宅に入浴させていただいた。小さな家庭用のポリバスである。
ここに血の池地獄の泥とともに赤い湯が入れられている。この赤さは一般の鉄鉱泉のような赤褐色ではなく、より血の色に似た濃い赤色である。ともに酸化鉄の表現であるが、ここの湯は赤さが鮮明である。66度の酸性芒硝食塩泉(H-Na―Cl、SO4)である。
PH2.8の酸性の湯だ。鉄分(Fe)は0.9+3.3で少量だがマグネシウムを49mgカルシウムを56.7mg含有しており相互作用であろうか?色が特徴的である。赤褐色(3センチ)、少酸味+渋味、粉っぽい、少金気臭であった。入浴感触は泥を混入しているためかキシキシしている。個性的な湯だ。なお近隣でも小さな個人宅の湯でこの湯を使っている場所を知っている。
3別府温泉 竹瓦温泉
日本一の温泉はまちがいなく別府で市内に160ヶ所以上もある共同湯の盟主は堂々たる外観の竹瓦温泉でしょう。国内でも道後温泉本館と並んで屈指の共同湯である。このたび国指定有形文化財に指定された。昭和13年建築のこの共同湯は豪放華麗な建築でまるで寺院のような風格である。
このたびゆっくりと建築を見学し、入浴した。外観の写真を撮っていると観光客は必ずといってよいほど正面で記念写真を撮っていた。この建築の立派な外観に感動するのでしょう。
入母屋造りの2階建てで瓦の屋根であるが、正面には銅版葺きの唐破風が付いて立派である。向かって左側は砂湯浴室でこちらは寄棟造りになっている。2階の窓には高欄が廻り白い壁と黒い柱や桁が際立っている。窓は縦長で1層の階高が高い造りである。
屋根裏は肘木の木組みと垂木が重厚さを演出している。左側の棟には裳階が付けられ気品に溢れている。玄関を入ると広い格天井のホールで、右側が浴室である。2階も格天井の公民館になっている。以前ここで講演会を行ったことがあり感慨無量であった。
湯は2つの源泉があり1号泉は土類食塩重曹泉(NaMg―HCO3,Cl)で総計1637mgの湯 57.9度である。2号泉は純重曹泉で総計1436mg 55度である。浴室は半地下のようになっており1階部分の1段高くなったところが脱衣場である。階段で浴槽に下りてゆく仕組みである。
湯はささ濁り、少苦味、微金気臭で以前より渋味と金気臭が少なかった。温泉は生き物であるため、再訪時に違った感触のことも多くある。浴槽は半円形の大きなものが一つだけで簡素なものである。半地下の浴室のため、天井が高く気持ちが良い。折上げの格天井になっている。
砂湯棟も1階よりは低く造られている。入り口を入ると砂落とし用の浴槽がありその奥に砂湯がある。半分ずつ交代で砂の上に湯を張り、砂を暖めるのと同時に清掃して残りの半分で砂蒸しをする人工的な砂風呂である。以前、別府の砂浜は天然の蒸し湯があったことの名残である。
4別府温泉 別府ステーションホテル
駅前のシーウェーブホテルに泊まったが温泉は付いておらず、温泉は提携のステーションホテルに入りに行く。2階が浴室で透明、無味、無臭の単純泉で特に個性は無かった。掛け流しで使われている。
5同尻温泉 個人宅
大分市のとなりの挾間町にある個人宅の温泉。3回目の訪問である。近くには残念ながら枯れてしまった田淵温泉共同湯もあった。
川沿いの敷地に源泉が自噴して流れている。炭酸を含む土類食塩泉でオリーブ色に濁った良い源泉である。炭酸を含む源泉特有の析出物が堆積し、川には10メートルほどの大きな山になって析出物が積み重なっていた。毎回行くごとに大きくなっている。
味覚は炭酸清涼味に塩苦味がある。花山温泉のような感触である。少金気臭もある。含炭酸土類重曹食塩泉だと思われる。総計は15グラムくらいと推測する。
