1 妙見温泉 どさんこ 温泉地再訪
離れの露天風呂は新鮮で最高。 体感清涼感あり 内湯は熟成され、また違った良さがある。
妙見温泉のある新川渓谷温泉郷では野湯がかなりあり、このたび平落露天風呂に行った。湯は以前のごとく湧出していたが激熱で入浴不能であった。近くの山の湯露天風呂も同様に熱かった。小滝や淵の多い渓谷美の川に湯がただ流れ去っているだけであった。
数多い温泉宿がある安楽、妙見温泉一帯ではどこで入浴するか迷うが、このたび「どさんこ」にて入浴した。木造2階の小さな宿で、北海道のかになどを直送して出しており、鹿児島に居て根室で採れる「花咲がに」を食べられる。天降川の清流に沿った宿で流れが美しい。
まず貸切利用の離れにある「こころ湯」に入浴させていただいた。小さな岩風呂と鉄鍋の浴槽があり、どちらも新鮮な湯が掛け流しされている。やや熱めながら良い湯でオリーブ色濁り、炭酸味+強いエグ味、炭酸臭と観察した。体感清涼感もあり温度が高い湯ながら、まだ炭酸分を良く残しており良い使い方である。
宿の中には4ヶ所の家族湯と大浴場があり壁に源泉の湯と大きく書かれ、飲める温泉とも表示されている。こちらの内湯は離れの露天風呂に比べ、やや熟成され風格を増したものであった。
床は析出物も付いたもので、色は緑色に濃くなっていた。炭酸泉の感触は少し弱くなっていた。源泉は土類重曹泉で48.6度、総計2290mgの温泉である。炭酸分は374mgと適度に含有されている。新鮮なこころ湯ではかなり残っていた。
2 小鹿野温泉 地元専用共同湯
コンクリートの湯小屋、大掛け流し 重炭酸土類泉 緑褐色、エグ味+少炭酸味、土類甘い香りあり
小鹿野温泉では幸荘という温泉に入ったことがあるだけで、緑褐色の重炭酸土類泉が掛け流しでよかった記憶である。他に地元専用温泉もあるということで探してみた。小さなコンクリート造かブロック造モルタル塗りの湯小屋で鄙びた外観である。
男女別の小さな浴槽に湯が掛け流しになっているだけのシンプルな共同湯であった。2本の湯口が浴槽の両側にあり、浴槽に入れられており、真っ茶色に染まったコンクリートの縁と床は温泉成分の濃さを物語っている。
掛け流しから溢れた湯が床を流れ、排水口から渦をなして流れ去っていた。大掛け流しとでも言おうか。
小さな浴槽が1つだけなので湯量豊富に見えるのかも知れない、感動的であった。40度前後の適温の重炭酸土類泉と思われる。炭酸の感触もある湯で、緑褐色、エグ味+少炭酸味、土類の甘い香りであった。
3 小鹿野温泉 垂れ流しポリバス
ゲロゲロの析出物多し、ヌル湯 34-5度
小鹿野地区にはほかにも源泉があり、湯が溢れたままになっている野湯があるということで探してみた。地元でも温泉として認識されていないのか、だれも知らない。以前入浴した人から事前に教えたもらった周辺を数度廻ってみたが、温泉らしきものは見つからなかった。しかし温泉の所在を聞いて5人目くらいの人が、赤くなっている水が流れているという情報を教えてくれた。
それは養魚場のコンクリートの池で水を張っていなくカラになっていてそこに温泉が垂れ流しになっているものであった。川の周辺では見つからないはずだ、養魚場は使われて居らずコンクリートのプールがカラになっているがその底にポリバスが置いてあり、湯が垂れ流されているのであった。
ポリバスは清掃されておらず長期間放置されていたのか、周囲に苔が生え、赤褐色の湯が流れていた。底にはヘドロ状の析出物が溜まっており、ドロドロの浴槽であった。青森の久吉温泉の放置源泉のようであった。重炭酸土類泉であろう、赤褐色で、エグ味の中に炭酸味があり、炭酸金気臭という温泉であった。
温度は35度前後であろう、ヌル湯であった。ゲロゲロの汚い温泉ではあったが、炭酸のために匂う甘い土類の香りが記憶に残った。
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1栄の尾温泉 野湯の川
