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郡司が実際に行き、観察・記録した湯について書いています。
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温泉紀行
2012/06/10 近畿 関西 
城崎温泉ほか各地の温泉

1 東山温泉 メイプルプラザ

波賀町の高台に道路で登ってゆく、タイトなコーナーの連続である。山の台地にオートキャンプ場やコテージ村などのあるフォレストステーション波賀という施設の中にある温泉。シルバーの屋根に曲線の平面計画の現代建築で打ち放しコンクリートの建築である。



11.6度の単純弱放射能泉で19.8マッヘで規定されている。総計52mgと純水に近い含有物のないきれいな温泉である。透明、無味、無臭の循環で放射能泉でなければまったくの白湯である。



2 波賀温泉 楓香荘

波賀町の日本の滝100選に選ばれた原不動滝の近くにある温泉。国民宿舎のような建築。楓香荘の中にある。内湯1つのみの簡素な施設である。



分析表が2種類あったがほぼ同じで12.2度の弱放射能泉である総計99.3mgで8.46マッヘというもの。透明、無味、無臭で個性はないが、よわいすべすべがあった。加水、加温、循環、殺菌で残念であった。



3 若杉高原温泉 SPA HOUSE

宍粟市から養父市に向けて山を下る途中にある温泉。若杉峠にあるスキー場に敷設された温泉。小さな木造の民家のようなペンション風建築。



総計1910mgの石膏泉で透明、少苦味、無臭である。循環が残念。四角いタイル貼り内湯浴槽と石組の露天風呂の2つである。源泉の温度が不明であるが20度台とのこと。



4 養父温泉 但馬楽座 (再訪)

山陰に向かう国道9号線まで北上した。9号線に沿った道の駅にある温泉施設。過去に訪問したことがあるが、すでにそうとう昔で記憶からすっかり消えていた。大きな温泉施設で3階建ての宿泊施設も付いている。温泉は地下にあり、大きな内湯1つのみである。循環である。



25度の食塩重曹泉(Na―HCO3、Cl)で1127mgの透明、少甘味、無臭であった。ややつるつるが感じられた。この周辺では但東シルク温泉がつるつるの湯だった記憶であるがこちらは弱いものであった。



5 とがやま温泉 天女の湯

八鹿町にある日帰り温泉センター 木造の三角屋根のエントランスが瀟洒であるが鉄骨造であろう。2階の展望の湯が男湯になっていた。四角い大きな内湯と同じく大きな露天風呂があった。透明、甘味、無臭の味覚が個性的な湯である。



28.2度の加温、殺菌、循環が残念である。分析表をみると素晴らしい源泉である。総計8880mgの含炭酸―NaMg-Cl,HCO3というものであった。炭酸の含有量が1110mgで立派な炭酸泉であるが加温循環でまったく残っていない。



Na 1680mg Mg 531mg Cl 2350mg HCO3 2880mgと多量の含有量を示し源泉は素晴らしいであろう。しかし湯の個性としてつるつるの浴感があり好感した。



6 城崎温泉 三木屋 (温泉地再訪)

豊岡市の市街地のビジネスホテルに泊まり、翌日は城崎温泉に再訪した。豊岡のビジネスホテルでは1階の居酒屋で食事をしたが当たりであった。「海鮮問屋夢まる」と言う店であるズワイガニとはたはたの焼き魚で焼酎を飲み、雑炊で締めた。次回も来たいと思った。

                                 さとの湯

城崎温泉は駅前のさとの湯が建て替えられ、地蔵湯、一の湯、御所の湯など4ヶ所が新しく変わっていた。そうとう久しぶりである。15年ぶりくらいかもしれない。さとの湯は玄関前に立派な門構えの温泉で唐寺風の新建築であった。

               かえるの足湯

たいへんな費用を掛けたのが分かる。かえるの口から湯が出ている足湯がかわいらしかった。地蔵湯も四角いコンクリートの格子と大きな灯篭があり立派に変っていた。



地蔵湯

一の湯はだいたい同じ外観ながら改装されており入口が中央に変わっていた。



一の湯

御所の湯は素晴らしい寺院のような重厚で繊細な外観になっていた。道路に沿って門構えがあり回廊がある。その奥は池を挟んで御所の湯の建築である。繊細な細い格子で覆われており屋根の垂木も寺院のように連なっている。大きな変化である。



