みくりが池と立山新湯
1みくりが池温泉
立山新湯にアタックしようとして千寿ヶ原(立山駅)に到着した。都内を深夜12時に出発して、朝方に立山駅に着いた。駐車場から成願寺川を見ると上流で降った雨で濁流になっており、堰堤の中央だけでなく全体から茶色の豪流が溢れている。これは登っても徒渉ができないなと、時間稼ぎにまず本日はアルペンルートの室堂付近の温泉に行くこととした。
立山駅からケーブルカーに乗り、バスに乗り代え弥陀ヶ原を過ぎて約1時間で標高2410mの室堂に到着した。途中に直径10mほどもある千年杉や称名の滝などを見ながら登った。室堂は気温10度ほどで半袖では寒く、すぐに合羽の上下を着た。
あいにくのガス模様で展望がなかったが、帰りには立山の稜線以外は晴れた。徒歩12分でみくりが池温泉である。日本一の標高の高い温泉である。青い色の池のみくりが池のほとりにある。
2階建ての長方形のホテルに湯小屋が付いている。木造の湯小屋で内装も木であった。54.3度の単純硫黄泉でPH3.1である水素イオンは0.79㎎で酸性泉にはなっていない。H2Sが2.2㎎で硫黄泉になっている。色は白濁で酸味、湯口少硫黄臭であった。
この温泉は下部にある地獄地帯の源泉で3か所の温泉施設があるがみな源泉が違う、ここは酸味が薄く硫黄がやや多かった。
2 らいちょう温泉 雷鳥荘
みくりが池を過ぎて赤い色の血の池、残雪の残るりんどう池を過ぎて20分ほど行くと大きな3階建てのコンクリートのホテルがあり地階に温泉がある。みくりが池温泉よりは規模が大きく収容人数も多いだろう。
温泉は地階にある、内湯は白湯で、そこから階段を上り展望の良い場所に温泉浴槽がある。63.2度の単純酸性泉である。総計は630㎎である。
水素イオンを7.82㎎含有し濃い酸性になっている。硫黄分はS2O3の0.17㎎とH2Sの1.7㎎である。薄白濁で強い酸味がある。仄かな微硫黄臭がある。
ここも木の内装の浴室で木の枠の浴槽であった。掛け流しで利用されている、硫黄臭は少なく草津のような酸味の強い良い酸性泉であった。
3地獄谷温泉 雷鳥沢ヒュッテ
コンクリートの本館に木造の湯小屋が付いた温泉である。驚くべきことに白濁した湯は泥湯であった。地獄の源泉をそのまま引いていて温度も劇熱である。水栓で加水して適温にして入浴する。
野趣に富んだ温泉である。半露天風呂で景色が良い。大日岳に至る稜線と雷鳥沢のテント場が背景である。
81.3度の温泉で単純酸性泉である。総計918㎎である。水素イオンは6.51㎎と雷鳥荘より低いが、味覚は鋭い濃さの酸味で香草温泉のような強い酸味であった。
この3か所で最強の酸性度だと推測した。H2Sは0.85㎎と少ない。しかし泥による白濁で存在感は大きい。底を探ると泥が沈殿している。
地獄温泉の清風荘のすずめの湯よりは泥が濃いであろう。濃い泥白濁、強い酸味、匂いは少ないと観察した。貴重な使い方で室堂周辺の3か所の温泉で最も気に入った。源泉100%で加水して温度を下げるのであるが満足する。
標高は2300mである。室堂から徒歩40分の距離にある。
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1 天満温泉
別府市内にある独自源泉の温泉。温泉の前に源泉やぐらがあり湧出している。タイル貼りの楕円形の浴槽が1つで縁が御影石である。
脱衣場に囲まれた浴室と脱衣が一緒の浴室である。透明、無味、無臭で加水であった。
2 南的が浜温泉
公民館のような建物の温泉。NaMg―HCO3(土類重層泉)の総計1831㎎のものでメタケイ酸の含有量は270.7㎎である。楕円形の浴槽1つで透明、無味、無臭である。
