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郡司が実際に行き、観察・記録した湯について書いています。
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温泉紀行
2010/12/05 九州 
大分の鉱泉 六ヶ迫、塚野 

1 六ヶ迫鉱泉 しらさぎ荘 (再訪)  
 源泉は塩味強い炭酸泉であるが、浴槽は加水か、駄目である


六ヶ迫鉱泉は大分の南にあり、別府、大分市内の大温泉地の背後にあるのでなかなか訪問しないが久しぶりに訪問した。過去にはこのしらさぎ荘の湯に入浴したが、赤い湯で源泉は炭酸塩味があり良い記憶がある。今回は以前の通り玄関前に源泉井戸があり、ぶくぶくと炭酸とともに源泉が湧出していた。



飲んでみると塩味の中に炭酸味がある炭酸重曹食塩泉である。鉄分も3.2mg含有し赤くなる源泉である。透明、炭酸塩エグ味、甘い匂いであった。



CO2 1896mgで固形物総量4963mgと記されていた。しらさぎ荘の横に小川が流れており、そこに下ると源泉井戸がある。屋根の付いた新しい木造の門構えがあり、源泉前には薬師堂がある。しらさぎ荘の源泉ではなく共有のものらしい。



この宿は茶色の外壁の入母屋造りの古い木造宿でその源泉に並んで建っている。浴槽は石組の加熱浴槽と2連の源泉浴槽があるが加水で透明、無味、無臭になってしまい残念であった。以前は源泉を使っていたと思ったが加水で白湯のようになってしまっていた。



2 鷺来ヶ迫鉱泉 俵屋 温泉地再訪   
 源泉浴槽あり、加熱浴槽も赤い湯で源泉が生きている
 源泉浴槽の底は析出物の赤い泥で田圃状態 


しらさぎ荘の浴槽が源泉とは程遠い使い方であったので、少し上流にある俵屋にも訪問した。こちらは源泉をいくつか持っており、鷺来ヶ迫鉱泉と称している。



赤い湯の源泉浴槽も2ヵ所あり良かった。まず庭先に冷泉の湯小屋があり、昭和20年築の60年前の建築である。しかし浴槽は1750年に臼杵藩の頃に造られたという。足元湧出源泉だと思われる。



このほかにも庭に地蔵様を奉った源泉井戸が2つある。また内湯の隣にも源泉があり祭壇が奉られている。少なくとも4ヵ所以上の源泉がある。内湯は源泉浴槽と加熱浴槽が並んでいる。



また内湯前にはここが白鷺が浸かったとされる、半露天風呂のような源泉浴槽もある。井戸の源泉は透明であるが源泉浴槽の方は真っ赤に濁り濃い赤褐色になっている。底に赤い泥が沈殿して泥湯のようである。



加熱浴槽はやや色が薄く炭酸は飛んでいる。薄茶褐色で少エグ味、金気臭である。しかし源泉ははっきりと炭酸味がある。15.4度、総計5833mgの含炭酸重曹食塩泉でCO2は1298mgである。



源泉浴槽は炭酸の冷える効果もあり、非常に冷たく短時間しか入浴できなかった。しかし濃い赤色で存在感は大きい。



3 塚野鉱泉 共同湯 (再訪) 
 薄クリーム色の食塩炭酸泉である。

大分市内の近くで個性的な源泉の塚野鉱泉に再訪した。



総計12158mgの等張性の含炭酸重曹食塩泉で15.7度のものである。炭酸分は1170mgで六ヶ迫鉱泉に近いが食塩分は倍以上の含有量である。山手の突き当たりに瓦屋根の飲泉小屋があり、手前にコンクリートの共同湯がある。宿はその周囲に3軒あり、湯治の温泉街の風情である。



飲泉場では透明な湯であるが、共同湯では加熱掛け流しで使われており、珍しい薄いクリーム色、塩甘味、鉱物的な甘い香りであった。飲泉場は入母屋の建物で中に入ると、源泉と書いた石の下から湯が湧出している。驚くのは壁一面に架けられた飲泉のひしゃくである。数多くのひしゃくが架かっていて不思議であった。



