1 白木川内温泉 山荘・旭屋旅館共同利用 (再訪)
上の湯は硫黄分多し 下湯はつるつるが強い
白木川内温泉は4回目の訪問であるが、ずっと変らずに存在している。濃い緑色の岩が露出している足元湧出浴槽で、毎回写真にすると底が真っ黒に写ってしまうのが残念である。今回は気合を入れて底の暗い部分にカメラの露出を合わせて撮影した。深い黒っぽい岩が今回は良く撮ることが出来て嬉しい。
この湯も湯川内温泉と同じように上下に2ヶ所の足元自噴源泉浴槽がある。山の小さな沢の奥に2軒の宿がありこの浴槽を共用している。山荘と旭屋旅館である。
下湯と上湯ともに分析表があり成分が微妙に違う。下湯の硫黄分が多く硫化水素イオン(HS)14.7mg チオ硫酸イオン0.2mgで44度の単純硫黄泉である。炭酸イオンCO3も33mg含み24.7%で副成分になっている。そのため下湯はつるつるがかなり強く良い感触であった。
四角い浴槽がコンクリートで縁が造られているが足元はダークグリーンの岩が露出し亀裂より湧出している足元湧出浴槽である。弱く緑色になる奇麗な透明な湯でこの浴槽も神秘的な良さを感じる。
上の湯は42度の単純硫黄泉でHS 5.6mg S2O3 0.9mgと下湯と比べ硫黄分は少ない。総計357mgの薄い成分総量であるが硫黄分と炭酸イオンCO3が49.2mg(33.9%)含有されこちらもつるつるの湯になっている。
但し、上下比べると24.7%と少ない下湯のほうがつるつるが強いように感じられた。温泉の不思議さである。透明薄緑色、たまご味、硫黄臭と記録した。
下湯は調子が悪かったのか44度の温度はなくヌル湯になっていて、上湯の42度のほうが温度があった。上湯は浴槽の2面が天然岩になっており、野趣に富んでいる。足元も岩で源泉は横の壁より湧出している。硫化水素イオンに拠る、奇麗な薄緑色の源泉が天然岩に湧出している神聖な浴槽であった。
この2つの浴槽とも貴重な自然であり大事に守っていただきたいと願うばかりである。良い泉質で無加工の足元湧出源泉である。
2 大口温泉 紀乃温泉
透明、無味、無臭 オーバーフロー循環
ややつるつるあり 純重曹泉
鹿児島でも有数の温泉地帯である吉松・えびの方面に行く。途中に未湯の紀乃温泉があり、入浴してみた。
やや小ぶりの温泉センターで病院のような造りの建築である。内湯のみの温泉で小さめなひのき風呂と大きなタイル浴槽がある。
46.4度の純重曹泉で弱いがすべすべの感触もある。しかしオーバーフロー循環であった。掛け流し浴槽があると良いと思った。
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1 湯の鶴温泉 喜久屋旅館 温泉地再訪
単純泉 掛け流し 硫黄臭は感知出来なかった。
湯の鶴温泉は佇まいの良い温泉地である。温泉街は木造の温泉宿が細い道の両側に続き、滞在してみたくなるような田舎の良い温泉地の風情が溢れている。永野旅館に素泊まりで予約していたが、前日は温泉巡りの予定を消化できずにキャンセルした。中央に清流が流れており喜久屋旅館は橋を渡ってアプローチする。川に沿った白い外壁の細長い宿で奥に貸切り露天風呂や手前に内湯もあるが中央の豪快な太い木枠の半露天風呂に入浴した。
底には大きな石が敷いてあり、上からパイプで源泉を掛け流しにしている方式である。硫黄臭があった記憶であるが、この湯は透明、無味、無臭の奇麗な無個性の湯であった。しかし掛け流し量は満足行くもので、床に温泉が豪快に溢れ流れていた。
貸切り露天風呂は客室から行くような形式で畳の部屋が脱衣場である。なおこの温泉地の中でも一番の立派な建築の湯の鶴旅館が休業中のようで残念である。木造3階の立派な造りであった。
2 湯の鶴温泉 四浦屋本店 温泉地再訪
HS 4.0であるが感知出来ず 源泉変ったのが原因か?
