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郡司が実際に行き、観察・記録した湯について書いています。
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温泉紀行
2010/09/13 近畿 
南紀白浜温泉の個性的温泉

1 白浜温泉 白浜館  温泉地再訪 
 壁一面の析出物に圧倒される。塩甘味で少硫黄臭がある 



 

 

 

 

 

 

白浜温泉の白良浜に面したメイン通りにある温泉。白い3階建ての建築でリゾート風な雰囲気である。高層ホテルではない。白浜温泉の泉質は以前は重曹泉であったが、汲み上げ過ぎのために海水が浸透してきて、年々、食塩泉になってきたと言われている。過去にあった源泉が硫黄を含むつるつるの重曹泉であったならば、素晴らしい温泉であっただろう。以前、民宿「望海」で甘露源泉という凄い分析表を発見した。含重曹食塩泉がほとんどの白浜で、含食塩重曹泉であった。



 

 

 

 

 

 

 

総計も塩分が少ないので少なく4160mgで驚くことに硫化水素イオン(HS-)が38.8mg H2S 0.92mgというものであった。この白浜館の源泉は上山湯源泉で総計10354mgの重曹食塩泉で白浜の代表的な行幸源泉に近いものである。ムロの湯源泉よりも重曹が少なく、食塩が多くなっている。76度の源泉で熱い湯が毎分450リットルも湧出している。総硫黄は1.3mg(HS 0.6 H2S 0.7)ほどで少ない。



 

 

 

 

 

 

浴室に入って驚いた。源泉を流している壁一面が幅10メートルほどに渡って析出物の鍾乳洞のようになっていた。露天風呂には岩風呂と2連の樽風呂がありこちらには付着していない。この内湯の析出物の壁は湯の児温泉の昇陽館などと同じく人為的に付きやすく流したものと思われるが、立派な造形になっている。



 

 

 

 

 

湯は透明、塩甘味、弱いが甘い硫黄臭と観察した。重曹を含む食塩泉であるがつるつるは感じられなかった。

 



 

 

 

 

 

 

 

2 白浜温泉 湯崎館 温泉地再訪 
 行幸源泉の掛け流し、つるつるの湯(レベル2)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムロの湯近くの海岸沿いにある温泉旅館。高層ビルの建築である。海を眺める貸切露天風呂と「屋形の湯」という岩組の露天風呂、そして「竜門の湯」という内湯がある。



 

 

 

 

 

 

 

 

内湯が掛け流し量が多くここで入浴した。室内に大岩があり、熱い湯が適量掛け流しになっている。行幸源泉で分析表が2枚あり、総計8928mg・83.2度(平成元年)11150mg ・78.6度(年月日不明)の食塩泉である。



重曹分は25%(平成元年)から17.9%(不明)に減少し含重曹とも言えなくなっている。硫黄分はチオ硫酸が1.0mg(平成元年)と2.3mgである。透明、おいしい塩甘味、微硫黄臭である。ここにも湯口に析出物があり白浜館ほどではないにしろ析出物が付く泉質である。CO3が25.3mg(平成元年)と129mgと2つありずいぶん違う分析になっている。湯の感触はつるつるで気持ち良い。



 

  

 

 

 

 

 

 

3 椿温泉 元湯椿館 (再訪) 
 独自源泉 つるつるやや強し(レベル3)
椿温泉ははるか昔の訪問で、記憶が薄くなったので入浴しに行く。国道沿いの宿で崖地のためエントランスが8階になっており、海に向かって下がってゆく建築である。



 

 

 

 

 

 

 
展望の良い海の見える内湯と庭にある林の中の露天風呂がある。独自源泉の単純硫黄泉で総計241.8mg、32度という源泉である。毎分120リットルの湧出量とpH7.9で特記成分はH2Sの3.57mgである。温泉は少し加熱してすべて掛け流しである。カランも温泉である。



 

 

 

 

 

 

 

透明、無味、微々硫黄臭である。薄い成分総量と芒硝食塩系ながらつるつるする湯でかなり強いのが不思議であった。主な成分はNa 39.2 Mg 8.1 Cl 64 SO4 42 HCO3 10.9という組成である。CO3の分析値は無かった。この成分でつるつるする理由が見つからない、温泉とは不思議なものである。



 

 

 

 

 

 

