1奥奥八九郎温泉
奥奥八九郎温泉は以前、石油を掘ろうと掘削したところ温泉が湧出しそのままになっている野湯である。5年も前は知る人ぞ知る秘湯であったが、最近はいろいろのメディアで紹介され有名になった。
源泉は炭酸がジャグジーのように湧出している源泉穴があり、その地点と周囲に4ヶ所の浴槽があり入浴できる。1月下旬でも除雪されていて前まで行ける。
まさに源泉直接の足元湧出源泉である。色は透明ながら赤い析出物が多量に付着し沈殿しているので、入浴して掻き混ぜると赤褐色の湯の色になります。炭酸エグ味、炭酸金気臭と観察した。
泉質は含炭酸食塩重炭酸土類泉と推測した。源泉の浴槽はやや熱目で周囲の浴槽で適温である。源泉の周囲はうろこ状の析出物で台地のようになっており、その上を湯が流れ去っている。奇麗な表情なので写真をたくさん撮った。
2八九郎温泉
手前にある八九郎温泉はテントが掛けられ男女別になって小さな共同湯のように整備されていた。湯は源泉から2つの浴槽に分けて流されているが湧出量が多く、大量の掛け流しになっていた。
3東鳴子温泉 いさぜん旅館
東鳴子温泉でまだ未湯で残っていた温泉。浴室は混浴で鉄鉱泉と炭酸泉と書かれている。鉄鉱泉は57.2度の食塩重曹泉で総計1723mgのものである。
薄褐色、エグ味、少油臭ありという源泉であった。炭酸泉は44.1度の純重曹泉で総計1042mgのものである。微褐色、少エグ味、少たまご味、微硫黄臭と観察した。ともに鉄分や炭酸分があるわけではなかった。
4鳴子温泉 ホテル亀屋 宿泊
鳴子の入口で車湯と呼ばれている亀屋に泊まった。二見の湯源泉が使われており、大きなホテルである。78.2度の食塩重曹泉で総計1964.1mgである。
湯は東鳴子の黒い油臭のある源泉に似ており黒褐色透明、エグ味と辛味あり、油臭と観察した。匂いが個性的である。いさぜん旅館の鉄鉱泉に近似していると思った。
5鬼首温泉 荒湯地獄野湯
翌日は鳴子温泉に行き、荒湯地獄に入浴した。道路は神滝温泉横の蟹沢から林道を上がってゆく、夏は鬼首からの広い道路が良いアプローチだが、冬は未舗装の林道のほうが除雪される。
地獄が俯瞰できる上からの沢沿いに下っていった。雪が深くカンジキを履いて行った。硫化水素臭の多い地獄地帯から湧出した温泉が川になり一部堰きとめてあって入浴できる。湯に触れられる場所に着いて温度を測ってみると75度である。源泉からは300mほど下っているが、まだ温度が高い。
その下流に一つ目の浴槽が造ってある。ここでは47度でまだ熱い。その下の浴槽が43度で入浴できた。気温は雪交じりのマイナス3度ながらロケで入浴時間が長かったのでのぼせそうになった。
酸性泉であろう透明、酸味、少硫黄臭である。湯は白濁しておらず、硫黄分は少ない、酸性泉または明礬緑礬泉であろう、川全体が温泉というロケーションで冬にでも入浴できるという素晴らしい温泉である。
ただし地獄の源泉湧出部は危険である。硫化水素ガスも多く、足元が崩れやすくズボ抜けで大火傷になりそうである。下流の沢筋で入浴し、上部の源泉噴気地帯の立ち入りは危険である。
6鳴子温泉 早稲田桟敷湯
黄色いモルタルで塗りこめた現代建築で、鳴子駅の近くにある共同湯である。早稲田大学の学生が戦後掘削し、湧出した温泉を共同湯として利用されてきたが、建築家の石山修武の設計で新築された。2つの建築が微妙にずらして建築され、平行の部分がなく鋭角の隙間からアプローチするという設計である。浴室は吹き抜けの大きな空間で浴槽の横に源泉の樋がありゆっくりとした掛け流しになっている。湯は98度の含硫黄食塩芒硝泉で総計1241mgである。S2O3 2.7mg H2S 1.4mgの含有量である。透明、たまご味+少苦味、微硫黄臭と観察した。硫黄泉の白い湯の華が少々浮遊していた。
7 某個人宅
一般の家の家庭風呂に周囲の数軒で利用されている地元専用共同湯。浴槽は一つで混浴である。湯の感触は黒褐色で馬場温泉のヌルいものである。源泉で40度ほどであろう。地元専用温泉で何度も行ってやっと入浴の許可がおりた。
黒褐色(80センチ)甘味、少硫黄臭と観察した。特記は大量の泡付きで炭酸泉のように体中が泡で真っ白になる。取り去っても取り去っても付着する。馬場温泉の湯小屋は熱いがそれを適温にした感じである。素晴らしい源泉であった。
郡司が実際に行き、観察・記録した湯について書いています。
※これらの写真・文章の版権所有者は郡司勇です。無断でコピーしたり転載したりすると法律で罰せられます。
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2012/06/03 東北
八九郎温泉と鳴子の秘湯