弱いつるつるの感触があった。熱い湯で源泉は独自源泉。
3 海門寺温泉
新築になった海門寺温泉に行った。新しい和風平屋の建築である。Na-HCO3(重層泉)の1204㎎で47.5度である。
メタケイ酸は222㎎である。四角い浴槽が2つでヌルイ湯と熱い湯に分けられている。
4 鉄輪温泉 地獄原温泉
鉄輪の旅館に入浴しようとして訪問したが、ともに時間外で入浴できず、共同湯の地獄原温泉に入浴した。総計3507㎎の食塩泉で8604度である。
メタケイ酸が多く547㎎であった。瓦屋根の小さな共同湯で四角いタイル浴槽が1つである。透明、弱塩味、無臭であった。
5 豊山荘温泉
つるつるの温泉に入浴しようと豊山荘に入浴した。95.6度の単純硫黄泉でPH9.1である。総計は970㎎である。つるつるなのはCO3が87㎎含有されているためである。
湯は芒硝系(Na-SO4)であるが炭酸イオン(CO3)だけでつるつるになるのであろう。ほかの特記成分はH2Sが4.5㎎ メタケイ酸が263㎎である。瀟洒な和風宿で透明、少たまご味、硫黄臭多めであった。つるつるやや強しの湯で四角い木の浴槽であった。
縁も底も木製であった。大浴場のほかに岩組の露天風呂が2つある。以前入浴したが今回は大浴場だけであった。
6 若草温泉
別府の西側に点在する未入浴の小さな共同湯を廻ってみた。小さな公民館風の共同湯で小さなタイル浴槽が1つの簡素な温泉である。透明、無味、無臭で弱いすべすべがあった。
源泉は近くで湧出する独自源泉である。NaMgCa-HCO3で総計1390㎎、47.4度のものであった。
7 餅が浜温泉
2階建ての公民館の温泉。1階が温泉で2階が公民館である。タイル浴槽で薄黄色透明、無味、無臭である。
NaCaMg―HCO3で総計1536.3㎎である。48.4度の温度の独自源泉である。
8 蓮田温泉
浜脇の未湯温泉の一つである蓮田温泉に行った。木造の小さな共同湯で小さな四角いタイル浴槽が1つの共同湯。
透明、無味、無臭の個性は無かった。
9 東蓮田温泉
木造の鄙びた共同湯。屋根がMの字型でやや大き目の建築である。タイルの四角い浴槽が中央部に1つだけある共同湯である。透明、金気味、金気臭の個性があった。
良い風情の共同湯で、時間が止まったように古さがレトロの良さを醸し出していた。この地域ではナンバーワンであろう。大事に守ってほしい建築である。
10 永石温泉
赤い入母屋屋根の小柄な共同湯。半地下の浴室でタイル貼りの浴槽が1つであるが縁は御影石である。
天井の高い木造の良い風情である。透明、少苦味、無臭であった。NaMg-HCO3,Clであった。
11 浜脇温泉 東町温泉
東町温泉は私が学生時代にバイクで九州一周していた時に大分方面から別府に初めて来て、別府で初めて入った温泉であった。25年以上経ったが同じ造りで残っていた 。
コンクリート造りの古い鄙びた共同湯で小さな小判型の浴槽がやや広い洗い場の中央にある。透明、無味、無臭で堀田の引き湯の最後の到達地点である。湯はまだ劇熱で源泉槽には手も入れられなかった。
別府行き 九州温泉道88か所目
1 亀川温泉 筋湯
亀川の商店街の中にある小さな共同湯。トタンで覆われた外観で入口に地蔵様が祀ってあり、右側が男湯である。脱衣場の前に浴槽がある簡素な造りで、小さな浴槽が1つである。コンクリートの縁に木の底である。透明、無味、無臭ながら劇熱の湯で一瞬しか入れなかった。
弱く熱い湯が掛け流しになっている。つるつるの感触のある温泉である。以前ここに訪問した時は地震の後で、白濁していたことがある。別府温泉道も10年以上になり知られるようになったが、かつては組合員専用温泉であった。
2 とんぼの湯 4753温泉地