32度という温度なので源泉浴槽があり、好感した。湾になった海の景観が美しく、青い水平線が良く見える。湯は掛け流しで入浴すると床に溢れ良い。露天風呂は裏庭にあり、石組の庭園露天風呂である。ヌル目の湯がつるつるで気持ちよい。奇麗な湯であった。

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2010/09/02
神戸で講演会開催

以下の通り神戸で講演会を開催します
よろしくご参加のほどお願いします。

http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_569358.html

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2010/07/02 中部 
長野の温泉センター3ヶ所

1松が峰温泉 中郷ひばりの湯  75 
 モールのような琥珀色の湯 弱いつるつるあり 
 オーバーフロー循環 



 

 

 

 

 

 

 

赤倉周辺の温泉地の中で、ポツリと未湯になっている松が峰温泉に訪問した。妙高の引き湯ではなく、独自源泉である。温泉地のある宿に入浴をお願いすると入浴のみ不可で、ここのひばりの湯を教えてもらった。コンクリート造の公民館のような建築である。



 

 

 

 

 

 

 

 

湯は薄褐色のべっこう飴のような色でモール系であろう。32度の含重曹食塩泉の総計1370mgの源泉である。琥珀色透明、少エグ味、無臭である。少オーバーフローの循環である。しかし重曹分に拠る弱いつるつるがあり温泉の存在感はあった。



四角い浴槽が2つある内湯のみで簡素な浴室である。32度あるのであれば、ヌル湯ながら源泉浴槽があるとさらに良いと思われた。

2大豆島温泉 ゆったり苑  85 
 新鮮な食塩泉 内湯と露天風呂に掛け流し浴槽あり


長野市内の日帰り温泉センター、長野オリンピックのMウェーブの近くである。蔵造りの外壁に瓦屋根の和風外観である。



温泉は掛け流しを謳っており良い湯を期待させる。露天風呂の一つと、内湯源泉浴槽、壷風呂が掛け流しで利用されていた。

 

 

 

期待を裏切らず新鮮な良い湯であった。露天風呂の上段の浴槽は掛け流しの量が多く、下の循環浴槽に滝のように掛け流されていた。これを見てすこし感動した。また壷湯の源泉投入量も多めで良い、内湯源泉浴槽は大勢の人がその浴槽に集中しており肩を寄せ合って入浴している。



源泉浴槽の宣伝効果は抜群である、各地の循環だけの温泉センターも見習うと良い。源泉掛け流しには人がこれだけ集まるのである。色は透明であるが塩苦味がはっきりとある。総計3005mgよりも濃く感じる。そしてこの温泉の良さを感じたのは匂いである。湯口からは微硫黄臭があり、さらに香ばしい匂いが発散されていた。



 

 

 

 

 

 

 

 

47度の土類食塩泉(NaCa-Cl)で毎分383リットルも湧出している。分析表上では特に特記する成分は無いものの、新鮮さは温泉の評価を良くする一番の方法である。ここで新鮮さの大切さを思った。日帰り温泉センターでこのような良い湯にめぐり合うのは長野県が温泉県であり、各所に良い湯があるためでもあろうが、センター系のレベルが上がってきている証拠であろう。

3裾花峡温泉 元湯うるおい館  80 
 赤い食塩泉 総計8565mg 殺菌の後 掛け流し 
 大きな露天風呂と内湯もみな掛け流しは良いが 
 小さな浴槽もあるとさらに良い 



 

 

 

 

 

 

 

 

長野県の県庁所在地の長野市の真ん中にある日帰り温泉センター。長野県庁のすぐ近くでもうそこは山の温泉地のようである。タイル張りのマンションのような外観のビル建築である。元湯うるおい館というが食塩泉の元湯の源泉と含硫黄重曹泉をローリー輸送している。



元湯は46.6度の食塩泉で総計8665mgの等張性の源泉である。鉄分を5.5mgも含み赤茶色に濁っている。カルシウムの含有によって塩苦味があり、香ばしい香りもする。良い温泉である。川に沿った露天風呂は22メートルにも及ぶ長い浴槽で大量の湯が使われている。