共同湯は浴槽1つの簡素なもので、加熱しているが源泉カラン自在で掛け流しにもできる。源泉では炭酸味があるが、加熱で無くなってしまっている、しかし源泉は炭酸が充分に含有されているので掛け流しにすれば炭酸泉の感触も増してくる。重曹を含む食塩泉ながら白濁し、変り種の温泉である。他には石鎚山温泉などもあるが白濁する珍しい食塩泉である。

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2010/11/30 近畿 関西 
ワイルドならくだの湯ほか

1勝浦温泉 らくだの湯   
 景観と新鮮な湯で高い評価 



翌日の朝、らくだの湯に行った。宿泊者でも渡船業者に料金を支払う。完全予約制の1時間の予定である。朝8時半、9時半、午後15時、16時の4回出る船に乗る。私は8時半の船で行った。



奇岩絶壁の勝浦湾内を走り、らくだ岩の前にある岩壁に接岸した。ここは島ではなく陸地であるが、浴槽の両側が岩壁で陸路では行けないのである。船の舳先で岩の突端に接岸しそこから崖に上陸するのである。素晴らしい光景で、らくだ岩との間は潮の流れが急で、渓谷のようである。



2つの浴槽があり美しい景観の中で天然岩に掘り込んで石貼りの露天風呂が造られている。透明、たまご味、硫黄臭の単純硫黄泉でここの岩壁より湧出している源泉である。温度も適温で素晴らしい条件の揃った温泉である。



塩分は少なく湯川温泉の泉質に似ている。大量に湧出した温泉は掛け流されそのまま溢れて海に落下している。らくだ岩の後ろには紀伊の松島とも言える上に樹木を乗せた三角形の島々が見え絶景である。そのうち海蝕洞窟のある島が見え、その中を船が通り抜けられそうである。



このように絶景の海岸に天然温泉が湧出し、適温で掛け流されているというのは貴重な自然遺産であろう。湯の泉質も良く、絶景であるこの温泉は素晴らしい天然の妙であると思った。

勝浦 脇の谷温泉共同湯 
 15時から営業で未湯 

2阿曽温泉    
 炭酸分 2744mgは国内屈指 鉄分10.4mgも多い 
 しかし加水、循環、濾過で最低。炭酸分残っていない

阿曽温泉は以前、源泉の池に入浴した。炭酸を含む食塩重曹泉で薄褐色に濁る湯で存在感があった。線路脇の桝で入浴していると列車が通り面白い写真が撮れた。このたび近くを通ると新しい施設が出来ており学校の校舎を利用した日帰り温泉である。内湯一つのみの簡素な温泉である。



分析表を見ると27.3度の含炭酸土類食塩重曹泉(NaCa-HCO3、Cl)で総計10350mgである。Na 1651 Ca 453 Mg 98.9 Fe 10.4 Cl 1790 HCO3 3272という食塩を含んだ重曹泉である。また炭酸ガスの含有量も多く2744mgと国内でも屈指の値である。源泉に入浴した時には炭酸を感じたがこの温泉施設では加水、循環、加熱のため炭酸分がまったく残っていなかった。透明ささ濁り、少エグ味、無臭と個性のほとんどが無くなっていた。

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2010/11/21 近畿 関西 
湯川温泉と勝浦温泉の老舗宿

1 湯川温泉 喜代門の湯    
 温度もあり、大掛け流しは良い 



湯川温泉では、かつて古い施設で入浴した場所に新しく喜代門の湯の日帰り温泉施設が建っていた。向かいのゆかし潟に建っていたビルの旅館は解体され更地になっていた。以前はつるつるの湯で掛け流しが多かった記憶であるが、この喜代門の湯も同じ湯であった。



タイル貼り内湯のみの温泉施設で、つるつるの湯が大量に掛け流しされている。透明、少たまご味、ほぼ無臭という観察である。和風瓦屋根の入母屋のエントランスに曲線のついた廊下がある。瀟洒な建築である。