別府の亀川から血の池地獄に向かう道路から右側の山に登ったところにある温泉。高台に宅地開発をしてスパランド豊海という分譲地になっている。温泉が引かれ、かつては私が体験用の露天風呂に入浴したことがある温泉である。
新しい瀟洒な施設で小さな浴室に1つの浴槽があり、内湯から露天風呂につながっている。Na-HCO3、Cl(食塩重層泉)で総計1249㎎である。54度の温度を持っている。メタケイ酸を226㎎含有している。透明、少エグ味、無臭でつるつるの触感である。新規カウントできるので4753温泉地になった。
3長泉寺 薬師湯
お寺に付属している、小さな共同湯。浴槽が1つなので男女混浴である。本堂に行き記名して賽銭を払うと入浴できる。
四角い石の浴槽が1つで温度を下げられた源泉か弱く掛け流しにされている。透明、酸味、無臭で竜巻地獄の源泉である。PH3くらいの酸性泉であろう。
4 鉄輪温泉 上人湯
鉄輪の街を上から下がってきてすぐにある共同湯。十万源泉と金竜地獄の湯を引いている。タイル貼りの浴槽が一つの小さな共同湯で透明、少塩味、無臭の源泉が掛け流しである。
鉄輪特有の食塩泉である。3000㎎程度だと推測した。
5 鉄輪温泉 渋の湯
鉄輪蒸し湯の広場前にある共同湯。鉄輪温泉の象徴とも言える温泉である。無人で100円払って入浴する。ここの湯は金竜地獄や十万源泉、河野源泉の3つを引いている。
ここから地獄原、筋湯、熱の湯、や下流の新別府の地元専用温泉などにも引かれている。ここの良さは源泉を湯雨竹の温度冷まし器で適温にしていることで。食塩泉の濃さが残っている。透明、塩エグ味、無臭であった。瓦屋根の切妻の小さな共同湯である。
6 鉄輪温泉 熱の湯
古い造りの共同湯。大き目な浴槽含有一つの簡素な施設である。タイル貼りの浴槽に御影石の縁になっている。83.4度の食塩泉でPHは4.1 総計4535㎎と結構多めの食塩泉である。
メタケイ酸が689㎎も含有されており透明、塩だし味、無臭である。無料の温泉で加水掛け流しにしている。
7 鉄輪温泉 谷の湯
小川に沿った沢沿いにある小さな共同湯。不動が祀ってある浴室である。透明、弱塩味、無臭であった。総計3323㎎の食塩泉で71.1度の源泉である。
5.6人は入れるほどの浴槽が一つである。PHは4.9であった。
8 堀田温泉
新しい市営温泉、以前は古い造りの共同湯があって白い湯の花が浮遊している温泉であったが新築された。男湯は「やまの湯」で薄褐色濁り、無味、焦げ硫黄臭ありと観察した。
大きな内湯と風情のある庭園風の造りの露天風呂があった。加水掛け流しと思われた。
9 いちのいで会館
100度の食塩泉でメタケイ酸を346㎎含有する温泉。急傾斜の斜面を登ってゆくと別府の街が展望できる高台にある。青い湯が有名で今回は貸切露天風呂のうち2か所に入浴した。青色透明、塩味、少噴気臭である。
掛け流しであるが時間が経つと青白濁するがとなりの貸切露天風呂が青白濁であった。景観の湯は女性用であったが、出てきた女性に確認して誰もいないので見せてもらったが、大きなプール状の浴槽は透明に近く薄く青くなっていた。
プールの下に付いている岩組露天風呂の2つは青くなっており良い。ビーコンタワーをはじめとして別府市街のほとんどが俯瞰できる素晴らしい立地である。夜景は美しいであろう。
10鉄輪温泉 おにやまホテル
やまなみハイウェイに沿った鉄輪の上手にある大きなホテル。PH4.5の食塩泉で総計4096㎎である。82.6度の温度で、特記成分はメタケイ酸が423.5㎎である。
透明、塩味+えぐ味、少金気臭であった。内湯は大きな四角い浴槽であるが露天風呂がとても広大なものである。入り組んで造られ、ジャングル風の庭園露天風呂になっている。鉄分が感知できる湯で浴槽の縁や底は赤く染まっている。