さらに内湯も大きくみんな源泉掛け流し浴槽である。殺菌のみしていると記載されていた。福祉湯や家族風呂、展望風呂なども別にあり、みなこの源泉を利用している。大量の湧出量なのであろう。湯口は新鮮であるが浴槽はやや新鮮味に欠けると観察した。小さな無殺菌の掛け流し浴槽も造ると良いと思った。



ローリー輸送している保玉湯の花温泉は循環で個性がほとんど無かったが、分析表上では凄い源泉である。特記成分はHS 22.5mgとCO3 74.4mg の総計1281mgの純重曹泉なのである。本来の湯では白濁するか、緑色透明になり硫黄臭プンプンであろう。入浴するとヌルヌルの湯で感触も良いであろう。この源泉の新鮮な湯に入りたいと思った。

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2010/06/21 中部 
妙高山麓の3湯、赤倉、関、燕

1赤倉温泉 遠間旅館  温泉地再訪 
 北地獄谷の引き湯 掛け流し たまご味 硫黄臭あり


快晴の中、野沢温泉から赤倉温泉に行った。妙高山ははっきりと見えて美しい。下を眺めると斑尾の山々が見える。温泉ソムリエの立役者、旧知の遠間氏の遠間旅館に入浴させていただいた。

 

 

 

 

 

 

間口の狭い5階建てのビルのような宿であるが。老舗ですでに5代目とかのことである。ユーモアのある御主人で以前対談をしたことがある。そのときから近くに行く際には遠間旅館に泊まろうと思っていた。今回は入浴だけであるが、貸してくれた5階の部屋の窓からは展望が良く妙高山が美しい山容を見せていた。



湯は北地獄谷からの引き湯でであるが一切加工せず、掛け流しである。

 

 

 

 

土類重曹石膏泉(CaNaMg―SO4・HCO3)で51.1度の温泉である。総計1352mgと清澄な温泉である。HS H2Sとも分析表ではゼロであるが透明ながら白い湯の華多しで、たまご味+少エグ味+芒硝薬味で、少硫黄臭ありと観察した。



 

 

 

 

 

 

硫黄分は3mg程度入っていると推測した。引き湯でちょうど掛け流しにできる湯量と温度で快適な風呂になっていた。その湯量を使い切り露天風呂を造らない潔さも好感した。



 

 

 

 

 

 

 

2関温泉 中村屋  温泉地再訪 80 
 赤い含鉄重曹食塩泉の掛け流し 一番鄙びた旅館で入浴する。


 

 

 

 

 

 

赤倉温泉から国道まで下り、また関温泉まで登ってゆく。下ったところに地元専用共同湯があった。トタンの簡素な造りで入浴しようと思ったがあまりにヌルイので撮影のみにした。関温泉は以前家族で休暇村に泊まったことがあり、赤い湯で記憶に残っている。小さな宿が数軒ある温泉街でその中のどこか良い温泉に入浴しようと思った。



 

 

 

 

 

 

 

新潟温泉大図鑑が遠間旅館にあったので、どこが良いか見てみると中村屋の浴槽が赤く良さそうだったので訪問した。木造の民家のような玄関で奥に鉄骨造の3階建ての宿である。小さな内湯のみの浴室で関温泉の源泉が掛け流しになっている。床は赤く染まり風格がある。昔の分析表(昭和28年)に拠るとFeは18mgになっているが、平成17年の分析表ではFe2 1.4mgとFe3 0.4mgとずいぶん少ない、鉄分の析出後の分析だと思われる。



 

 

 

 

 

 

 

 

湯は赤く濁り(30センチ)、炭酸エグ味+鉄渋味で、金気臭がある。この状況から推測すると20mg前後の鉄分であろう。ほぼ昭和28年の分析表と合致する。タイルと石造りの浴槽であるが赤い析出物がこびりつきコンクリートの浴槽のようだ。48.4度の重曹食塩泉で総計2595mgである。CO2も330mg含有し炭酸系の鉄温泉である。毎分570リットルの湧出量は立派である。関温泉にはもう一本のヌルイ源泉もあるが雪解け用に流しているらしい。掛け流しの良い温泉であった。

3燕温泉 岩戸屋  温泉地再訪  70 
 薄白濁の湯は硫黄析出物の沈殿で新鮮味に欠ける
 隣の針村屋と迷ったがハズレだったか?