自噴掛け流しである。温度がやや低めで41度の源泉で浴槽では38.5度ほどになっていた。しかし素晴らしい源泉で良い泉脈があると思った。以前行った近くの観音温泉は泥沼状ではなく配管で川に捨てられていた。30度前後の湯であった。
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1鍋山の湯温泉
殺人事件のある前の訪問で現在入浴できるかは不明です。
鍋山の湯の昔からある、下の整備された浴槽に久しぶりに行った。上の泥湯もかなり整備され浴槽がコンクリートで固定されていた。
鍋山の歩道を登ってゆくと右側に噴気地帯が見えてくるが、温泉は左側の石の祠の先にある。大きな岩の裏から源泉が湧出して2つの浴槽に順に入れられている。源泉温度は実測91度であった。
雪混じりの天気であったが、たまに良く晴れ、別府の市街地と高崎山が海に迫り出しているのが見える。絶景の露天風呂である。湯は泥を含有して湧出しており、黒灰色、無味。少硫黄臭と観察した。単純硫黄泉だと推測した。
2へびん湯温泉
へびん湯に10年ぶりほどで再訪した。渓流に沿って湯量豊富な源泉が注がれており浴槽も5ヶ所もあり良く整備されていた。透明、少苦味、無臭の綺麗な湯で単純温泉だと思われる。
一番上の浴槽は綺麗に澄み切った湯の底が砂地で清澄な湯でやや熱めであった。川沿いにほかの4ヶ所の浴槽があるが一つはヌル湯浴槽になっていた。
湯量豊富でどんどん溢れている。以前は一番上の浴槽1つであったがこの湯量の多さで5ヶ所に増えていた。立派な露天風呂で野湯というよりも無料開放露天風呂といった感じであった。
3明礬温泉 鶴寿泉
明礬温泉の共同湯は地蔵泉が枯れてしまって残念であるがこの鶴寿泉は健在であった。瓦屋根の小さな湯小屋で明礬温泉特有の酸性泉が入れられている。69.5度の源泉で総計732mgである。水素イオン(H)を3.2mg含有し酸味と明礬渋味が際立っている。
硫黄分の含有はない。薄白濁濁り、酸味+明礬渋味、少硫黄臭と観察した。小さな空間の中央に四角い木の浴槽が1つのみの簡素なもので、床と腰は切石貼りである。主な含有成分は明礬が主成分で、すぐ前の湯元屋や隣の山田屋と同系の湯で硫黄を含むえびす屋や岡本屋とは違う系統である。
湯の花を生成している明礬小屋の下にあり、湯は酸性の表層水だと思われる。入り口の中央には地蔵様が奉られており賽銭を入れて入浴している人がいた。
4明礬温泉 神井泉 (飲泉、手を付けただけ、入浴は不可)
明礬温泉の湯の里観光施設の近く、民家が8軒だけで管理している共同湯。地元専用で組合員以外一切入浴不可である。今回もお願いしたが見るだけと飲むだけは許可された。
古い湯小屋で浴槽は一つである。木の枠に石の床でやや広い空間に浴槽があった。飲泉したのと手を入れただけであった。透明薄白濁、少酸味、少硫黄臭という明礬系の湯であった。
5別府温泉 山田別荘
別府では温泉道と名づけて88ヶ所の温泉を廻ると名人になれるスタンプラリーが有名である。私はその企画段階から携わっており、初期に名人になったがそのころは88ヶ所の施設しかなく1つでももらせないたいへんなものであった。
結局3回の別府訪問でやっと名人になれた。151代で結構遅くなってしまった。しかし最近では130ヶ所ほどの入浴施設が参加され、比較的簡単に88ヶ所廻れるようになった。この山田別荘は私が名人位を取ってから参加された宿で雰囲気が良いので入浴してみたく思っていた。
別府駅前のホテルに泊まっていた私は歩いてゆける距離であった。海門寺温泉の前を通り、小路に入ったところにあった。レトロな造りの建築で木造2階の邸宅といった外観である。