40.8度の単純硫黄泉でPH 9.3 総計170mgと163mgの2本の源泉がある。毎分156リットルと52リットルの源泉である。硫化水素イオン(HS)を2.4mg 炭酸イオン(CO3)24mg という含有量で塩化物イオン32.7%に続き炭酸イオンが30.1%となっているのでつるつるが良く感じられて気持ちが良い。

2 勝浦温泉 越の湯 泊  
 2つの源泉あり、内湯掛け流し浴槽は良い。



勝浦温泉の老舗宿「越の湯」が経営が変わり2食付7000円台の安い価格になって営業されている。安い価格のために食事はバイキング形式になっている。しかし建築は以前のままで海に沿った敷地に2階建ての立派なエントランス棟と左側に木造宿、右側にコンクリートの建築が海に沿って並んで建っていた。



夕暮れの海を挟んでホテル中の島の光とホテル浦島の光が対岸に眺められ、この湾はまるで湖のようである。夜景が非常に美しく落ち着いた雰囲気で良い宿である。



私は希望で、左側の木造の古い「波の棟」に宿泊した。中庭のある凝った造りの建物で窓の先は海である。



湯は総計1891mgの塩化土類食塩泉(日和山3号泉40.8度)と総計1004mg食塩泉の2本ある。ともに食塩泉であるが前者の日和山3号泉はHS 0.6 H2S 0.1を含みNaCa-Cl泉である。露天風呂と内湯に使用されている。



露天風呂はヌル湯のまま使われ、内湯は加熱掛け流しである。透明、エグ味強し+少塩味+たまご味、少硫黄臭である。もう1本の食塩泉は透明、少エグ味、無臭でジャングル風呂に入れられ、個性は少ない。



 

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2010/11/01 近畿 関西 
バカの湯2ヵ所とローソクジモ泉

1湯川温泉 民家前ケーシング  
 コンクリート土管にて入浴 ヌル湯 

 

道路沿いに土管があり、田の中にある源泉が引かれている。80センチくらいのコンクリートの土管があり、深さも1メートルほどあり肩まで入れる。道路は細く車を駐車していると交差が出来ない。それですこし手前の広い道のところに車を止めた。民家の前で道路に面しているので入浴にはタイミングを計る必要があり、三脚をセットして車の中で脱衣して急いで駆けて行き、入浴した。コンクリート土管には少量の湯が掛け流しされているが入浴すると体積分溢れて側溝に流れる、気持ちの良い入浴が出来た。



33度前後のヌル湯で透明、たまご味、微硫黄臭の温泉である。単純硫黄泉の源泉がこの地域には各所に湧出しており、ヌル湯なので垂れ流されたままになっている温泉が、そちこちにあり楽しい地域である。

 

2 湯川温泉 某小屋裏の垂れ流し  
 四角い露天の溜め桝あり、温度もあり快適 

国道より少し脇に入った広場にある源泉に湯が湧いていた。温度が36度ほどあり、四角い浴槽風の桝が横に設置されている露天風呂である。到着してみると、この湯をたくさんのポリタンクに汲んでいる人が居た。



その人が帰るのを待って入浴した。きれいな湯が多量に掛け流しされており、透明、たまご味、少硫黄臭である。温度があるので適温の入浴感があり良い。源泉コックもあるがそちらを締めると横の四角い浴槽に湯が流れるようになっている。



自噴しているのである。先ほどのケーシングよりも湯量があり、横になると全身が湯に浸かれる。新鮮な湯で硫黄分もしっかりと感じられた。



3 湯川温泉 ゆかし潟近く地元専用共同湯  
喫茶「なわ」裏にあるブロック造ジモ専、
おばちゃん2人入っていたが男湯は私一人、昼でも暗黒なのでローソクを灯して入る。



湯川温泉周辺には、これら国道脇、二河、民家脇、某小屋裏、地元専用ブロック造温泉の5箇所のほかに、ゆかし潟周囲にコンクリートボロ小屋の源泉もあり、そのほかにも3箇所の垂れ流しがあるとのこと。