11 別府温泉 竹瓦温泉
九州温泉道の88か所目のために竹瓦温泉に入浴して満願成就した。男湯と女湯と砂湯の源泉が違い3枚の分析表がある。男湯はNaCaMg-Cl,HCO3である。53.8度でPHは7.3である。総計は2516㎎となかなかの濃さである。
女湯はNa―HCO3である。52度で総計1284㎎と男湯の半分ほどの成分含有量である。透明ささ濁り、えぐ味、金気臭と存在感がある。新聞の取材も来ており、竹瓦では初めての貸切での入浴ができた。九州温泉道では309代泉人となった。
4回かけて九州を廻ったので1年以上かかってしまった。賞状が送付されてきたが発行者が郡司勇で自分が自分を認定したことになった。
12 別府温泉 個人宅温泉 4754温泉地
国道10号線に沿った古い個人宅で瓦の屋根の大正年間の造りの立派な個人宅である。
家庭の風呂で小さな浴槽が一つである。分かるのは54度でPH7.0 蒸発含有物1600㎎である。透明、無味、無臭ながら弱いつるつるがある源泉で重層泉だと思われる。玄関の式台や階段が立派な造りで昔の金を掛けた建築であった。
1 湯の児温泉 山海館 80
本日はずっと南下して水俣の湯の児温泉まで行って宿泊した。山海館の磯館に部屋を指定した。木造5階建ての豪快な建築で514号室からは美しい湯の児湾と瓦葺の立派な屋根が窓からの美しい景観になっている。
透かし格子の意匠は竹と蔦である。翌日にはほかの各室の内装も見学させてもらい微妙に違う透かし格子や丸窓などの意匠が楽しかった。他には幾何学模様や松と鷹などがあった。
木造の大きな建築で内部の旅館建築に特有な凝った意匠は素晴らしいものである。私の近著「究極の温泉」でも取り上げた宿である。
ギヤマン風呂
海側から建築を眺めると大きな破風が重なりお城のようである。1階の玄関は唐破風で3階に千鳥破風が2つ、4階に千鳥破風が3つある。私は木造の古い旅館建築の宿が大好きである。
湯は52.3度の重層泉で毎分156リットルの湧出量である。総計2064㎎で透明、少エグ味、無臭であった。大洞窟風呂が有名で手掘りの長い洞窟のある浴室である。
湯口には狸の腹のように球状になった析出物が付着している。浴槽部分も壁から約10センチの析出物が付きざらざらとしていた。17.5㎎ながら炭酸を含有しているので長い時間で炭酸カルシウムになって析出するのであろう。
隣の昇陽館の洞窟風呂も析出物で覆われている。日頃女湯のギヤマン風呂は時間で男湯にもなり浴室の一面が繊細なステンドグラスになっている。
大きなもので女性が描かれていた。小さな家族湯にも入浴したがタイル貼りの浴槽で析出物は無かった。
家族風呂
2弓ヶ浜温泉 湯楽亭 85
天草を経由してフェリーで雲仙に行く計画とした。途中の大矢野島にある弓ヶ浜温泉は良い温泉が湧出している。白い壁が蔵のような造りの外観の宿である。
総計988㎎の32.3度の単純温泉が白湯と命名されており、総計10104㎎の46.9度の重層食塩泉が赤湯と呼ばれている。この赤湯が素晴らしい。炭酸を601.8㎎含有していて味覚にはっきりと塩炭酸味が する。
湯口からは炭酸の気化するぼこぼこといった音が聞こえ炭酸の含有がわかる。温度が高いのですぐ抜けてしまうという長湯などとも同じ状況であるが、実際には湧出直後では1000㎎以上の含有量はあると思われる。
味覚での炭酸味が濃く残っている。白湯は内湯に2つの浴槽があり、赤湯は四角い内湯と2つの露天風呂と山海館のような岩の洞窟風呂がある。析出物が多く浴槽は10センチほどの析出物で壁も底も覆われていた。
内湯の湯口は析出物で丸くなりうろこのような床になっている。国内でも屈指の析出物であろう。析出物で造った高さ1メートルほどの招き猫が2体あった。