御所湯

温泉地の上から下まで車を走らせ良い宿を探す。やはり予想通り、西村屋の重厚な木造建築の外観が光っていた。



西村屋


西村屋

ほかにゆとう屋の文化財的な外観や三木屋の木造3階の古び方がよかった。ほかには赤石屋、おけ屋、小林屋、まつや、まんだら屋も木造3階だと思われる。次はどこに泊まっても良いだろう。



鴻の湯



まんだら湯

三木屋に入浴した。道路に沿って木造3階の建物が建ち裏手に庭園のある風情のある宿である。奥には2階建ての客室が離れのように並んでいる。浴室は小さなもので石貼りタイル風呂である。城崎は集中管理源泉で27.28.29.30号泉の4本の混合である。



総計4130mgの土類食塩泉(NaCa-Cl)で59.1度の源泉である。この宿はしっかりとした成分通りの濃さを持った湯でオーバーフロー循環である。透明、塩苦味、少湯の香があり混合泉でもなかなかよかった。



7 城崎温泉 ゆとう屋

西村屋は連休のお客で混雑しており、入浴は出来なかったが老舗のゆとう屋に入浴した。木造3階建ての玄関棟に離れの2階建ての客室棟が付いた宿である。



門構えもあり立派である。玄関前には貴賓室があり唐破風の立派な玄関も別にある。立派なしつらえで西村屋と並び城崎屈指の宿であろう。



男湯はやや大きな内湯で加水されており源泉の濃さがなかった。女湯もご案内いただいたがこちらは城崎本来の濃さであった。



8 円山川温泉  掛け流し、匂いが良い

城崎から広く海のような川幅となった円山川に沿って下ると国道沿いにある温泉。鉄筋コンクリートの4階建ての大きなホテルのような建築で風情はない。しかし湯が素晴らしい。源泉掛け流しで加熱していないのが好い。



緑色白濁不透明で、強い塩苦味、香ばしいかつおぶし臭多し、と観察した。43.1度の源泉を掛け流しにしており露天風呂は外にあるのと大きいのでヌル湯、内湯は適温になっている。



総計16100mgの塩化土類泉(CaNa-Cl)泉で毎分512リットルと素晴らしいスペックである。新鮮な湯でどんどん溢れているのが好い。

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2012/06/09 近畿 関西 
有馬温泉と炭酸泉の名湯 吉川温泉ほか

1      有馬温泉 陶泉御所坊

今回の温泉巡りは、初日の7時半に品川から出発した。新幹線のぞみで新神戸に降り立った。これから兵庫県と一部、京都の日本海側の温泉を巡るのである。連休の初日とあって普通車は満席で、グリーン車を奮発した。たいへんくつろいだので、ほとんど寝ていた。気が付いたら新大阪を出ていた。新神戸は六甲の山裾にある駅でトンネルの間にある。神戸の町は狭い急斜面にあって後ろはすぐ山である。この駅の横からすぐ新神戸トンネルで六甲山脈の直下を越えて高速道路で有馬口まですぐであった。



有馬にくると山が迫り、温泉の情緒がある。しかし中心街は建物が密集し道路が狭く駐車場探しに苦労しそうである。私は有馬の中心の御所坊に行った。高層ビルではなく木造3階建ての風情のある宿である。1階は洋風のカフェがあり昭和初期の造りで各室は和風である。温泉は金泉の掛け流しで濃厚なものである。



有馬は日本一の濃さの食塩泉で、分析表には合計が記載されていないが主要な元素を足してみると総計71.6グラムである。海水の2倍以上である。ここの湯は御所源泉と妬(うわなり)源泉の混合でNa19710mg Cl41284mg の濃い含鉄食塩泉であった。94~100度と記入されている高温の温泉である。鉄分も多くFe201mgであった。