源泉前には千鳥破風の立派な車留めが付き、横に洋館が付いているが全体は和風の別荘という名前とおりの宿である。モザイクタイル貼りの内湯が2ヶ所と露天風呂が1つある。内湯は半地下のようなレベルでコンクリートの半円形浴槽が1つの簡素なものである。食塩泉ということだが透明、微金気味、無臭のきれいな湯であった。内湯は敷地内の独自源泉である。
源泉コックがあり入れ放題の掛け流しである。弱いつるつるの湯であった。露天風呂はやや大きめな庭園風のもので石組みが風情がある。こちらは少し離れたところの源泉で近隣3軒で使っている源泉とのことである。
建築の白眉は大広間の隣にあり、庭に面した蓬莱の間であろう。秀逸でここに泊まりたいと思った。外観が繊細な木組みの美しさで周囲に廊下が廻っているのも良い。書院の化粧欄間も凝っており、昭和5年の竣工である。洋室も古い造りで天井の石膏レリーフがある。窓も様式風の縦長である。
1別所温泉 花屋
長野県の温泉で中規模の別所温泉は信州の鎌倉とも言われ、神社仏閣と温泉街がある。共同湯は石湯、大師湯、大湯の3ヵ所にありそれぞれ凝った造りで良い。
別所温泉の宿は十数軒あるが第一の宿は花屋でしょう。6500坪の広い敷地に離れが点在し、中庭の池を囲んで渡り廊下で続く造りで国指定文化財になっている。内部は繊細な数奇屋の造りであるがエントランスはうって変わって白壁の城郭の造りである。白壁の塗り込めで2層の城のような外観の建築が玄関前にあり瓦屋根にはしゃちほこが載っている。豪快な印象のエントランスである。
隣の玄関は瀟洒な入母屋の破風である。その右側には食堂棟が白壁で続いている。玄関を入ると一転、白木造りの数奇屋風である。玄関中には格天井のラウンジがあり中庭に面して椅子が置いてある。2階は食堂で大正初期の建築のままである。
広い空間は船底天井で曲がりくねった梁が露出し、民家のような意匠であるが天井、壁が白なので洋風になっている。中庭に出ると渡り廊下が縦横に走り各棟や離れを繋いでいるが、これは繊細な造りである。細い柱に垂木の見える小さな屋根である。
室内を見て歩いた。80番の部屋は離れの部屋で続きの2間に掛け流しの内湯が付いている。81番も離れの部屋で欄間の透かし掘りや書院の化粧格子が精密である。照明器具がレトロで良い。
次にこの宿の白眉である21番の部屋に行く。ここは格天井に絵が書かれているので有名である。書院の化粧格子も凝っている。欄間は花鳥風月の襖絵である。次の見所は23番の部屋である。天井は格天井の端正なものであるが、書院の格子が繊細で素晴らしい。
網を打った絵が格子で造られこの宿随一であろう。また床柱にはかたつむりと竹が彫刻され楽しい。浴室は大理石風呂が圧巻である。
以前は男女別の浴室だったのだろうが一つにされて使われている。2つの浴室がある。左側が四角い浴槽と楕円形の浴槽で右側が四角い浴槽1つである。白いビアンコカラーラとピンク色のローズオーロラとグレーの大理石が主に使われ、緑色の蛇紋石も縁取りに使われている。
床は各種の石の張り分けで浴室全体が大理石で造られている。脱衣室との間にはステンドグラスが使われ、2つの浴室の隔ての上にもステンドグラスがある。湯は浴槽内部で循環しているが常に新湯を掛け流しで入れている。
透明、たまご味、硫黄臭ではっきりとした単純硫黄泉である。よわいすべすべもある。ほかに展望風呂と露天風呂がある。71番の部屋に泊まった。前室のある10畳間で欄間の造りが凝っていた。つつじの植えられた裏庭と玄関前の広場が見える部屋で快適であった。
2別所温泉 柏屋別荘
別所温泉で木造4階の宿が残っている。柏屋別荘である。玄関前の棟が4階の建築で、裏山にも2階建ての建築が続いている。内装は全て改修済で奇麗なレトロな空間になっていた。
しかし梁は古いままで風情のある宿である。浴室は畳敷きの内湯と小さな露天風呂が付いている。透明、たまご味、少硫黄臭の湯が掛け流しされていた。HS 12.4mgの単純硫黄泉で石湯や大師湯とも同じ源泉である。