湯の鶴温泉でもう一軒訪問してみた。川に沿って共同湯のような四浦屋本店大浴場と書かれた建築があり、入浴してみたいと思った。瀟洒な和風宿で地下部分に石造りの大浴場がある。内湯だけで湯が滔々と掛け流されていた。この温泉も透明、無味、無臭の清澄なもので硫黄臭が感知出来ない。分析表によるとHS 4.0mg の単純硫黄泉で54.1度 PH8.8である。総計796mgの源泉である。しかし源泉を掘り直したと聞き、硫黄分が減少したのではないかと推測する。
CO3 は21mg含有されつるつるの湯の感触はある。硫黄分を感じないのが残念であった。立ち寄り湯も200円と格安で9時から21時までと長時間に渡って開放されている。湯治宿の伝統であろうか、気軽な雰囲気で良い。
3 湯川内温泉 かじか荘 (再訪)
素晴らしい足元湧出源泉
湯の鶴温泉から峠を越え、鹿児島県に入った。田の頭温泉の脇を通り折尾野温泉を通り、湯川内温泉かじか荘に到着した。3回目である。そのうち1回は宿泊している。この温泉はかなり好きである。足元湧出源泉の貴重さもあるが宿の古びた外観ながら清楚な雰囲気があり、良い温泉宿である。
浴室は上下に2ヵ所あり共に男女別に足元湧出の浴槽がある。37.7度の単純硫黄泉で総計153mgと薄い成分量である。しかしその存在感は大きく、温泉は成分量だけでなく個性的な感触を発揮する成分がどれだけ含有されているかに拠る。この湯は硫化水素イオン3.2mgとチオ硫酸イオンを2.0mg、炭酸イオンCO3を32.9mg含有し炭酸イオンは59.1%で主成分になっている。NaCO3系の単純硫黄泉である。
上の湯は壁に薄石が貼られ木枠の浴槽で底は大きな石が露出し石以外は砂地である。底から気泡が絶えず立ち昇り、足元湧出温泉特有の表現になっている。女湯と底は繋がっている。青く澄み切っていて底の岩が見える奇麗な泉で神聖な雰囲気さえある。国内でも屈指の絶品の浴槽であろう。
透明、たまご味で苦味残る、硫黄臭ありと記録した。下の湯は同じく木枠の浴槽であるが、小石と砂利の底の湯小屋である。上の湯よりも神聖さは薄れているがやはり完全に透明に澄み切り底の白い砂利が見える。浴槽内の周囲に木の腰掛が造られており長湯できるようになっている。私も1時間以上入浴した。
ほぼ同じ感触の湯でつるつるの感触もやや強めである。良い温泉であった。明治時代までは島津家専用の温泉であったという、明治維新後に一般に開放されたということである。このような素晴らしい温泉は大名家専用であった。現在は誰でも利用できて良いことである。
1 湯浦温泉 旅館亀井荘 温泉地再訪 宿泊
泡付きあり、つるつるの硫黄泉 掛け流し
良い温泉である。
この日は熊本県最南部の湯の鶴温泉まで行くつもりであったが、予定が多すぎて急遽湯の浦温泉に予約代えをした。湯の浦温泉は「ことぶき」という宿やささ原温泉や岩の湯共同湯などで入浴したことがあり、つるつるした湯でたまご味と硫黄臭のある泉質で小さな温泉地ながらほのぼのとした良い温泉地である。この亀井荘も実に良い湯で、まさに当たりであった。
木造のこじんまりとした宿で小さなタイルの内湯が一つのみである。温泉は施設の豪華さではなく湯の使い方の是非や湯量にあった大きさの浴槽があるのが一番である。この宿はその両方を満足した設備で一つの清潔な内湯にライオンの口から源泉が掛け流されているだけの簡素な造りである。これだけで温泉好きには満足なのである。湯は白いタイルの床を流れ去っている。42度の単純硫黄泉で毎分135リットルと明記されている。浴槽ではややヌル湯ながら長湯にもってこいで良く暖まる。加熱しないのも良い。
透明、たまご甘味、硫黄臭という観察で良い硫黄泉の見本のようである。新鮮なために身体に気泡が付着しアワアワになる。そしてその泡による、つるつる感もあり素晴らしい温泉であった。敷地内に独自源泉を持ち、いままで入浴した別の3箇所とは違う源泉である。それほど有名でもない小さな温泉地であっても、良い湯を再確認でき、温泉めぐりの楽しみを享受できた一晩であった。
2 つなぎ温泉 四季彩 (再訪)
ケーブルカーで行く露天風呂は良い
内湯は循環
朝一番でつなぎ温泉に行く。最初に行ったときは竣工直後で奇麗な温泉センターであった。今回でも比較的新しさは残っていた。この湯は褐色に濁っていた記憶があり、良かったので再訪してみた。
凝った造りの現代建築で曲線を使った屋根や壁で、やや「やりすぎ」の感はあるが、頑張って設計したなあと伝わってくる温泉センターである。1階にある温泉には洞窟をくぐって行く面白い造りである。
もう一つはケーブルカーを使って山の上に行くと露天風呂がありそちらが源泉浴槽とのことで、山の上の展望露天風呂から入浴した。モノレールの6人ほどしか乗れない小さな車両に乗り、自分でボタンを押して山上に行く。上には簡素な共同湯のような脱衣場の付いた露天風呂があった。不知火海の津奈木の湾や町並みが見える眺望の良い露天風呂で湯は源泉のままで良かった。