黄色薄濁り、塩炭酸味、金気炭酸臭であった。ここは10年ほど前に通販生活で取材したことがあるがそのころは鉄分が多く赤い湯であった。突然変異のような良い源泉が湧出している温泉である。
3小浜温泉 雲仙荘 80
フェリーで島原半島に渡り、口の津から海岸を走り小浜温泉に行く。雲仙荘は大きなビルディングのホテルである。
小浜温泉は高温の食塩泉が大量に湧出して湯けむりが各所に上がっていて別府の鉄輪温泉のようである。なんと98.2度の食塩泉で総計9364㎎である。
指宿と同じくらいの等調性の源泉で透明、塩スープ味、少噴気臭である。
このホテルは別府の斎藤氏開発の湯雨竹を利用して温度を下げ掛け流しにしている、小浜でも唯一の宿であり素晴らしい。
内湯と露天風呂が屋上にある。湯雨竹によって小浜温泉では珍しく加水なしで掛け流しにしている。噴気臭もあり良い温泉であった。
4小浜温泉 脇浜共同湯 80
風情のある鄙びた共同湯。木造の大きな建物であるが天井が高い平屋である。木造下見板の外壁が退職して褐色に変わり良い雰囲気になっている。
建物も古くやや傾いているような感じも良い。小さな千鳥破風の付いた男女別の入口から入る。妻側からがエントランスである。
大きな浴室の中央に四角い内湯が2つだけの共同湯で、天井が高く湯気抜きが付いている。コンクリートの縁に底は青緑のタイルである。浴室の手前にある木製の内装の脱衣場は白壁に黒い柱で、木製の脱衣箱が古さを感じさせている。
大事に守ってほしい温泉である。湯は透明、塩スープ味、無臭で高温のために湯口で少々加水して適温やや熱めになっている。食塩泉で暖まりの湯である。少加水掛け流しである。
5小浜温泉 春陽館 80
小浜温泉で最も立派な外観を誇る老舗宿。木造3階の建築はエントランスが唐破風で両側と中央に入母屋の屋根が3つ付いた豪快な立面である。小浜温泉第一の壮観であろう。
玄関は唐破風の立派な車止めが付いており。屋根は緑青の青い銅製である。壁は木貼りの腰と柿色の壁である。浴室は1階と2階および屋上にある。
1階の浴室に入ったが広い半露天風呂で大きな曲線の浴槽であった。湯は少加水である。99.6度の食塩泉で総計9160㎎の小浜特有の高温泉である。
透明、塩味やや薄い、無臭であった。ここも湯雨竹を使うと良いと思われた。
6 雲仙温泉 有明ホテル 80
雲仙の新湯地区に点在するリゾートホテルの老舗。明治37年の創業で、以来110年ほど営業されている。雲仙観光ホテルが国指定文化財の建築であるが、こちらは改築されておりコンクリートのホテルになっている。
洋風瓦のしゃれたホテルで格式は感じられる。有明と書いてゆうめいと読む「ゆうめいホテル」が正式であった。
清七地獄源泉で92度(分析表では76度)の温度の酸性緑礬泉(H-Fe-SO4)である。加水掛け流しとしている。加水しても源泉の良さは損なわれず透明、酸味強し、少硫黄臭であった。
特記成分は水素イオン(H)4.0㎎ 鉄イオン(Fe)22㎎ 遊離硫化水素(H2S)1.4㎎である。総計769㎎なので分析表は間違いで単純酸性泉であると思われる。
曲線の長い内湯浴槽と岩組の小さな露天風呂があった。個性的なのは酸味がかなりあったことである。いわき旅館よりも酸味が強かった。硫黄分は少なく白濁していない。
7 雲仙温泉 いわき旅館 85
雲仙の地獄地帯の噴気の中を道路で通過して古湯地区に行く。地獄地帯のすぐ隣にある小さな瀟洒な温泉宿。この地区は建築のファサード(外観)を統一して街並みの修景運動が行われており、以前訪問した時に比べて瀟洒な佇まいになっていた。
古湯地区の各温泉宿、店舗などはほとんどリニュウアルを完了しており観光地としての前向きな頑張りが伝わってきた。