緑渓湯苑の川は全体に39度ほどの温度がある。滝壺で入浴
いわさきホテルの緑渓湯苑は渓谷の流れに沿って両側に点在している露天風呂群であるが、その中を流れる渓流は39度ほどの適温の湯の流れであった。渓谷の傾斜があるので至るところで小滝を作って流れている。その滝壺はそれぞれ腰より深い湯溜りになっており、快適な入浴ができる。
また滝を打たせ湯のように浴びることもできる。鳴子鬼首の湯の川のように各所で入浴ができて快適である。こちらでも小一時間入浴を楽しめることができた。湯は明礬系の味覚がある透明な湯で、両側に白濁した栄の尾温泉の露天風呂群があるが、こちらは天然の渓流である。素晴らしい自然である。
湯量豊富で明礬温泉跡からここに至るまで各所で温泉が湧出しているのであろう、川が温泉の温度を有している。この霧島では目の湯や山ん城温泉、八幡大地獄や先の明礬温泉の湯の川などもあるが、ここも大温熱地帯で川が温泉であった。霧島で5ヶ所目の湯の川であった。このような状況が楽しく、だれも入浴していない自然に触れることができて満足至極である。登別の湯の川でも感動したがこちらも感動的で先の緑渓湯苑も素晴らしいが自然の川の淵や流れ、小滝などは天然の造形である。この川のワイルドさをさらに高い評価としたい。
2 山ん城温泉途中の湯小屋
斜め格子のコンパネ造りの湯小屋。中央に一人用の浴槽、緑色白濁の強力な硫黄泉。湯小屋は絶品であるが湯がヌルく残念
個人用の湯小屋がこの霧島地区にあるというので探してみた。情報の通り山の中にコンパネで造った小屋があり小さな浴槽が中央にある。まさに小さく一人用である。それも中央だけ深くなっているので、周囲は浅い。
掘っ立て柱にコンパネ(コンクリート用ベニヤ)の壁であるが、窓が凝っていた。細い木で斜め格子になっている。屋根はブルーシート張である。腰までの外壁は塩ビ波板が張ってある。簡素極まりないが、妙に意匠が様(さま)になっている湯小屋である。
湯が素晴らしい。変形の円形浴槽に濃い緑色白濁の湯が溜まっていた。美しい色で、国見温泉のような色である。濃い硫黄分である、硫黄苦味がはっきり分かり、酸味はないので濃厚な硫黄泉であろう。硫黄臭もある。個性的な湯と湯小屋の絶品な風情で最高の温泉であるが、湯がややヌル目であるのが残念であった。温度がやや熱目であればさらに硫黄臭が香り、この泉質では最高であろう。
この近くは霧島温泉の源泉地帯で、目の湯上流に大きな源泉があり掛け流しになっている。大量の余り湯が川のように垂れ流れており、超高温で入浴できるものではない。また大きな湯の沼が沸騰している源泉池もあり、この大温熱は未利用で流れ去っている。凄い温泉資源である。
3丸尾上温泉 旅行人山荘
単純泉と単純硫黄泉があるが硫黄分少なし、桜島と錦江湾の景観は良い
丸尾温泉は霧島温泉郷の中心で大きな旅館も多数ある温泉街である。各所に噴気が立ち昇り温泉街の風情がある。しかし水量が足りずに造成も行っている温泉と聞いて残念であると思った。その丸尾の山の上に旅行人山荘という宿がある。まだ未湯であるのでこの度入浴しに行った。
大きなビル建築の宿で内湯には60度の単純泉が入れられ、露天風呂には65.3度の単純硫黄泉が入れられている。単純泉は総計727mgで重曹系である。ささ濁り、無味、無臭のきれいな湯であった。露天風呂の硫黄泉は薄白濁、たまご味、少硫黄臭の単純硫黄泉であるが、ほとんど硫黄分は少なく弱いものであった。
分析ではHS 0.1 S2O3 3.7 H2S 6.5mgと硫黄含有量はほどほどにあるが感触は1mgよりも低い感じであった。この単純硫黄泉の成分総計は116mgと極めて清澄で、硫黄分が抜ければ白湯に近いものになってしまう。ここは湯の使い方が悪いのか10mgほどの硫黄分をうまく使えていなかった。
パンフレットには真っ白に白濁した温泉が写っているが今回はほとんど白濁していなかった。しかし露天風呂からの景観が良く、霧島南斜面の高台にあるので、錦江湾と桜島の遠景がはっきりと見えて美しい展望であった。
