1
天ケ瀬温泉 シャレー水光園 70
天ケ瀬温泉は中央に流れる川の両側に旅館が接して建築され、川の岸に露天風呂が点在する温泉地である。数えると15か所以上になる。それぞれ益次郎温泉とか薬師湯、古湯、神田湯、鶴舞湯、駅前温泉、などがあるがブルーのシートで屋根を掛けてあったりして完全には開放的ではない。
しかし一番大きくそして開放的なのがシャレー水光園の所有するかじか湯露天風呂であろう。小さな脱衣所があり便利である。湯は単純硫黄泉で透明、たまご味、硫黄臭あり。と観察した。
大きな露天風呂でややヌル目の湯である。つるつるの感触もあり天ケ瀬特有の温泉である。硫黄泉なので各所の露天風呂のうち一つくらいはどこか白濁しているところがある。それは探す必要があるが当たれば最高である。
過去に天ケ瀬の露天風呂の総めぐりをしているときに一つだけ白濁している湯があって感動した。
2
杖立温泉 米屋別荘 75
天ケ瀬から山を越えて杖立温泉に来た。渓流に沿った斜面に張り付くように建つ温泉街が杖立温泉である。連休の時期には川の両側からこいのぼりを大量に吊るしている。大きなビルの旅館もあるが、中でも風情のある米屋別荘に入浴した。杖立温泉の老舗である。
和風の瀟洒な宿で柱や梁が黒く塗られ黒川調とでも言おうか?98.3度の高温の食塩泉で総計1999㎎の温泉である。内湯に石の刳り貫き浴槽が2つありジャグジーになっている。
また大きな天然岩組の大石風呂もある。露天風呂は打たせ湯と庭園風露天風呂であった。透明、無味、噴気臭であった。塩気を感じないのは少々加水していると思われる。
3
日田温泉 かんぽの宿日田 75
日田の三隈川に沿って温泉街があるが、かんぽの宿だけは離れて別源泉の宿である。大きなコンクリートのビルの旅館である。内湯は循環ながら露天風呂は掛け流しにされている。
70.5度の食塩重層泉で総計2320㎎である。露天風呂は別府のひょうたん温泉発祥の湯雨竹によって適温に冷まされ掛け流しにされている。
そのため内湯は透明、無味、無臭ながら露天風呂は透明薄白濁、エグ味、噴気臭があって存在感がずっと多かった。つるつるの感触もあり良い湯であった。
4
日田温泉 みくまホテル 65
日田の市街地に沿って三隈川は広くなり、鵜飼なども行われる水郷の街である。温泉街は川に沿って並んでいる。その中で高層ホテルがみくまホテルである。
川と市街地の展望の良い屋上露天風呂がある。ここに宿泊した。部屋は7階で三隈川の流れが眺められ絶景である。湯は10階の屋上にある。36.4度の単純温泉で透明、無味、無臭、循環、殺菌であった。少々オーバーフローしていた。訪問してわかったが以前ここは入浴したことがあった。
泉質の良いかんぽの宿のほうに宿泊すれば良かったと思った。
5 筑後川温泉 清の屋 75
翌朝は泡付きのある夜明薬湯が休業日でざんねんであった。1湯目は筑後川温泉の清の屋である。大きなホテルの温泉である。アルカリ性単純温泉の37.4度で総計232㎎の清澄な温泉である。
温泉は内湯が1つだけの簡素な施設で御影石の浴槽に掛け流しで利用されている。透明、無味、微々硫黄臭であった。
6原鶴温泉 平成ビューホテル 85
原鶴温泉街の北側にある山の上にある大きなホテルの温泉。温泉は離れになっていて和風の瓦屋根の建築である。浴槽はなんと露天風呂のみという潔い施設であった。
岩を組み合わせて野湯風に造られておりなかなか風情がある。また山の上の露天風呂なので筑後川と田園風景の鳥瞰が美しい背景になっている。湯は総計830㎎の単純温泉で38.1度であるが、個性があってよろしい。
源泉掛け流しなので良い使い方をしている。鉄分を1.6㎎含有し薄黄褐色に濁り、エグ味あり、香ばしい香りがあった。湯口には赤褐色の析出物が付き雰囲気も良い。
加温と思われるが良い温泉であった。眼下に見える原鶴の温泉街の温泉は透明、無味、無臭の清澄な温泉なので、掘削によって良い源泉も現れるというのが良く分かった。
7甘木温泉 卑弥呼の湯 90
甘木の街中にある日帰り温泉施設。和風と中華風との折衷した意匠の建築で瓦屋根に湯気抜きの四角い屋根が男女別に2つ立ち上がった建築である。49.3度のアルカリ性単純温泉ながら素晴らしい存在感である。