この旅館は自家源泉で48度の含硫黄明礬泉(S―Al―SO4)が毎分280リットル湧出しており、掛け流しで利用されていた。
総計は1930㎎である。また以前入浴したが、露天風呂付きの部屋も掛け流しである。日帰り温泉は内湯が1つの簡素な施設で四角い石造りの浴槽がある。
湯は水素イオンが分析表に載っておらず酸性泉ではないがPH2.4で酸味を感じる。白濁、酸味、硫黄臭であった。硫黄分はH2Sの3.4㎎で白濁の原因である。敷地内より湧出した源泉を掛け流しにしているのは雲仙でもこの宿1軒だけであると明記されていた。
48度の温度が最適なのであろう。良い温泉であった。
8 雲仙小地獄温泉 小地獄温泉館 80
この小地獄温泉の共同湯に以前訪問したのは、古い建物の時だったのでこの度、再訪するのは20年近く経っているのだろう。
今回改築された建築は木造の平屋で浴室の位置には八角形の建物が2つ並んでいる。すでに古さを感じるだけの風格が出てきている。ここの湯は雲仙でも酸性が弱くPH3.85である。味覚でも酸味を感じなかった。
63.5度の単純硫黄泉で総計425㎎である。水素イオン(H)0.1㎎である。遊離硫化水素(H2S)が3.5㎎で美しい濃い白濁の湯になっている。
白濁、甘味、焦げ硫黄臭と観察した。内湯のみの施設で石造りの浴槽が2つに仕切られていた。片方の広いほうは熱湯で小さい方が適温なのでほとんどの人が小さい方に入浴していた。
1
天ケ瀬温泉 シャレー水光園 70
天ケ瀬温泉は中央に流れる川の両側に旅館が接して建築され、川の岸に露天風呂が点在する温泉地である。数えると15か所以上になる。それぞれ益次郎温泉とか薬師湯、古湯、神田湯、鶴舞湯、駅前温泉、などがあるがブルーのシートで屋根を掛けてあったりして完全には開放的ではない。
しかし一番大きくそして開放的なのがシャレー水光園の所有するかじか湯露天風呂であろう。小さな脱衣所があり便利である。湯は単純硫黄泉で透明、たまご味、硫黄臭あり。と観察した。
大きな露天風呂でややヌル目の湯である。つるつるの感触もあり天ケ瀬特有の温泉である。硫黄泉なので各所の露天風呂のうち一つくらいはどこか白濁しているところがある。それは探す必要があるが当たれば最高である。
過去に天ケ瀬の露天風呂の総めぐりをしているときに一つだけ白濁している湯があって感動した。
2
杖立温泉 米屋別荘 75
天ケ瀬から山を越えて杖立温泉に来た。渓流に沿った斜面に張り付くように建つ温泉街が杖立温泉である。連休の時期には川の両側からこいのぼりを大量に吊るしている。大きなビルの旅館もあるが、中でも風情のある米屋別荘に入浴した。杖立温泉の老舗である。
和風の瀟洒な宿で柱や梁が黒く塗られ黒川調とでも言おうか?98.3度の高温の食塩泉で総計1999㎎の温泉である。内湯に石の刳り貫き浴槽が2つありジャグジーになっている。
また大きな天然岩組の大石風呂もある。露天風呂は打たせ湯と庭園風露天風呂であった。透明、無味、噴気臭であった。塩気を感じないのは少々加水していると思われる。
3
日田温泉 かんぽの宿日田 75
日田の三隈川に沿って温泉街があるが、かんぽの宿だけは離れて別源泉の宿である。大きなコンクリートのビルの旅館である。内湯は循環ながら露天風呂は掛け流しにされている。
70.5度の食塩重層泉で総計2320㎎である。露天風呂は別府のひょうたん温泉発祥の湯雨竹によって適温に冷まされ掛け流しにされている。
そのため内湯は透明、無味、無臭ながら露天風呂は透明薄白濁、エグ味、噴気臭があって存在感がずっと多かった。つるつるの感触もあり良い湯であった。
4
日田温泉 みくまホテル 65