1 えびの高原温泉 国民宿舎えびの高原荘
立派な建築 薄黄色白濁、渋エグ味、金気臭となかなか個性的な湯
えびの高原に登ると温泉が湧出している。有名な市営露天風呂のほかにも綺麗な宿があり温泉が入れられている。新しい建築の国民宿舎えびの高原荘にて入浴した。
立派な建物で内湯2つと露天風呂がある。韓国山の山容を眺める露天風呂の展望が良い。重炭酸土類食塩芒硝石膏泉(CaNaMg-SO4、Cl、HCO3)という複雑な源泉で、薄黄白濁、渋エグ味、金気臭という表現であった。
妙に虹色に反射している温泉の色で白濁する前段階のような感じである。51.3度の源泉で総計1618mgである。比較的成分量は少ないにもかかわらず良く個性を発揮していた。
2 明礬温泉 明礬温泉跡川の野湯
明礬温泉跡を詳しく調査すると源泉井戸3ヶ所あり、下流の丸尾に送っていると思われる。その後川沿いを調査していると川の湧出地点は適温の足元湧出源泉であった。発見の喜びで評価高し、明礬酸味 金気噴気臭あり
霧島の温泉地に下ってきた。地図には明礬温泉や栄の尾温泉、林田温泉、丸尾温泉、硫黄谷温泉、殿湯温泉、栗川温泉、塩湯温泉、湯之谷温泉などとたくさんの温泉名が書いてある。そのほとんどは入浴したが、明礬温泉と栄の尾温泉には入浴していないので探してみた。
明礬温泉の地点に来ると宿がかつて建っていたような平地があるが更地で何もない。車を降りて探索してみた。川沿いに源泉井戸が3ヶ所ほどあり、そこから太いパイプで下流に湯を送っていた。温泉施設はないが大湯量の源泉はあったのである。
これでは入浴不能だなあとおもっていたが、川を見ると底の石が真っ赤な赤銅色に染まっている。明礬泉特有の色だなあと思い川に下り手を入れてみると適温の湯であった。ちょうど沢の始まりで上流は枯れ沢である。尻焼温泉の沢のように川から温泉が湧出して、湧出地点は池のように湯が溜まっている。そして川が始まっていた。湯溜りに入浴してみると、ややヌル目適温の湯が足元より湧出している。これは快適な野湯である。透明、酸味明礬味、金気噴気臭あり。と観察した。温泉地名と同じくまさに明礬泉であろう。
3 栄の尾温泉 緑渓湯苑
林田ホテル奥の露天風呂、浴槽群 8つの白濁した硫黄泉の浴槽がある。 素晴らしい。
昔の林田ホテルは現在いわさきホテルとなっている。遥か以前に入浴したが、記憶はほとんどない。大きな体育館のような温泉だった記憶である。
その記憶をたどってみると、たしか単調な湯で数々の浴槽があるがすぐに出てきた。10分ほどだったのか、それを見た受付の人が驚いて2千円近い入浴料の半額を返してくれたことを思い出した。
さてその温泉に再度入浴しようかなあと思い再訪する。しかし本館の温泉は入浴するのをやめた。宿の奥の栄の尾温泉付近に温泉が湧出して露天風呂が造られているということを聞いた。
いわさきホテルの駐車場に車を止め、10分ほど渓流を登ってゆくと思ったよりもずっと野性的な露天風呂群が出現した。
川の両側に大小8つの露天風呂が点在し島津家の殿様の名前が付いている。どれも白濁しており適温からやや熱めの浴槽で豪快に掛け流しされている
。湯量豊富なのであろう。緑渓湯苑と名付けられた大露天風呂天国であった。硫黄泉と思われる。白濁、少酸味、硫黄臭の湯で明礬系というよりも硫黄泉であろう。濃い白濁の湯から薄白濁がほとんどであるが一つ透明の湯もあった。タオルを腰に巻いて入り歩き、小一時間入浴を楽しんだ。
野趣に富んだ露天風呂群であった。湯が多く新鮮で渓流の自然をうまく生かした造りで野湯のようであった。良い源泉で硫黄分も多く良い評価とした。
1 人吉温泉 人吉旅館 温泉地再訪 宿泊
たから湯に泊まりたかったが3万近くするので人吉旅館にする。古い良い宿 掛け流し 黒湯
人吉の温泉めぐりは数回目である。28箇所の共同湯や50箇所を超える源泉がある大温泉地である。しかしこの度は廻らずに宿を取ってゆっくりと過ごそうと思い、早い時間にえびのから高速道路でトンネルを抜け人吉に入った。