総計332㎎のうち陰イオンの主成分が炭酸イオン(CO3)で57㎎の含有量である。また1.9㎎の硫化水素イオン(HS)によって微たまご味と硫黄臭が感じられ良いスパイスになっている。
最大の特徴はCO3によるつるつるの感触であろう。つるつる強しと観察した。循環ながらオーバーフローが多くほぼ掛け流しに近い。また湯が新鮮なため、内湯のみ泡付きが多く、炭酸泉のように身体中に気泡が付き取り去るときにさらにつるつる感触が増す。良い温泉である。
全国の温泉センターは見本にしてほしいと思った。
8 花立山温泉 カルナパーク花立山温泉 80
丘の上にある3階建ての学校のような大きなビルの温泉施設。大きな円形の内湯が3連である。露天風呂も円形風呂である。大理石の浴槽である。
透明、無味、微々硫黄臭の湯である。アルカリ性単純温泉の37.8度である。毎分800リットルの湧出量を掛け流しで利用している。
炭酸イオン(CO3)が51㎎と多くつるつるの感触が良い湯である。硫化水素イオン(HS)も1.2㎎である。卑弥呼の湯と同系の泉質である。
9久留米温泉 天然の湯あおき温泉 80
小さな日帰り温泉。平屋の新しい施設である。内湯はタイルの浴槽で3つに分かれている。それと露天風呂がある。すべて掛け流しで良い使い方である。
含硫黄食塩泉(S-Na-Cl)で総計1570㎎である。65度の湯温で毎分200リットルも湧出している。湯量は充分であろう。硫黄分はHS 0.6㎎ S2O3 2.0㎎で含硫黄になっている。
塩分は少なく透明、微たまご味、微硫黄臭と観察した。
10 大川温泉 貴肌美人緑の湯 85
仮設風の平屋造りの木造温泉施設である。なんと湯がモール泉でこの地域では珍しかった。食塩重層泉の46.8度で総計1520㎎である。
内湯と露天風呂がともに掛け流しで使われており良い温泉である。縁やコーナーから湯が溢れ小川のように流れている。掛け流しの量が多く湯量豊富だと感じる。
湯は黄褐色透明、少エグ味、モール臭(森の香り)である。匂いが良く芳香であった。ややつるつるもあり存在感のある源泉である。
御影石造りの四角い大きな内湯と岩組露天風呂とプールのような水色の四角い浴槽が2つであった。また温泉によるミストサウナもあった。若い女将さんが美人で私好みであった。
11 平山温泉 元湯 80
平山温泉の共同湯は隣の敷地も含めて大きくなり改築されていた。総計220㎎の極めて成分の薄い温泉ながら貴重な成分によって素晴らしい個性を発揮している。
44.6度のアルカリ性単純温泉であるが、HSが1.9㎎含有されており、微硫黄臭があるのと、陰イオンの主成分が炭酸イオン(CO3)なのでつるつるの感触がある。
CO3は38.3㎎44.4パーセントである。透明、甘味、微硫黄臭と記録した。内湯のみの施設で熱い湯とヌル湯の2浴槽になっていた。露天風呂は使われていなかった。
12平山温泉 湯の蔵 75
草木に覆われた風情のある温泉旅館。茅葺の門構えが鄙びている。母屋や宿泊室も平屋で離れのようになっている。黒川調と言えるような造りである。
浴室は四角い木の枠の内湯と、コンクリートで固めた露天風呂が2つある。湯は42.1度の単純硫黄泉で総計295㎎である。硫化水素イオン(HS)が4.7㎎含有している。炭酸イオン(CO3)も51㎎で主成分になっている。
透明、甘味微たまご味、微硫黄臭であった。つるつるの湯は元湯と変わらずであった。ややヌル目で新鮮味があまり感じられなかった。
13宝田温泉 宝の湯 80
小さな日帰り温泉施設。地元の共同湯のような存在である。湯は42.6度の純重層泉で解離成分は3185㎎と比較的多い。
重層分がメインであるが硫化水素イオン(HS)が0.8㎎ 遊離硫化水素(H2S)が0.4㎎含有されている。透明薄褐色、エグ味+少塩味、金気臭と微硫黄臭があった。弱いがつるつるの感触もある。
存在感のある源泉である。重層が多いのが味覚によってエグ味で分かった。御影石造りの内湯が2浴槽と露天風呂が長く大きなものが1つとヌル湯の少浴槽が1つあった。
掛け流しで湯が縁から溢れて床に流れている。良い温泉であった。
14 亀の甲温泉 80
平屋の小さな温泉施設。この近くには山鹿温泉を筆頭に辰頭温泉や不二の湯、宝の湯などたくさんの温泉施設がある。温泉密集地域である。