41.1度の単純泉ながら赤褐色に濁り、少苦味があり、弱い鉱物臭もある。総計759mgとしてはたいへん良く個性が発揮されていると思う。やはり源泉掛け流しが良いのである。単純泉でも濃い色と味覚、匂いがあり分析表の薄さを疑うような存在感である。1階の大きな内湯と庭園風の露天風呂が付いた大浴場はオーバーフロー循環で透明な湯になっていた。毎分564リットルの湧出量があるので全ての浴槽で掛け流しにしてほしいと思った。
1 玉名温泉 尚玄山荘 温泉地再訪
以前から行きたかった宿、現代建築の素敵な建築
センスの良い宿、湯は掛け流し
玉名温泉では現代建築で新築になった尚玄山荘の写真を見て行きたいと思っていた。この度玉名温泉まで足を伸ばし、久しぶりの再訪をした。瓦屋根の和風建築であるが白い壁とガラスのエントランス屋根や装飾を廃した直線的な造りが現代建築の意匠である。
玄関は大きな中庭に面しており、一面が水面である。屋根の勾配通りの大きな吹き抜けで照明は間接照明が落ち着いた雰囲気を出している。外観、玄関、廊下ともにセンスの良い宿である。湯は56.3度の弱アルカリ性単純泉で透明、無味、無臭であるが大量に掛け流しされ良かった。
御影石の内湯と石組露天風呂の2つの浴槽である。特に内湯は溢れた湯が床に流れを作るほど大量の掛け流しで感動的である。露天風呂も石組の庭園風であるが、建築側はシンプルな直線で構成されている。つつじの庭が有名とのことでこの現代建築とうまく調和している。良い温泉宿であった。
2 庭園の湯温泉 アピス
鯰温泉は販売のみでこちらに入浴する。 循環、殺菌
阿部さんの報告にあった鯰温泉に行こうと思い、近くまで行くと販売のみで入浴施設は無いとのことである。代わりにアピスという温泉施設があるので行って見た。銘木を使ったエントランスで凝った造りの温泉センターである。
ここは豪快な大きい岩を使った露天風呂が売りで、高さ3メートルはあろうかと思える大きな岩に囲まれた露天風呂が3ヶ所造られていた。一部岩で洞窟状にしたものなどもあり費用を掛けたのが分かる。
内湯は大きな浴槽で玉石の壁であった。湯は総計2602mgの重曹食塩泉(Na-Cl、HCO3)で43度の温泉である。毎分496リットルもの湧出量ながら加温、循環、殺菌で残念であった。微褐色透明、少エグ味、殺菌臭と観察した。施設の造りが良いので温泉も源泉浴槽を造ればさらに良いと思われた。
1 不二の湯温泉 (再訪)
以前は辰頭が勝っていた記憶ながらこちらも素晴らしい
泡付き多し
辰頭温泉の少し北側には仮設風の不二の湯や亀の甲温泉などの温泉もある。まさに良い温泉の密集地帯である。以前不二の湯に訪問した時は浴室の風情や仮設風の佇まいに感動したが湯の個性の記憶が薄くなっていた。今回、湯を良く観察してみた。こちらも辰頭温泉に匹敵する良い湯で、湯はほぼ同系の45.2度の食塩重曹泉である。この温泉は存在や位置が温泉好きの琴線に触れる。
コンクリートの土管や箱を造っている工場の中にあり、簡素な仮設風波板造りの外壁と屋根である。この温泉は最近新築され奇麗な建物になった。このようなシンプルでかつ仮設風の温泉施設に温泉好きは惹かれるのである。それはこの温泉が加工されていないと思うし、隠れた秘湯を発見したという喜びもあるからだと考えている。
温泉はコンクリートの床に青いタイル張りの浴槽が中央にあるだけの簡素なものである。パイプの湯口からただ浴槽に湯が入れられているだけである。記憶よりずっと良い湯で透明、少塩味、少湯の香である。新鮮な湯で湯口では体に泡付きがあり感動した。この湯も素晴らしい湯で簡素な仮設風浴室ともあいまって温泉の良さを充分に堪能できた。非常に高い評価としたい。
2 湯の屋台村温泉
仮設風温泉施設 つるつるやや強し良い湯
泗水町から西合志町に入るとすぐに湯の屋台村温泉があった。白い擁壁に赤い字で天然温泉、家族風呂、公衆風呂と手書きで書かれた看板があり、その上に仮設風の建築が建っていた。三重の塔のような屋根の付いた木造の仮設施設のようなバラック風の建築である。一見居酒屋のようである。
中の食事処はちょうど宴会の真っ最中で御主人の知り合いなのか本人も参加中で大盛り上がりであった。浴室は右隣にあり大きな石が置かれた内湯であった。総計2483mgの純重曹泉で温度は不明である。
泡付きはないがつるつるが強く、「やや強し」の評価である。腰まで石貼りでその上に木の屋根が乗った簡素な施設である。透明、少エグ味、微金気臭と記録した。この温泉の大きな特徴はつるつるの湯でこの地域では亀の甲温泉と並び上位に位置できる温泉である。
3 玉東温泉 ふれあいの丘交流センター
新築の山の上のセンター系施設 循環
透明、無味、無臭
玉名温泉に行く途中の玉東町にできた温泉施設。小高い山の上にある温泉センターである。総計131mg、26.6度の清澄なアルカリ性単純泉で特記成分はHS 1.4mg OH 0.6mgである。しかし透明、無味、無臭の循環である。
炭酸イオンの含有量が39%で主成分になっていながら、つるつるの浴感もなく湯の個性として特記するべきものはなかった。立派な温泉センターで新築の大きな施設である。大きな内湯と露天風呂があった.