いつも夜遅くまで温泉めぐりをしている私にとっては珍しい日となる予定であったが、カメラが故障して人吉のカメラ屋巡りとなってしまった。しかし明るいうちに古い木造の立派な外観の人吉旅館に到着した。
人吉ではたから湯が風情、温泉の湯ともに好きで泊まりたかったが、一人旅で高価に付くので次回の楽しみとした。
人吉旅館は昭和9年築の木造の2階建てで瓦屋根の日本旅館である。磨かれた廊下や柱が美しい。
エントランスには曲がりくねった梁が天井より露出していて古い造りがわかる。川沿いの老舗で天井の高い1階の8番室に泊まった。風格が出た落ち着いた部屋で良かった。
食事も部屋出しでこの旅館で1万円を切るのはリーズナブルである。37度の単純泉であるがモール系の黒湯で存在感は大きい、加熱掛け流しで良い使い方である
。大きな内湯が一つのみで簡素な浴室であったが湯が良いので評価は高い。ややつるつるの感触があり、モール泉特有の感触である。黒褐色(80センチ)少苦味・微たまご味、少モール臭あり、と記録した。
温泉は外部の別入り口から入る共同湯にもなっており、別の浴槽であるが同じ黒湯に入浴できる。良い日本旅館であった。
2 人吉矢立温泉 かくれ里の湯
アルカリ性単純泉 掛け流し 透明、無味、無臭 秘湯である。以前、林道からアプローチしたが 真っ暗でロスト。リベンジした。
人吉の観光案内の温泉地図に載っていながら一つだけポツリと離れていて、未湯であった温泉。人吉市街からは離れており、えびの市との県境に広がる矢立高原の山中にある。
国道より分かれ、細い道に入りタイトなコーナーの続く道を通りアプローチする。
以前、国道ではなく林道を通って矢立の山を越えて人吉に行ったことがあるが、屈曲の多い酷い細い道で、どこまでも続くような長い林道であった。高速道路で行けばトンネルですぐであるが、山越えの道は遠く長かった。さらにこの温泉に行くには途中から未舗装になり、暗い夜道で見つからなかったことがある。
今回は朝一番で国道からの最短距離を進んだ。タイトなコーナーの続く道路に突然、茅葺の門構えが現れる。その先がこの「かくれ里の湯」の敷地である。いくつかの離れの棟がある中に大きな合掌造りのような背の高い茅葺き屋根がある建築が温泉棟である。中に入ると天井がなく小屋裏まで続く大きな空間である。梁が空間を飛んでいて真っ黒にいぶし出されている。照明は暗くしてあり、雰囲気を持たせている。
床は磨かれて光っており、囲炉裏がある昔の風雅な食事処である。浴室棟はコンクリート造であるが、木の枠で作られた大きな内湯である。ほかに小さな浴槽も2つほどある。壁に天狗の面や人面のレリーフが飾ってある。狸の湯口から源泉が掛け流されているのも楽しい趣向である。アルカリ性単純泉の約40度で透明、無味、無臭の湯であった。
3 白鳥温泉 下湯共同湯 (再訪)
単純泉ながら薄泥色濁り、少金気渋味、少金気臭あり 酸性泉気味の湯である。
えびの市から霧島の山に登ってゆく。展望が良くなりえびのの平野が俯瞰できるような高さになる中腹に白鳥温泉がある。下湯と上湯があり、2つの入浴施設がある。下湯から入浴した。
木造の山小屋のような外観の建築で、渡り廊下で浴室棟に行く。湯は総計で100mg以下の薄い単純泉である。63.7度の湯が湧出している。水素イオンの分析量は記入されていなかったが、少量含有するのであろう、弱酸性高温泉である。明礬系なのか薄泥色濁り、少金気渋味、少金気臭あり、と観察した。タイルの内湯と岩組の庭園風露天風呂があり床や石は赤褐色に染まっている。簡素な日帰り入浴施設であった。
4 白鳥温泉 上湯共同湯 (再訪)
単純酸性泉 PH 2.9 明礬酸味と金気臭、浴槽赤銅色に染まる。離れの蒸し湯は以前のまま
下湯の少し上側に白鳥温泉上湯がある。以前古い施設のときに訪問したがこのたび再訪してみた。木造の食事処と温泉棟が正面にあり、奥の離れに蒸し風呂の棟が以前のまま建っていた。