金泉の浴槽が1つの簡素なもので、入口からだんだん深くなり腰までになると女湯からの浴槽と合流した1室になる。中央に敷居があるが顔は見える趣向である。金泉は真っ赤に濁っているので顔しか見えないであろう。赤褐色濁り12センチ、強い塩辛味、ほぼ無臭と記録した。有馬温泉の強烈な塩味の濃さを堪能した。客室20室の高級宿で入浴料は1500円であった。しかし加水することなく弱く掛け流しにしている使い方は有馬でも屈指で良い温泉であった。



 

2      有馬温泉 金の湯共同湯 (再訪)

金の湯は以前、有馬温泉会館のあったところに新築された共同湯である。黄色い建物が新しく、私は有馬温泉に行くのが久しぶりなので今回金の湯は初めてである。浴槽は内湯だけで一般浴槽と高温湯の2つがある。一般浴槽で42度ほど、高温湯では44度であった。



やや加水しておりオーバーフローは多いので加水掛け流しと推測した。有明1.2号源泉と天神源泉の混合でそれぞれ含鉄強食塩泉である。有明源泉のほうは82.4度で毎分51リットルの湧出量である



総計は載っていなかったが陽イオンと陰イオンの合計は36400mgと濃い温泉である。天神源泉は有馬を代表する温泉で98.2度で毎分28リットルの湧出、陽イオンと陰イオンの合計は61400mgとさらに濃厚である。浴槽の湯は加水されていると思われる味覚で、10グラムほどに感じた。しかし色は濃く、赤褐色で透明度10センチ、少塩味、少金気臭である。御所坊よりも赤さが濃かった。



3      吉川温泉 よかたん 炭酸4110mg

炭酸分の多さで以前から気になっていた温泉施設。なかなか訪問する機会がなくこの度初めて訪問した。中国道吉川インターチェンジの近くで木造平屋の凝った建築である。中央に尖り屋根のある新しい温泉センターである。分析表を見ると総計47600mgの含炭酸強食塩泉である。凄い数値である。有馬温泉、北海道の998温泉に次ぐ総量で国内第3位である。



炭酸の量は4110mgで分析表としては湯屋温泉の合掌苑の7909mgについで日本第2位である。浴槽に入っている温泉としては合掌苑は炭酸が抜けているので日本一の炭酸泉と言っても良い。36.5度の温度で毎分83リットルの湧出量である。この源泉を掛け流しで使っているので素晴らしい。屋根付きの露天風呂と木枠の内湯の1つが源泉浴槽でそれ以外は白湯である。



露天風呂の湯口が強烈でツーンとする匂いとともに源泉が間欠的に湧出し入れられている。合掌苑の源泉蛇口も炭酸が出ながらたまに湯が出ると言うものであったがこちらも同じ状況である。匂いを嗅ごうとして近づくとツーンとした刺激臭でクラッと来た。危険な源泉である。



内湯はすこし爆気しているのか?匂いは弱かった。薄緑色透明、強塩味+炭酸味、炭酸刺激臭であった。掛け流しで使われており良い温泉である。超個性的な源泉とも言える。食塩が濃いためであろうか?炭酸泉特有の泡付きは無かった。撮影不可で写真に撮れなかったのが残念であった。

 

4      生沢温泉 伊沢の里

兵庫と岡山県境付近の温泉群が課題に残っていたのでこの度まとめて訪問した。中国道を走り山崎インターチェンジで降りた。この地域一体が合併して宍粟市になった。以前の山崎町にある温泉。大きな公民館のような建築で、国民宿舎のようである。



内湯と露天風呂があるが内湯の1つの浴槽のみ温泉になっている。総計5021mgの食塩泉の冷鉱泉で17.8度である。浴槽は薄く黄色になった湯で透明、無味、無臭であった。加水していないというが5グラムの濃さは分からなかった。循環利用である。



5      しそう温泉 よい温泉 掛け流し

山崎町の与位にある温泉。現代建築のデザインされた建物である。温泉は27.3度の単純弱放射能泉で総計973mgである。重曹食塩系である。13.9マッヘで弱放射能泉になっている。温度も25度以上なので単純温泉でもある。