3別所温泉 石湯共同湯
柏屋別荘の隣にある共同湯。木造平屋一部2階ながら屋根が積層していて、玄関前には唐破風と千鳥破風が連なり、奥に切妻の屋根が控えている。立派な凝った建築である。
浴室は半地下のように下ってゆく。大きな岩が露出した浴槽で以前は掛け流しであったが、循環になっていた。新湯を加えているのでオーバーフロー循環ということであるがカルキ臭があり残念であった。
4別所温泉 大師湯共同湯
トタン屋根の2層の造りになっている共同湯が大師湯である。湯は小さな円形のモザイクタイル浴槽に掛け流しで利用されており、良い使い方であった。透明、たまご味、少硫黄臭の温泉は別所特有の源泉である。
5太朗山温泉 4578湯
上田でレンタカーを借りて少し温泉巡りをした。地図を見ていると太朗山温泉という未湯が発見できたので行ってみた。国道沿いの日帰り温泉センターでカラフルなパチンコ屋のような外観である。湯はよかった。
22.3度の単純硫黄泉ながら加熱掛け流しにしており特に露天風呂の壷風呂がたまご味と硫黄臭が感知出来る。HS 2.4mg H2S 0.2mgながら新鮮な湯ははっきりと硫黄臭がわかり良いものであった。内湯と露天風呂は硫黄臭は消えていた。
6田沢温泉 ますや
以前訪問しその豪快な建築に驚いた宿。一度宿泊もしたことがある。今回3回目ながら、文化財の宿の資料を集めているため各部屋と外観の写真を撮影がてら入浴した。木造3階建ての大きな棟が2棟並び手前に1段下がって3階建ての建築がある。ここに藤村の間があり現在でも使われている。
この間に玄関があり小さなロビーがある。藤村の間は2部屋続きの和室で華美な装飾はないがしっかりと造られた和室である。次に木造3階奥の棟の角部屋51番が良い。書院の透かし彫りの彫刻と化粧欄間が凝っている。高台の3階にあり眺望が一番の売りであろう。
いまだに木製建具で文化財になったのが分かる。障子を開けると欄干の付いた廊下が廻っておりガラス戸が付いている。驚いたことに手前の棟の3階はガラス窓が入っておらず室内と外部は吹き放しの欄干である。障子1枚だけの部分がある。ここは夏のみ使うとのことである。全体では、古さを持った風格があるが各部屋は結構傷みがきている。しかし大きな宿で全て使えばかなりの部屋数になるであろう。
浴室は一番奥に新築の内湯と露天風呂があるが手前の棟の地下に家族風呂として小さな浴室がある。昔に泊まった時はここしかなかった。モザイクタイルの浴槽に38.5度の単純硫黄泉が掛け流しになっている。湯量が少なくヌル湯であった。
7田沢温泉 有乳湯共同湯
田沢温泉は湯量豊富である。ヌル目の湯であるが豊富に使われヌルさを感じないほどである。有乳湯は新築の共同湯で立派に造られた。外観は山田温泉の共同湯や野沢大湯までは至らないにしても、木造の凝った造りだが内部はタイル貼りの簡素なもので現代的なのが妙にマッチしていない。しかし豪快に溢れる掛け流しの湯は感動的である。
浴槽の手前にある掛け湯の色が薄く緑がかっているのが不思議である。湯は透明、たまご味、硫黄臭の単純硫黄泉で39.5度の源泉である。総計229mgと少ないがHSイオンが7.1mg含有され存在感が増している。大量の湯が掛け流しされており湯に浸かると湯中の気泡が付着する。身体が真っ白になり素晴らしい体験ができる。その気泡を取り去るときにつるつるの感触があり面白い。
驚いたのは外にある洗濯場にも太いパイプから大量に湯が流されておりもったいないほどである。この共同湯から溢れた湯は前の下水にゴーゴーという音を立てて流れている。湯量豊富なことは素晴らしいと思った。
8沓掛温泉 小倉の湯共同湯