また橋の川源泉出口には今まで通り源泉が流れているがかなり奇麗な湯で、奥ゆりの山温泉「四季の里」の新施設からの捨て湯とは思われない、また対岸の田圃の中にも源泉があり橋の川源泉垂れ流しの前に側溝から流れ込んでいた。



これらの中で入浴者がいて、一番温度のある源泉はブロック造の小屋になっていた。四方をブロックの壁で囲ってあるために真っ暗である。ろうそくが置いてありそれを灯して入浴した。モザイクタイルの床とコンクリートの浴槽があり透明、無味、無臭である。たまご味が感知出来ないので、硫黄分はほとんど無いのであるが温度があり、38度前後の温度があり良い湯であった。

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2010/10/31 近畿 関西 
島で船で無いと行けない温泉、ジモ専2ヵ所

1勝浦温泉 ホテル中ノ島  
 透明ながら硫黄臭ぷんぷんの湯 紀州潮聞の湯は絶品 



勝浦の波止場は浦島行きの船と中の島行きの船の桟橋が並んでいる。今回初めて中の島行きに乗船した。



入り組んだ勝浦の湾内を走り島全体が温泉ホテルになっている中の島に到着した。奇岩絶壁の島が入り江に点在し美しい海岸美である。



この島に6箇所の独自源泉があり、湧出している。きっと勝浦の湾内にも多数温泉が湧いていることであろう。1日当たり850トンということは毎分600リットル弱の湧出量があるということで、大量の湯がこの島に湧いているのは驚きである。



露天風呂は絶景の海に飛び出すように面して野趣たっぷりにしつらえられている。紀州潮聞の湯と命名されている。透明ながら、塩苦味+たまご味のする温泉で、はっきりとした硫黄臭がする良い湯であった。



総計6718mgの含硫黄土類食塩泉(S-NaCa-Cl)で51度である。HS 2.4 S2O3 15.8 H2S 0.7という硫黄分で総硫黄18.9である。湯の状況では白濁すると思われる。白濁した写真もよく見かけるのであるが今回は透明で残念であった。



浴槽は硫黄の白い析出物で白く染まっている。露天風呂が圧倒的に素晴らしいが、内湯からの海の展望も良い。ここに泊まれば部屋からも美しい海岸美を堪能できるであろう。中の島の桟橋では釣りをしている人がいた。魚影の濃い海でよく釣れるであろう。


2湯川温泉 国道脇の湯小屋 
 施錠のため 溢れ湯の川にて入浴 藤澤さんありがとうございました。

 

湯川温泉近くには多くの源泉垂れ流しがあって、各所に自噴している素晴らしい温泉地帯である。ややヌル目であるが、硫黄臭とたまご味がはっきりと分かる温泉で海に近いながら塩分は含有していない。屋久島の尾の間温泉や平内海中温泉なども同じように塩分が含有されていない。



国道沿いの「こんなところに」という場所に小さな湯小屋が建っている。施錠されているが流れ放しの源泉は湧出量豊富で小川になって流れ去っている。この小川で入浴した。トタン張りボロ湯小屋で風情があり、中で入浴したかったが所有者の許可をとらなかった。湯は湯川温泉一般の硫黄泉で透明、たまご味、少硫黄臭というものである。



3湯川温泉 二河共同湯  
 ぼろいコンクリート共同湯 ゲロゲロの汚さ 硫黄析出物でヌルヌル


細い道に面した小さな共同湯。地元専用のようであるが、施錠もされておらず、特に入浴の制限も明記されていない。コンクリートの建築で男女別に小さな浴室と1畳くらいのさらに小さな脱衣場が付いているだけの温泉である。湯がヌルく流れる量も少ないので、掛け流しながらやや新鮮味には欠けた。



地元でも使われていないのであろう、浴槽はヌルヌルの硫黄析出物で覆われており、入浴すると白いブヨブヨした粘液状の湯の花が舞い上がり気持ちの良いものではない。たまご味、少硫黄臭の湯川温泉一般のものであるが清掃も良くなく印象は良くなかった。

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