 

 

 

 

 

 

 

燕温泉は赤倉温泉の北地獄谷の下流に湧出する源泉で温泉街と黄金の湯露天風呂に引き湯されている。川原の湯露天風呂は独自源泉である。坂道の両側に温泉宿が並び小さな温泉街になっている。岩戸屋は洋風ロッジ風の外観の温泉宿である。上の針村屋とどちらにしようか迷ったが岩戸屋にした。中に観音様が奉ってあり、浴室の中にもある。



 

 

 

 

 

 

 

 湯は44.8度のS-CaNaMg-HCO3・SO4・Clという何でも入っている温泉である。総計1580mgで平成17年の分析表に拠るとHS ゼロ H2Sが2.2mgである。毎分758リットルと記載されている。平成3年の分析表に拠るとHSが4.1mg H2S11.1mgと多量になっている。実際の湯は両者の中ほどだと感じた。



 

 

 

 

 

 

 

 

薄白濁、白湯の華多数浮遊、たまご苦味、焦げ硫黄泉あり。と観察した。観音様のある内湯と小さな露天風呂が付いている。硫黄分の表現はしっかりとあるが、やはり引き湯の劣化は否めない。掛け流しであるが新鮮さは感じない。硫黄分が湯の華になって浮遊しているのは劣化の証拠である。他の旅館でも入浴してみたい。

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2010/06/17 中部 
仙仁温泉と野沢温泉の清風荘 

仙仁温泉と野沢温泉の宿 

5仙仁温泉 岩の湯 (再訪) 95 
 洞窟風呂の湯量と天然の妙は素晴らしい。宿も良い造り 


仙仁温泉岩の湯は全国でもトップクラスの人気宿である。このたびも2.3候補を挙げて予約しようとしたが、平日にも関わらず満室であった。



過去に平日で無理を言ってやっと1泊できたのはすでに11年ほど前である。ここは宿の風情が良く、風雅な数奇屋風である。最近はやや洋風のイメージも入ってきて、純な和風ではなくなった。



特にパブリックスペースが充実しているので客室以上の面積を書斎やティーラウンジ、休憩所などに充てている。また食事が絶品で、東京で食べたらここの宿泊費以上だと思わせる感動ものである。



さらに温泉が天然記念物的な存在である。天然岩の洞窟の奥から温泉が湧出し、滝となって時には淵を造りながら流れ出している。



2本の洞窟があり、最深部では足元や岩の割れ目から湯の湧出がはっきりとわかる。それらが川となり洞窟の中を流れ入口部分の浴槽の縁から溢れている。



以上のような奇跡的な湧出状況である。34.2度の単純泉であるが洞窟のためにサウナ的な効果があり、ヌルく感じない。



新鮮なために洞窟奥の源泉では透明、微たまご味苦味残る、微硫黄臭と硫黄を感知できた。分析表には硫黄分は記載されていない。



洞窟は2本に別れており混浴である。一方は30メートルほどの深さがあり、滝や淵のような場所もある。もう一方は10メートルほどで奥に砂地の足元湧出源泉がある。



暗い洞窟の中に温泉があまりあるほどに湧出しており感動的である。貸切り風呂も4ヵ所ほど凝った造りで設置されているが、やはりここの白眉は洞窟風呂であろう。素晴らしい温泉である。









 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

6野沢温泉 清風荘  (再訪) 80 
 薄白濁の麻釜源泉一般の表現であった。浴室の造りが素晴らしい



 

 

 

 

 

以前、野沢温泉の宿巡りをしている時に、湯小屋の風情が良いので入浴させていただいた温泉。入口はコンクリートの建築であるが、裏にある木造の浴舎が大湯や「さかや」にあるような立派な湯屋造りで、この浴室を目指して入浴した。



 

 

 

 

 

 

 

そのときは湯の熟成が一番良い時であったのか、緑色透明で美しい記録となった。今回宿泊してみると、湯が新鮮だったと思われるが薄白濁で麻釜源泉の一般的な表情であった。



 

 

 

 

 

 

 

前回の濃い緑色透明はうそのようであった。しかし20mgほどの硫化水素イオンの含有量から薄白濁、たまご味、焦げ硫黄臭という立派な硫黄泉の表情が出ていた。男湯はひょうたん型の瀟洒な浴槽で天井の高い湯気抜きの付いた浴室建築が素晴らしい。良い温泉であった。

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