内湯は御影石の大きな浴槽で加熱掛け流しである。露天風呂はジャグジーになっていた。離れに露天風呂もある。大きな岩組み露天風呂であった。透明薄白濁、無味、無臭と色だけが個性になっていた。



6 一宮温泉 まほろばの湯

一宮町の中にある屋根の立派な大きな木造の日帰り温泉である。山々を眺める風光明媚な土地にある。等張性の土類食塩泉(NaCa-Cl)で32.2度である。総計8770mgの源泉である。



循環、加温、殺菌で透明、塩苦味、無臭の加工された温泉になっていた。四角い岩組み内湯と、東屋付きの岩組み露天風呂の2つである。濃い源泉であるが加工、循環が残念である。

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2012/06/03 東北 
八九郎温泉と鳴子の秘湯

1奥奥八九郎温泉

奥奥八九郎温泉は以前、石油を掘ろうと掘削したところ温泉が湧出しそのままになっている野湯である。5年も前は知る人ぞ知る秘湯であったが、最近はいろいろのメディアで紹介され有名になった。



源泉は炭酸がジャグジーのように湧出している源泉穴があり、その地点と周囲に4ヶ所の浴槽があり入浴できる。1月下旬でも除雪されていて前まで行ける。



まさに源泉直接の足元湧出源泉である。色は透明ながら赤い析出物が多量に付着し沈殿しているので、入浴して掻き混ぜると赤褐色の湯の色になります。炭酸エグ味、炭酸金気臭と観察した。



泉質は含炭酸食塩重炭酸土類泉と推測した。源泉の浴槽はやや熱目で周囲の浴槽で適温である。源泉の周囲はうろこ状の析出物で台地のようになっており、その上を湯が流れ去っている。奇麗な表情なので写真をたくさん撮った。



2八九郎温泉

手前にある八九郎温泉はテントが掛けられ男女別になって小さな共同湯のように整備されていた。湯は源泉から2つの浴槽に分けて流されているが湧出量が多く、大量の掛け流しになっていた。



3東鳴子温泉 いさぜん旅館

東鳴子温泉でまだ未湯で残っていた温泉。浴室は混浴で鉄鉱泉と炭酸泉と書かれている。鉄鉱泉は57.2度の食塩重曹泉で総計1723mgのものである。



薄褐色、エグ味、少油臭ありという源泉であった。炭酸泉は44.1度の純重曹泉で総計1042mgのものである。微褐色、少エグ味、少たまご味、微硫黄臭と観察した。ともに鉄分や炭酸分があるわけではなかった。



4鳴子温泉 ホテル亀屋 宿泊

鳴子の入口で車湯と呼ばれている亀屋に泊まった。二見の湯源泉が使われており、大きなホテルである。78.2度の食塩重曹泉で総計1964.1mgである。



湯は東鳴子の黒い油臭のある源泉に似ており黒褐色透明、エグ味と辛味あり、油臭と観察した。匂いが個性的である。いさぜん旅館の鉄鉱泉に近似していると思った。



5鬼首温泉 荒湯地獄野湯

翌日は鳴子温泉に行き、荒湯地獄に入浴した。道路は神滝温泉横の蟹沢から林道を上がってゆく、夏は鬼首からの広い道路が良いアプローチだが、冬は未舗装の林道のほうが除雪される。



地獄が俯瞰できる上からの沢沿いに下っていった。雪が深くカンジキを履いて行った。硫化水素臭の多い地獄地帯から湧出した温泉が川になり一部堰きとめてあって入浴できる。湯に触れられる場所に着いて温度を測ってみると75度である。源泉からは300mほど下っているが、まだ温度が高い。



その下流に一つ目の浴槽が造ってある。ここでは47度でまだ熱い。その下の浴槽が43度で入浴できた。気温は雪交じりのマイナス3度ながらロケで入浴時間が長かったのでのぼせそうになった。



酸性泉であろう透明、酸味、少硫黄臭である。湯は白濁しておらず、硫黄分は少ない、酸性泉または明礬緑礬泉であろう、川全体が温泉というロケーションで冬にでも入浴できるという素晴らしい温泉である。