建築は新しくなっているが場所は同じである。共同湯のような簡素な小屋で中は真っ暗である。写真も全然撮れなかった。中は強力な暑さで、貴重な天然噴気のサウナである。
また露天風呂に行くと景観が良く、えびの市の町並みや田畑の平野が一望のもとに鳥瞰できる。好天の日で石組の露天風呂は気持ち良かった。
内湯は木枠の四角い浴槽が一つでこちらからも展望が良い。泉質が特殊で水素イオンを1.3mg含有し、単純酸性泉である。PH2.9の温泉で70.5度の高温で湧出している。湯はほぼ透明ながら浴槽は赤銅色に赤く染まり、明礬泉特有の表現をしていた。味覚は明礬酸味、匂いは金気臭であった。個性的な温泉で下湯よりも酸度が強い珍しい泉質である。
1 城山温泉 (再訪)
圧倒的な析出物と新鮮な湯でノックアウトの良さ
城山温泉はえびの市郊外に突然湧出した良い湯である。近くには、般若寺温泉や原口温泉、鶴丸温泉などの吉松温泉郷や京町温泉などのモール系の温泉ながら、この近くの吉田温泉とともに炭酸分を適度に含有して個性的な温泉になっている。
特にこの城山温泉は土類成分や食塩、硫酸塩、炭酸も含み含食塩芒硝土類重曹泉(NaCaMg-HCO3 SO4 Cl)という何でも含有している温泉である。鉄分Feは4.4mgであるが赤褐色に濁り、甘塩エグ味+炭酸味、土類炭酸臭という複雑な表情であった。
炭酸分は227.7mgと比較的少ないが源泉の味覚に良く残っている。2つの浴槽があり片側に掛け流され、溢れた湯が2槽目に流れる仕組みである。源泉を入れている浴槽の方はやや熱めで2槽目が適温である。こちらに長湯した。小さな共同湯のような湯小屋のみの温泉で男女別に浴室がある。
凄いのは床の析出物である。うろこ状になっているが、その上にさらに襞状に析出物が重なり厚みを持ったコテコテの床になっている。掛け流しの湯が流れ出る部分は、壁のように析出物が高く析出し、三角形に湯船の縁まで析出物が続いている。
成分はナトリウムの977mgのほかにマグネシウム209mgカルシウム354mgアンモニア49.6mg、塩化物646mg 硫酸1241mg 重炭酸2190mgとなっており、総計6120mgの濃厚な源泉である。
浴槽の縁は襞襞になっておりチョコレート菓子のようである。女湯の方も見学させていただいたがほぼ同様に析出物が溜まっており壮観であった。この床の造形は非常に貴重であり時間を掛けないとこのようにはならないのでこのまま残してほしいと思った。浴室が古いので改修されたら残念である。日本有数の析出物固着浴室として保存したい気持ちになった。
2 あきしげ湯
3回目でやっと入浴できた。今回も問答の末やっと入れる。 困難度最強の温泉 16時に終わると言うが15時40分に着いたら断られる。しかし粘り強く交渉してすぐ出ると言ってやっとゲットした。琥珀色のつるつるの良い湯
えびの市の郊外にある温泉。京町温泉から線路を越えて山麓温泉の脇を過ぎて丘に登って行き20分ほどの距離である。広く開けた牧場の中のような立地である。
白い宿の横に木造の木の壁で造られた浴室棟がある。この温泉は評判が良いのであるが、時間切れや、取材不可でいままで2回入浴を断られている。3度目でやっと入浴することができた。しかし16時に終了という早さで、少し前にたどり着いたが断られそうになり、お願いしてやっと念願の入浴となった。
木枠の2槽に分かれた内湯と大樽の露天風呂がありレモンイエローの奇麗な湯が掛け流しになっていた。少エグ味もある。つるつるの感触も強く良い温泉である。このつるつる度が強い温泉は記憶に強く残る。この温泉もその一つであった。
また最たる特徴は匂いである。油臭と言おうか、モール臭とも言える濃い匂いが湯口でははっきりと認められ名湯であると思った。色、味、匂い、感触でそれぞれ特徴を持った温泉で個性的である。総計598.8mgのアルカリ性単純泉で単純泉とは思えない存在感のある湯であった。