沓掛温泉に久しぶりに訪問した。小倉の湯共同湯は新装されていた。湯が大量に掛け流しされており、浴槽の縁の側溝は湯が流れている。浴槽は2つに分かれ、片方は1号泉の自噴源泉で36度ほどである。しかしそちらにじっと浸かっている人がいるのはヌル湯の特徴である。
隣に39度ほどの4号泉の浴槽がありこちらは700mの掘削自噴である。ともにアルカリ性単純温泉でHSイオンが1.5mg含まれている。透明、少たまご味、無臭の湯である。しかし豊富な湯で掛け流しが多く良い共同湯である。
9 しなの木温泉 ひな詩の湯
4579湯
上田市内に出来た日帰り温泉施設。メタ珪酸の規定泉で17.4度の源泉である。透明、無味、無臭、循環、加温、殺菌である。内湯と露天風呂のみ温泉であるが特に個性は無かった。
1 溝口温泉 喜楽里
重曹食塩泉 41.3度 1800m掘削 掛け流しの露天風呂あり
第3京浜国道の川崎インターチェンジの近くに新しく出来た温泉センター。和風の建築である。総計3541mgの重曹食塩泉(Na-Cl,HCO3)で紅茶色透明(透明度1m)の美しい色である。はっきりとした塩エグ味があり、掛け流し湯口では香ばしい少臭素臭がある良い湯であった。
1800mの掘削で41.3度の源泉が出ている。温泉利用の浴槽は、四角い石造りの内湯が1つあり循環である。露天風呂には掛け流しの上の湯と循環の下の湯がある。庭の中に円形の岩組みの浴槽があり小さな上の湯と大きめな下の湯がある。ともに加熱はされている。つるつるの感触がある肌触りの良い湯で気に入った。つるつるやや強しと記録した。
2 千年温泉
純重曹泉 19.6度 黒湯 有機物311.7mg 銭湯の温泉
武蔵新庄駅近くにある銭湯の温泉。久しぶりに訪問した。19.6度の純重曹泉で有機物が311mgと多量に含有されており、黒褐色の色は透明度6センチほどである。300mgを超える有機物の含有量は国内でも屈指でいままで最高値であった鶴見の松の湯435mgや横浜の鎌倉館364mgなどが廃業しこの千年温泉がトップクラスであろう。
一般的な銭湯で、内湯の2つの浴槽が温泉が使われている。そのほかに露天風呂も黒湯の温泉である。毎分10.5リットルという湧出量ながら各浴槽でカランで源泉を足すのが自在になっておりよかった。黒褐色(6センチ)、エグ味、微わら臭あり、と観察した。総計2139mgで純重曹泉ながらつるつる感はなかった。
3 桜館
鉄筋3階建の銭湯 黒湯 腐植質68mg
大田区の池上駅の近くにある温泉銭湯。鉄筋コンクリートの3階建てで緑色の建物である。総計1106mgの純重曹泉である。68mgの腐植質にしては黒さが濃く、黒褐色で透明度3~4センチである。エグ味で、堆肥臭がある。温泉は露天風呂だけで使われており1つの浴槽である。
循環が残念である。つるつるの感触もあり存在感は大きい。毎分140リットルの湧出量があるので加熱掛け流しであるとさらに良いと思われる。別棟で食事処があり、マッサージもあるスーパー銭湯と一般の銭湯の中間的な存在である。
4 久松温泉
コンクリート造の黒湯の銭湯。内湯の2つの浴槽のみ温泉 有機物57.8mg
池上本門寺の近くにある黒湯の温泉銭湯。16.8度の温度で総計が950mgなので重曹で温泉規定に入っている。有機物が57.8mg含有され透明度7センチほどの黒湯である。内湯の2つの浴槽だけ温泉が利用されている。黒褐色(7センチ)、少エグ味、無臭である。弱いつるつる感のある湯であった。
5 数馬温泉 蛇の湯たから荘
東京でも最も西にある温泉で秋川渓谷の最奥部にある。ここから奥多摩有料道路で奥多摩湖に抜けることができる。中央高速道路で上野原インターチェンジで降りて峠を越えて秋川の渓谷に下っていった。12月では路面も一部凍結しており、バイクの走行には細心の注意を払った。