ただし地獄の源泉湧出部は危険である。硫化水素ガスも多く、足元が崩れやすくズボ抜けで大火傷になりそうである。下流の沢筋で入浴し、上部の源泉噴気地帯の立ち入りは危険である。



6鳴子温泉 早稲田桟敷湯

黄色いモルタルで塗りこめた現代建築で、鳴子駅の近くにある共同湯である。早稲田大学の学生が戦後掘削し、湧出した温泉を共同湯として利用されてきたが、建築家の石山修武の設計で新築された。2つの建築が微妙にずらして建築され、平行の部分がなく鋭角の隙間からアプローチするという設計である。浴室は吹き抜けの大きな空間で浴槽の横に源泉の樋がありゆっくりとした掛け流しになっている。湯は98度の含硫黄食塩芒硝泉で総計1241mgである。S2O3 2.7mg H2S 1.4mgの含有量である。透明、たまご味+少苦味、微硫黄臭と観察した。硫黄泉の白い湯の華が少々浮遊していた。



7 某個人宅

一般の家の家庭風呂に周囲の数軒で利用されている地元専用共同湯。浴槽は一つで混浴である。湯の感触は黒褐色で馬場温泉のヌルいものである。源泉で40度ほどであろう。地元専用温泉で何度も行ってやっと入浴の許可がおりた。



黒褐色(80センチ)甘味、少硫黄臭と観察した。特記は大量の泡付きで炭酸泉のように体中が泡で真っ白になる。取り去っても取り去っても付着する。馬場温泉の湯小屋は熱いがそれを適温にした感じである。素晴らしい源泉であった。





 

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2012/05/27 九州 
別府の個人宅温泉や野湯と大御所、竹瓦温泉

1湯山温泉 東温泉下野湯

湯山温泉は国道を境に上に西共同湯、下に東共同湯がある。明礬小屋の連なる坂道の上には西共同湯があり、風情のある外観で過去にお願いして入浴したことがあるが、綺麗な透明の湯がドバドバの掛け流しで良い記憶になっている。



東共同湯は沢筋に下って行く。10年以上前から使われておらず廃墟のようになっている。湯山温泉の野湯は山中にあり発見は困難であろう。川沿いに小さな露天風呂があるだけの施設で、横にブルーシートで覆われた脱衣場がある。地元専用共同湯のような使われ方で許可なしでは入浴不可である。



ここの湯が個性的である。赤褐色でえぐ味と薬味があり、金気臭と少硫黄臭である。コンクリートの浴槽1つで湯口から49度の源泉が掛け流しされ浴槽では42.2度の適温になっている。赤い湯が少ない別府では珍しい存在であろう。



2血の池地獄 個人宅温泉

別府の鉄輪から柴石に至る地獄群は観光名所となっているが、これらの存在は非常に貴重で世界遺産にも匹敵すると思っている。その中で赤い湯で有名な血の池地獄の湯に入浴した。



近年、足湯が出来て湯に触ることはできるが入浴施設はない。以前にも入浴させていただいたが、社員用の個人宅に入浴させていただいた。小さな家庭用のポリバスである。



ここに血の池地獄の泥とともに赤い湯が入れられている。この赤さは一般の鉄鉱泉のような赤褐色ではなく、より血の色に似た濃い赤色である。ともに酸化鉄の表現であるが、ここの湯は赤さが鮮明である。66度の酸性芒硝食塩泉(H-Na―Cl、SO4)である。



PH2.8の酸性の湯だ。鉄分(Fe)は0.9+3.3で少量だがマグネシウムを49mgカルシウムを56.7mg含有しており相互作用であろうか?色が特徴的である。赤褐色(3センチ)、少酸味+渋味、粉っぽい、少金気臭であった。入浴感触は泥を混入しているためかキシキシしている。個性的な湯だ。なお近隣でも小さな個人宅の湯でこの湯を使っている場所を知っている。