ここの湯を九州温泉道に選んだのは加熱掛け流しでつるつるの湯が気に入ったからである。小さなタイルの内湯と岩組の露天風呂がある。ともに4人用くらいのものである。
湯は39.2度の純重層泉で内湯は豪快に掛け流しされている。透明、無味、無臭ながらつるつるの良い泉質である。
15湯の浦温泉 亀井荘 85
小さな温泉旅館。ここは毎分122リットルの湧出量の温泉を小さな2人用くらいの浴槽に掛け流しにしていて使い切っているので豪快な掛け流しが素晴らしい。男女別に小さな内湯が1つの簡素な温泉である。タイルの小さな浴槽が一つで、ライオンの口から温泉が掛け流されている。
新鮮なために泡付きもあり、身体に付着した気泡を取り去るときにつるっとした感触もある。
温泉は新鮮さが命である。ここの湯はその大きな一つを満足している。39.7度の単純温泉ながら透明、たまご味、硫黄臭という感触がある。
単純硫黄泉になる規定以下の硫化水素イオン(HS)1.1㎎ 遊離硫化水素(H2S)0.3㎎がはっきりとわかる貴重な温泉である。以前に宿泊したこともあるが静かでよい宿であった。
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九州温泉道 熊本県ほか
1 地獄温泉 清風荘 90
清風荘は木造2階の古い造りの宿で良い風情である。玄関に大きな提灯が2つ下げてあり特徴となっている。この温泉には宿泊も含めて数多く訪問している。何回来たか覚えていないほどである。
浴室は4か所にあり庭先に下がってゆくと混浴のすずめの湯がある。ここは足元湧出の浴槽でヌル目の浴槽は6つに区切られ、熱めの浴槽が2つに区切られている。灰白濁の色で、たまご味と酸味がある。
硫黄臭も多い。木製の内湯が男女別にあり、そこから混浴の露天風呂に行く。昔は泥湯であった。20数年前に初めて訪問した時には、底に泥が沈殿していて木枠の上にも泥が大量に溜まっていた。
しかし現在は灰白濁に濁った湯といった様子になっている。分析表が2つあり41.3度のPH2.9と47.1度のPH2.7の2つである。
足元から気泡が立ち昇りすずめの鳴く声に似ているのですずめの湯と命名されたが現在では気泡は少なくなってしまった。
また以前の話で申し訳ないが昔は一面に気泡が充満していて、確かにすずめの鳴くような音がしていた。ほかには玄関棟の並びにある内湯の元湯である。61度の湯で総計299㎎でH2S 1.4㎎である。薄白濁、酸味、無臭である。
離れの半露天風呂のような新湯もある。こちらは屋根付きの吹き放しで木枠の浴槽である。45.3度の単純酸性硫黄泉で総計1189㎎である。H2S 6.5㎎である。薄白濁、酸味、硫黄臭は少ない。
宿の裏手にあり、やや登ったところにあるのが露天風呂で白濁した湯である。微酸味、ほぼ無臭ながら掛け流しは多い。風情のある造りの露天風呂であった。女性用の露天風呂はその上にあり仇討の湯と言われている。すずめの湯の泥や気泡、匂いなどの存在感は行く度に減少してきているのが残念であるが、やはり足元湧出という点で高得点とした。
2 垂玉温泉 山口旅館 80
地獄温泉のすぐ下にある温泉。硫黄泉が主体の地獄温泉とは違い金気のある単純温泉である。宿の中に風情のある内湯、露天風呂があるが入浴時間外で、離れの金竜の滝直下にある滝の湯に入浴した。
43度の単純温泉で総計736㎎である。PH6.2でFeは2.0㎎である。浴槽の縁や岩が赤く染まり、金気があるのがわかる。透明、金気味、少金気臭であった。入浴しているとすぐ裏に滝が見えて絶景である。次回は泊まりでゆっくりと来たいものである。
3 坊中温泉 夢の湯 80
瀟洒な疎林の中にある和風の日帰り温泉。以前とは違い、改修されて風雅な施設となっていた
。
大きな内湯と露天風呂があり掛け流しで使われている。NaMg-SO4,HCO3土類重層硫酸塩泉で51.5度、総計2185㎎の温泉である。
薄褐色、エグ味、少金気臭で湯の存在感はある。色つきの硫酸塩泉は良い湯が多く、ここも良い温泉であった。
4満願寺温泉 温泉館 85
満願寺温泉の有名な川沿い露天風呂の裏にある温泉共同湯。四角いコンクリートの小さな建築である。透明、無味、無臭の単純温泉が豊富に掛け流しされており感動的である。