渓谷を遡り数馬の集落に入ると左側にかぶと造りと言われる茅葺きの屋根があり、これが蛇の湯たから荘である。以前にも訪問したが変わらずに残っていた。浴室は渓谷沿いに下って行く。大きなガラス窓のある内湯のみの施設である。10.6度の単純硫黄臭が湧出しており、総計160mgの薄いものであるがHSイオンを12.8mg含有し加熱オーバーフロー循環なので温泉の個性は残っていた。
透明、無味ながら仄かな硫黄臭があった。OHイオンを5.4mg含有しアルカリ性の湯でPH10.5と高いアルカリ性である。しかし成分総量が少ないのでつるつるの感触は弱く、かすかにすべすべする程度であった。伊豆石貼りの浴槽で御影石の縁の造りである。
6 深大寺温泉 ゆかり
調布の市街地の中にある温泉入浴施設で深大寺の近くにある。加温循環の黒湯で加温循環で利用されている。五右衛門風呂のみ掛け流しとのことだ。40.3度の食塩泉で総計9019mgの等張性の源泉である。有機物を51.7mg含有しつるつるの黒湯である。飲むとはっきりとした塩味がある。こじんまりとした施設で都心に近いのを忘れる風情である。
1鳴子温泉 滝の湯共同湯 (再訪)
酸性硫黄Na、Al,Ca,Fe-SO4泉 46.2度 町営下地獄源泉 白濁、酸味、硫黄臭
滝の湯は鳴子の有名な共同湯で混雑していた。小さな湯小屋ながら大きめな内湯浴槽が室内に大きく取られている。裏側に打たせ湯がありこちらが温泉神社源泉で、浴槽が町営下地獄源泉である。分析表ではPH2.8の酸性泉で酸性硫黄緑礬石膏明礬泉である。
鳴子での酸性泉は少なく珍しい。裏手の地獄地形の表層水なのであろう。すぐ隣のゆさやの源泉はアルカリ性である。青森ひばの床、浴槽で46.2度の源泉が大きな樋から掛け流されている。真っ白に白濁し、酸味、硫黄臭の温泉である。ヌル目の打たせ湯の源泉は炭酸味がした。
2鳴子温泉 ゆさや (再訪)
硫黄Na-SO4 99.5度 HS 83.4 CO3 90.0 緑色、硫黄エグ味、たまご味、硫黄臭あり、つるつるの湯
うなぎ湯の本家で有名なゆさやである。滝の湯の隣にあり、100メートル以内の掘削でまったく違った源泉が湧出している。99.5度の含硫黄芒硝泉でPH 8.9である。硫黄の含有量が多く全国でも屈指のHS 83.4mgを誇っている。CO3も90mg含有されつるつるの湯になっている。
重曹泉でなくても炭酸イオン(CO3)が存在すればつるつるするのである。緑色不透明、硫黄たまごエグ味、硫黄臭と観察した。今回はつるつるが少々弱かったような気がした。好調であれば中山平に匹敵するつるつるであるが、やや少なめであった。
3鳴子温泉 すがわら (再訪)
透明、少エグ味、少薬品臭 CO3 50.3 H2SiO3 498.6 つるつるの湯
鳴子の東寄りにある宿。平成20年に分析し直すと、総量が倍増したとのこと。またCO3が50.3mg メタ珪酸が498.6mgと個性的物質も含有したまに青くなる温泉である。
別府や湯布院の一部に見られた青い湯は、鳴子にもあったのだ。東の横綱と思われる多数の泉質と個性的な湯がたくさんある鳴子にまた変り種の温泉を発見した。透明、少エグ味、少薬品臭でつるつるの湯であった。今回は青くなかったが青くなった写真をみた。
4東鳴子温泉 まるみや (再訪)
薄赤褐色、渋エグ味、少金気臭 鄙びた湯治場、日帰り不可
東鳴子温泉は鉄分を含み赤味をもった源泉の赤湯と黒い湯の重曹泉が湧出する温泉地で各旅館によってその個性が違い、素晴らしい温泉地帯である。東鳴子の入り口に近い鳴子温泉寄りのまるみやは独自源泉の浴槽が良い湯で薄い赤褐色の色の湯である。