3別府温泉 竹瓦温泉

日本一の温泉はまちがいなく別府で市内に160ヶ所以上もある共同湯の盟主は堂々たる外観の竹瓦温泉でしょう。国内でも道後温泉本館と並んで屈指の共同湯である。このたび国指定有形文化財に指定された。昭和13年建築のこの共同湯は豪放華麗な建築でまるで寺院のような風格である。



このたびゆっくりと建築を見学し、入浴した。外観の写真を撮っていると観光客は必ずといってよいほど正面で記念写真を撮っていた。この建築の立派な外観に感動するのでしょう。



入母屋造りの2階建てで瓦の屋根であるが、正面には銅版葺きの唐破風が付いて立派である。向かって左側は砂湯浴室でこちらは寄棟造りになっている。2階の窓には高欄が廻り白い壁と黒い柱や桁が際立っている。窓は縦長で1層の階高が高い造りである。



屋根裏は肘木の木組みと垂木が重厚さを演出している。左側の棟には裳階が付けられ気品に溢れている。玄関を入ると広い格天井のホールで、右側が浴室である。2階も格天井の公民館になっている。以前ここで講演会を行ったことがあり感慨無量であった。



湯は2つの源泉があり1号泉は土類食塩重曹泉(NaMg―HCO3,Cl)で総計1637mgの湯 57.9度である。2号泉は純重曹泉で総計1436mg 55度である。浴室は半地下のようになっており1階部分の1段高くなったところが脱衣場である。階段で浴槽に下りてゆく仕組みである。



湯はささ濁り、少苦味、微金気臭で以前より渋味と金気臭が少なかった。温泉は生き物であるため、再訪時に違った感触のことも多くある。浴槽は半円形の大きなものが一つだけで簡素なものである。半地下の浴室のため、天井が高く気持ちが良い。折上げの格天井になっている。



砂湯棟も1階よりは低く造られている。入り口を入ると砂落とし用の浴槽がありその奥に砂湯がある。半分ずつ交代で砂の上に湯を張り、砂を暖めるのと同時に清掃して残りの半分で砂蒸しをする人工的な砂風呂である。以前、別府の砂浜は天然の蒸し湯があったことの名残である。





 

4別府温泉 別府ステーションホテル

駅前のシーウェーブホテルに泊まったが温泉は付いておらず、温泉は提携のステーションホテルに入りに行く。2階が浴室で透明、無味、無臭の単純泉で特に個性は無かった。掛け流しで使われている。

 

5同尻温泉 個人宅

大分市のとなりの挾間町にある個人宅の温泉。3回目の訪問である。近くには残念ながら枯れてしまった田淵温泉共同湯もあった。



川沿いの敷地に源泉が自噴して流れている。炭酸を含む土類食塩泉でオリーブ色に濁った良い源泉である。炭酸を含む源泉特有の析出物が堆積し、川には10メートルほどの大きな山になって析出物が積み重なっていた。毎回行くごとに大きくなっている。



味覚は炭酸清涼味に塩苦味がある。花山温泉のような感触である。少金気臭もある。含炭酸土類重曹食塩泉だと思われる。総計は15グラムくらいと推測する。



自噴掛け流しである。温度がやや低めで41度の源泉で浴槽では38.5度ほどになっていた。しかし素晴らしい源泉で良い泉脈があると思った。以前行った近くの観音温泉は泥沼状ではなく配管で川に捨てられていた。30度前後の湯であった。



 

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2012/05/26 九州 
別府の野湯と名宿 5か所

 

1鍋山の湯温泉

殺人事件のある前の訪問で現在入浴できるかは不明です。

鍋山の湯の昔からある、下の整備された浴槽に久しぶりに行った。上の泥湯もかなり整備され浴槽がコンクリートで固定されていた。



鍋山の歩道を登ってゆくと右側に噴気地帯が見えてくるが、温泉は左側の石の祠の先にある。大きな岩の裏から源泉が湧出して2つの浴槽に順に入れられている。源泉温度は実測91度であった。



雪混じりの天気であったが、たまに良く晴れ、別府の市街地と高崎山が海に迫り出しているのが見える。絶景の露天風呂である。湯は泥を含有して湧出しており、黒灰色、無味。少硫黄臭と観察した。単純硫黄泉だと推測した。