底が石貼りで縁がタイル貼りの浴槽である。42.8度で総計814㎎である。湧出量は毎分237リットルである。豪快な掛け流しは泉質にかかわらず新鮮で気持ちが良いものである。
5 黒川温泉 旅館山河 80
木々に囲まれた風情のある旅館で、内湯と混浴露天風呂がある。73.1度のNa-Cl.HCO3,SO4(芒硝、重層食塩泉)で総計1696㎎である。湧出量は毎分180リットルと豊富である。
内湯は大きな天然岩が組まれたもので太い柱の空間である。透明、無味、金気臭であった。
露天風呂は打たせ湯が付いた広いもので微ささ濁り、少金気味、少金気臭であった。露天風呂は美しく造りこまれていて、黒川温泉の代表的なものである。
宿の造りも黒川調で黒い柱と瓦屋根の雰囲気のある旅館である。囲炉裏の棟もある。人気があるのがうなづける。
6 黒川温泉 こうの湯 80
こうの湯は以前、開業当時に訪問したことがある。新築で木々も少なく閑散としていたが、今回は草木が生い茂り、立派な風情のある宿に変わっていた。
離れの露天風呂棟は太い柱、梁で造られた脱衣所があり、露天風呂に出て行く。以前は赤い湯であったが現在は緑色で少金気味、無臭となっていた。
大きな露天風呂に3本の打たせ湯が付いていて、その先に深さ1.6メートルの立湯がある。52度の単純温泉であるが新鮮でよかった。
黒川温泉は穴湯などの酸性泉から硫酸塩泉、金気臭のある単純温泉、白濁する硫黄泉など多種の源泉があり楽しめる温泉地である。
7 山川温泉 しらはなシンフォニー 85
山川温泉は過去に共同湯と山林閣、華ゆうに入浴したことがあるが、しらはなシンフォニーは初めてである。単純硫黄泉で黄色い湯の花が大量に沈殿するのは山林閣などとも同じであった。
透明であるが入浴すると白濁し、たまご味、硫黄臭多し、と観察した。露天風呂が2か所にあり、ほかにも男女別の内湯と露天風呂がある。
含硫黄芒硝石膏泉(S―CaNa-SO4,Cl)で53.4度、総計1251㎎、HS 0.1㎎ H2S 4.2㎎という成分量であった。
この山川温泉は湯の花が多く湯口にはビロードのように白い硫黄華が付いている。また浴槽の底にも多量に沈殿しており、入浴すると真っ白に白濁する。良い温泉である。
8岳の湯温泉 ゆけむり茶屋 75
湯けむりに包まれた集落の岳の湯温泉に日帰り温泉施設ができた。白地商店の左下の敷地である。瓦屋根の平屋の新築施設である。大きな内湯が2つの浴槽であるのみの簡素な施設である。透明、微塩味、無臭であった。
掛け流しで利用されている。入口の前には石を刳り貫きそこから噴気を出しているオブジェがあり、この地域の地熱の高さを実感した。
岳の湯は小さな湯小屋が各地にあってみな地元専用温泉になっている。以前はお願いして地元専用温泉に入ったがここが出来て誰でも入浴できるようになり混雑していた。
9 はげの湯温泉 豊礼の湯 80
はげの湯では、以前出版した一湯入魂温泉では青い湯で美しいわいた山荘を紹介したが、その後、この豊礼の湯が出来てこちらでも青い湯に入れるようになった。
青い湯は100度近い温度で湧出した食塩泉がなることがほとんどでほかには硫黄泉が青白くなることがあるが高温の食塩泉からなる青い湯は青色透明の時があり美しい。
この豊礼の湯は青白いことが多く、わいた山荘やいちのいで会館、神和苑のような青色透明の時は少ない。今回は青白濁、塩味、噴気臭であった。
つるつるの感触があり入浴感は非常に良い。96.5度の食塩泉で総計2620㎎である。メタケイ酸は73.4㎎と青くなる湯にしては比較的少ない。露天風呂のみの施設で涌蓋山の展望が美しい。
10 北乃園温泉 80
川底温泉や壁湯、法泉寺温泉などを抜けて大分県に入った。玖珠町の北乃園温泉に入浴するためである。玖珠町には街中にも各所に温泉があり20か所ほど温泉が点在している。
ほとんど入浴したが位置が離れているので温泉数のカウントは別にしている。分かりづらい場所にあり、以前訪問したことがあるが今回はかなり迷った。
小さな湯小屋の共同湯で小さな内湯が一つである。掛け流しで利用されている。湯は薄い黄色で少油味がする、匂いはモール臭とでも言おうか?53度の温泉で分析表を見忘れてしまった。