日田の市街地に沿って三隈川は広くなり、鵜飼なども行われる水郷の街である。温泉街は川に沿って並んでいる。その中で高層ホテルがみくまホテルである。
川と市街地の展望の良い屋上露天風呂がある。ここに宿泊した。部屋は7階で三隈川の流れが眺められ絶景である。湯は10階の屋上にある。36.4度の単純温泉で透明、無味、無臭、循環、殺菌であった。少々オーバーフローしていた。訪問してわかったが以前ここは入浴したことがあった。
泉質の良いかんぽの宿のほうに宿泊すれば良かったと思った。
5 筑後川温泉 清の屋 75
翌朝は泡付きのある夜明薬湯が休業日でざんねんであった。1湯目は筑後川温泉の清の屋である。大きなホテルの温泉である。アルカリ性単純温泉の37.4度で総計232㎎の清澄な温泉である。
温泉は内湯が1つだけの簡素な施設で御影石の浴槽に掛け流しで利用されている。透明、無味、微々硫黄臭であった。
6原鶴温泉 平成ビューホテル 85
原鶴温泉街の北側にある山の上にある大きなホテルの温泉。温泉は離れになっていて和風の瓦屋根の建築である。浴槽はなんと露天風呂のみという潔い施設であった。
岩を組み合わせて野湯風に造られておりなかなか風情がある。また山の上の露天風呂なので筑後川と田園風景の鳥瞰が美しい背景になっている。湯は総計830㎎の単純温泉で38.1度であるが、個性があってよろしい。
源泉掛け流しなので良い使い方をしている。鉄分を1.6㎎含有し薄黄褐色に濁り、エグ味あり、香ばしい香りがあった。湯口には赤褐色の析出物が付き雰囲気も良い。
加温と思われるが良い温泉であった。眼下に見える原鶴の温泉街の温泉は透明、無味、無臭の清澄な温泉なので、掘削によって良い源泉も現れるというのが良く分かった。
7甘木温泉 卑弥呼の湯 90
甘木の街中にある日帰り温泉施設。和風と中華風との折衷した意匠の建築で瓦屋根に湯気抜きの四角い屋根が男女別に2つ立ち上がった建築である。49.3度のアルカリ性単純温泉ながら素晴らしい存在感である。
総計332㎎のうち陰イオンの主成分が炭酸イオン(CO3)で57㎎の含有量である。また1.9㎎の硫化水素イオン(HS)によって微たまご味と硫黄臭が感じられ良いスパイスになっている。
最大の特徴はCO3によるつるつるの感触であろう。つるつる強しと観察した。循環ながらオーバーフローが多くほぼ掛け流しに近い。また湯が新鮮なため、内湯のみ泡付きが多く、炭酸泉のように身体中に気泡が付き取り去るときにさらにつるつる感触が増す。良い温泉である。
全国の温泉センターは見本にしてほしいと思った。
8 花立山温泉 カルナパーク花立山温泉 80
丘の上にある3階建ての学校のような大きなビルの温泉施設。大きな円形の内湯が3連である。露天風呂も円形風呂である。大理石の浴槽である。
透明、無味、微々硫黄臭の湯である。アルカリ性単純温泉の37.8度である。毎分800リットルの湧出量を掛け流しで利用している。
炭酸イオン(CO3)が51㎎と多くつるつるの感触が良い湯である。硫化水素イオン(HS)も1.2㎎である。卑弥呼の湯と同系の泉質である。
9久留米温泉 天然の湯あおき温泉 80
小さな日帰り温泉。平屋の新しい施設である。内湯はタイルの浴槽で3つに分かれている。それと露天風呂がある。すべて掛け流しで良い使い方である。
含硫黄食塩泉(S-Na-Cl)で総計1570㎎である。65度の湯温で毎分200リットルも湧出している。湯量は充分であろう。硫黄分はHS 0.6㎎ S2O3 2.0㎎で含硫黄になっている。
塩分は少なく透明、微たまご味、微硫黄臭と観察した。
10 大川温泉 貴肌美人緑の湯 85