2へびん湯温泉

へびん湯に10年ぶりほどで再訪した。渓流に沿って湯量豊富な源泉が注がれており浴槽も5ヶ所もあり良く整備されていた。透明、少苦味、無臭の綺麗な湯で単純温泉だと思われる。



一番上の浴槽は綺麗に澄み切った湯の底が砂地で清澄な湯でやや熱めであった。川沿いにほかの4ヶ所の浴槽があるが一つはヌル湯浴槽になっていた。



湯量豊富でどんどん溢れている。以前は一番上の浴槽1つであったがこの湯量の多さで5ヶ所に増えていた。立派な露天風呂で野湯というよりも無料開放露天風呂といった感じであった。



3明礬温泉 鶴寿泉

明礬温泉の共同湯は地蔵泉が枯れてしまって残念であるがこの鶴寿泉は健在であった。瓦屋根の小さな湯小屋で明礬温泉特有の酸性泉が入れられている。69.5度の源泉で総計732mgである。水素イオン(H)を3.2mg含有し酸味と明礬渋味が際立っている。



硫黄分の含有はない。薄白濁濁り、酸味+明礬渋味、少硫黄臭と観察した。小さな空間の中央に四角い木の浴槽が1つのみの簡素なもので、床と腰は切石貼りである。主な含有成分は明礬が主成分で、すぐ前の湯元屋や隣の山田屋と同系の湯で硫黄を含むえびす屋や岡本屋とは違う系統である。



湯の花を生成している明礬小屋の下にあり、湯は酸性の表層水だと思われる。入り口の中央には地蔵様が奉られており賽銭を入れて入浴している人がいた。



4明礬温泉 神井泉 (飲泉、手を付けただけ、入浴は不可)

明礬温泉の湯の里観光施設の近く、民家が8軒だけで管理している共同湯。地元専用で組合員以外一切入浴不可である。今回もお願いしたが見るだけと飲むだけは許可された。



古い湯小屋で浴槽は一つである。木の枠に石の床でやや広い空間に浴槽があった。飲泉したのと手を入れただけであった。透明薄白濁、少酸味、少硫黄臭という明礬系の湯であった。



5別府温泉 山田別荘

別府では温泉道と名づけて88ヶ所の温泉を廻ると名人になれるスタンプラリーが有名である。私はその企画段階から携わっており、初期に名人になったがそのころは88ヶ所の施設しかなく1つでももらせないたいへんなものであった。



結局3回の別府訪問でやっと名人になれた。151代で結構遅くなってしまった。しかし最近では130ヶ所ほどの入浴施設が参加され、比較的簡単に88ヶ所廻れるようになった。この山田別荘は私が名人位を取ってから参加された宿で雰囲気が良いので入浴してみたく思っていた。



別府駅前のホテルに泊まっていた私は歩いてゆける距離であった。海門寺温泉の前を通り、小路に入ったところにあった。レトロな造りの建築で木造2階の邸宅といった外観である。



源泉前には千鳥破風の立派な車留めが付き、横に洋館が付いているが全体は和風の別荘という名前とおりの宿である。モザイクタイル貼りの内湯が2ヶ所と露天風呂が1つある。内湯は半地下のようなレベルでコンクリートの半円形浴槽が1つの簡素なものである。食塩泉ということだが透明、微金気味、無臭のきれいな湯であった。内湯は敷地内の独自源泉である。



源泉コックがあり入れ放題の掛け流しである。弱いつるつるの湯であった。露天風呂はやや大きめな庭園風のもので石組みが風情がある。こちらは少し離れたところの源泉で近隣3軒で使っている源泉とのことである。



建築の白眉は大広間の隣にあり、庭に面した蓬莱の間であろう。秀逸でここに泊まりたいと思った。外観が繊細な木組みの美しさで周囲に廊下が廻っているのも良い。書院の化粧欄間も凝っており、昭和5年の竣工である。洋室も古い造りで天井の石膏レリーフがある。窓も様式風の縦長である。



 

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