47.5度の重曹泉で溶存1016mgの薄いものだが、鉄分を1.2+1.5で2.7mg含有し存在感のある湯になっている。弱い炭酸味も感知できる新鮮な湯である。薄赤褐色、渋エグ味、少金気臭と観察した。
半地下のようなコンクリート浴槽が独自源泉の浴槽で、1階には赤湯共同源泉を使用している浴槽もある。こちらは透明で存在感は少ない。日帰り入浴不可の湯治専門宿で古い風情のある建築であった。
5東鳴子温泉 田中旅館 (再訪)現在廃業しました
黒褐色、エグ味+苦味残る、油刺激臭多し 円形のドーナツ型浴室
東鳴子の東部に行くと黒湯が湧出している。代表的な例が田中旅館である。黒褐色の湯でエグ味+苦味残る、油臭多しと記録した。特に匂いが強烈で、刺激的な油臭が印象的である。ほかには初音旅館や高友旅館、馬場温泉なども黒湯である。80.5度の重曹泉で総計1808mgと1722mgの2枚の分析表があった。
ドーナツ型の浴槽で穴の部分は吹き抜けで外部になっている。変った浴槽で混浴である。東京の黒湯が高温で湧出し、さらに油臭がするといった温泉である。強い存在感のある温泉である。古いコンクリート造の浴室棟で宿は奥に木造の瀟洒なものが建っている。昔、鳴子に初めて来た時に泊まった温泉である。20年近く前であるが時間が止まったかのように同じく存在していた。
6東鳴子温泉 高友旅館 (再訪)
黒湯はオリーブ色、刺激味、タール臭 ひょうたん湯は薄褐色、エグ味強し、油臭
田中旅館の前にあるのが高友旅館である。ここには名湯「黒湯」とシャボン玉のような泡が表面に出来る「ラムネ湯」が有名である。木造の大きな宿で迷路のように建っている。大浴場的に使われているのが黒湯で混浴である。以前は4ヶ所の浴槽はみな混浴であったが今回はラムネ湯が女湯、ひょうたん湯が男湯になっていた。ラムネ湯とひょうたん湯は同じ源泉なので良いだろう。
しかし湯の入れ方で泡の浮くラムネ風呂に入れなくなったのは残念であった。黒湯はその名前のごとく黒いわけではなく、オリーブ色である。黄褐色の濃いものである。刺激味で、タール臭がある。幸の湯源泉で59.2度の含硫黄重曹泉(S-Na―HCO3)でHS 2.4mg H2S 2.2mg CO2 189mgである。しかしアスファルトのタールのような刺激臭が特殊である。
油臭の濃さは田中旅館に一歩譲るが、すこし匂いの種類が違う。ラムネ湯に使われている玉の湯源泉は51度の含硫黄重曹泉で薄褐色透明、エグ味強し、油臭である。つるつるがやや強めで良い感触の温泉であった。朝一番の掻き回されていない時には表面一面にシャボン玉のような泡が付くのである。何度か遭遇したことがある。
7馬場温泉 湯小屋 (再訪)
黒褐色(コーラ色)刺激味、少油臭あり、つるつるの湯 泡付きあり、47度前後の熱い湯
馬場温泉の庭先にある国指定の文化財でもある湯小屋は立て替えられていた。もう5年になるというので、それ以上のご無沙汰であったわけだ。風雪で板の表面も茶色に染まり風格が出てきた。以前のものとあまり変らない感じで建っていた。文化財でも同じように立て替えて良いのだそうだ。
ここの湯はいつ来ても熱い。今回は夏なので、48度くらいの熱い湯になっていた。入浴すると泡付きがあり新鮮な良い湯である。匂いも良い。しかしなんせ熱すぎて長湯が出来ないのが残念である。ここは冬向けである。黒褐色(コーラ色)、刺激味、少油臭であった。つるつるの感触もあり、色、味、匂いの個性もはっきりとある名湯である。東鳴子の宝である。
なお別源泉が母屋と宿の間にあり、温度もあり似たような源泉ながら使われておらず、ただ捨てられているのがもったいなかった。宿の湯は同系の重曹泉でコンクリートの湯小屋に三角形の浴槽がある。屋根は木造である。自炊もやっている新しい湯治宿である。ここに泊まり中庭の湯小屋で湯三昧すれば素敵であろう。次回の楽しみとしたい。