仮設風の平屋造りの木造温泉施設である。なんと湯がモール泉でこの地域では珍しかった。食塩重層泉の46.8度で総計1520㎎である。
内湯と露天風呂がともに掛け流しで使われており良い温泉である。縁やコーナーから湯が溢れ小川のように流れている。掛け流しの量が多く湯量豊富だと感じる。
湯は黄褐色透明、少エグ味、モール臭(森の香り)である。匂いが良く芳香であった。ややつるつるもあり存在感のある源泉である。
御影石造りの四角い大きな内湯と岩組露天風呂とプールのような水色の四角い浴槽が2つであった。また温泉によるミストサウナもあった。若い女将さんが美人で私好みであった。
11 平山温泉 元湯 80
平山温泉の共同湯は隣の敷地も含めて大きくなり改築されていた。総計220㎎の極めて成分の薄い温泉ながら貴重な成分によって素晴らしい個性を発揮している。
44.6度のアルカリ性単純温泉であるが、HSが1.9㎎含有されており、微硫黄臭があるのと、陰イオンの主成分が炭酸イオン(CO3)なのでつるつるの感触がある。
CO3は38.3㎎44.4パーセントである。透明、甘味、微硫黄臭と記録した。内湯のみの施設で熱い湯とヌル湯の2浴槽になっていた。露天風呂は使われていなかった。
12平山温泉 湯の蔵 75
草木に覆われた風情のある温泉旅館。茅葺の門構えが鄙びている。母屋や宿泊室も平屋で離れのようになっている。黒川調と言えるような造りである。
浴室は四角い木の枠の内湯と、コンクリートで固めた露天風呂が2つある。湯は42.1度の単純硫黄泉で総計295㎎である。硫化水素イオン(HS)が4.7㎎含有している。炭酸イオン(CO3)も51㎎で主成分になっている。
透明、甘味微たまご味、微硫黄臭であった。つるつるの湯は元湯と変わらずであった。ややヌル目で新鮮味があまり感じられなかった。
13宝田温泉 宝の湯 80
小さな日帰り温泉施設。地元の共同湯のような存在である。湯は42.6度の純重層泉で解離成分は3185㎎と比較的多い。
重層分がメインであるが硫化水素イオン(HS)が0.8㎎ 遊離硫化水素(H2S)が0.4㎎含有されている。透明薄褐色、エグ味+少塩味、金気臭と微硫黄臭があった。弱いがつるつるの感触もある。
存在感のある源泉である。重層が多いのが味覚によってエグ味で分かった。御影石造りの内湯が2浴槽と露天風呂が長く大きなものが1つとヌル湯の少浴槽が1つあった。
掛け流しで湯が縁から溢れて床に流れている。良い温泉であった。
14 亀の甲温泉 80
平屋の小さな温泉施設。この近くには山鹿温泉を筆頭に辰頭温泉や不二の湯、宝の湯などたくさんの温泉施設がある。温泉密集地域である。
ここの湯を九州温泉道に選んだのは加熱掛け流しでつるつるの湯が気に入ったからである。小さなタイルの内湯と岩組の露天風呂がある。ともに4人用くらいのものである。
湯は39.2度の純重層泉で内湯は豪快に掛け流しされている。透明、無味、無臭ながらつるつるの良い泉質である。
15湯の浦温泉 亀井荘 85
小さな温泉旅館。ここは毎分122リットルの湧出量の温泉を小さな2人用くらいの浴槽に掛け流しにしていて使い切っているので豪快な掛け流しが素晴らしい。男女別に小さな内湯が1つの簡素な温泉である。タイルの小さな浴槽が一つで、ライオンの口から温泉が掛け流されている。
新鮮なために泡付きもあり、身体に付着した気泡を取り去るときにつるっとした感触もある。
温泉は新鮮さが命である。ここの湯はその大きな一つを満足している。39.7度の単純温泉ながら透明、たまご味、硫黄臭という感触がある。
単純硫黄泉になる規定以下の硫化水素イオン(HS)1.1㎎ 遊離硫化水素(H2S)0.3㎎がはっきりとわかる貴重な温泉である。以前に宿泊したこともあるが静かでよい宿であった。