九州温泉道 熊本県ほか
1 地獄温泉 清風荘 90
清風荘は木造2階の古い造りの宿で良い風情である。玄関に大きな提灯が2つ下げてあり特徴となっている。この温泉には宿泊も含めて数多く訪問している。何回来たか覚えていないほどである。
浴室は4か所にあり庭先に下がってゆくと混浴のすずめの湯がある。ここは足元湧出の浴槽でヌル目の浴槽は6つに区切られ、熱めの浴槽が2つに区切られている。灰白濁の色で、たまご味と酸味がある。
硫黄臭も多い。木製の内湯が男女別にあり、そこから混浴の露天風呂に行く。昔は泥湯であった。20数年前に初めて訪問した時には、底に泥が沈殿していて木枠の上にも泥が大量に溜まっていた。
しかし現在は灰白濁に濁った湯といった様子になっている。分析表が2つあり41.3度のPH2.9と47.1度のPH2.7の2つである。
足元から気泡が立ち昇りすずめの鳴く声に似ているのですずめの湯と命名されたが現在では気泡は少なくなってしまった。
また以前の話で申し訳ないが昔は一面に気泡が充満していて、確かにすずめの鳴くような音がしていた。ほかには玄関棟の並びにある内湯の元湯である。61度の湯で総計299㎎でH2S 1.4㎎である。薄白濁、酸味、無臭である。
離れの半露天風呂のような新湯もある。こちらは屋根付きの吹き放しで木枠の浴槽である。45.3度の単純酸性硫黄泉で総計1189㎎である。H2S 6.5㎎である。薄白濁、酸味、硫黄臭は少ない。
宿の裏手にあり、やや登ったところにあるのが露天風呂で白濁した湯である。微酸味、ほぼ無臭ながら掛け流しは多い。風情のある造りの露天風呂であった。女性用の露天風呂はその上にあり仇討の湯と言われている。すずめの湯の泥や気泡、匂いなどの存在感は行く度に減少してきているのが残念であるが、やはり足元湧出という点で高得点とした。
2 垂玉温泉 山口旅館 80
地獄温泉のすぐ下にある温泉。硫黄泉が主体の地獄温泉とは違い金気のある単純温泉である。宿の中に風情のある内湯、露天風呂があるが入浴時間外で、離れの金竜の滝直下にある滝の湯に入浴した。
43度の単純温泉で総計736㎎である。PH6.2でFeは2.0㎎である。浴槽の縁や岩が赤く染まり、金気があるのがわかる。透明、金気味、少金気臭であった。入浴しているとすぐ裏に滝が見えて絶景である。次回は泊まりでゆっくりと来たいものである。
3 坊中温泉 夢の湯 80
瀟洒な疎林の中にある和風の日帰り温泉。以前とは違い、改修されて風雅な施設となっていた
。
大きな内湯と露天風呂があり掛け流しで使われている。NaMg-SO4,HCO3土類重層硫酸塩泉で51.5度、総計2185㎎の温泉である。
薄褐色、エグ味、少金気臭で湯の存在感はある。色つきの硫酸塩泉は良い湯が多く、ここも良い温泉であった。
4満願寺温泉 温泉館 85
満願寺温泉の有名な川沿い露天風呂の裏にある温泉共同湯。四角いコンクリートの小さな建築である。透明、無味、無臭の単純温泉が豊富に掛け流しされており感動的である。
底が石貼りで縁がタイル貼りの浴槽である。42.8度で総計814㎎である。湧出量は毎分237リットルである。豪快な掛け流しは泉質にかかわらず新鮮で気持ちが良いものである。
5 黒川温泉 旅館山河 80
木々に囲まれた風情のある旅館で、内湯と混浴露天風呂がある。73.1度のNa-Cl.HCO3,SO4(芒硝、重層食塩泉)で総計1696㎎である。湧出量は毎分180リットルと豊富である。
内湯は大きな天然岩が組まれたもので太い柱の空間である。透明、無味、金気臭であった。
露天風呂は打たせ湯が付いた広いもので微ささ濁り、少金気味、少金気臭であった。露天風呂は美しく造りこまれていて、黒川温泉の代表的なものである。
宿の造りも黒川調で黒い柱と瓦屋根の雰囲気のある旅館である。囲炉裏の棟もある。人気があるのがうなづける。
6 黒川温泉 こうの湯 80
こうの湯は以前、開業当時に訪問したことがある。新築で木々も少なく閑散としていたが、今回は草木が生い茂り、立派な風情のある宿に変わっていた。
離れの露天風呂棟は太い柱、梁で造られた脱衣所があり、露天風呂に出て行く。以前は赤い湯であったが現在は緑色で少金気味、無臭となっていた。
大きな露天風呂に3本の打たせ湯が付いていて、その先に深さ1.6メートルの立湯がある。52度の単純温泉であるが新鮮でよかった。
黒川温泉は穴湯などの酸性泉から硫酸塩泉、金気臭のある単純温泉、白濁する硫黄泉など多種の源泉があり楽しめる温泉地である。
7 山川温泉 しらはなシンフォニー 85
山川温泉は過去に共同湯と山林閣、華ゆうに入浴したことがあるが、しらはなシンフォニーは初めてである。単純硫黄泉で黄色い湯の花が大量に沈殿するのは山林閣などとも同じであった。
透明であるが入浴すると白濁し、たまご味、硫黄臭多し、と観察した。露天風呂が2か所にあり、ほかにも男女別の内湯と露天風呂がある。
含硫黄芒硝石膏泉(S―CaNa-SO4,Cl)で53.4度、総計1251㎎、HS 0.1㎎ H2S 4.2㎎という成分量であった。
この山川温泉は湯の花が多く湯口にはビロードのように白い硫黄華が付いている。また浴槽の底にも多量に沈殿しており、入浴すると真っ白に白濁する。良い温泉である。
8岳の湯温泉 ゆけむり茶屋 75
湯けむりに包まれた集落の岳の湯温泉に日帰り温泉施設ができた。白地商店の左下の敷地である。瓦屋根の平屋の新築施設である。大きな内湯が2つの浴槽であるのみの簡素な施設である。透明、微塩味、無臭であった。
掛け流しで利用されている。入口の前には石を刳り貫きそこから噴気を出しているオブジェがあり、この地域の地熱の高さを実感した。
岳の湯は小さな湯小屋が各地にあってみな地元専用温泉になっている。以前はお願いして地元専用温泉に入ったがここが出来て誰でも入浴できるようになり混雑していた。
9 はげの湯温泉 豊礼の湯 80
はげの湯では、以前出版した一湯入魂温泉では青い湯で美しいわいた山荘を紹介したが、その後、この豊礼の湯が出来てこちらでも青い湯に入れるようになった。
青い湯は100度近い温度で湧出した食塩泉がなることがほとんどでほかには硫黄泉が青白くなることがあるが高温の食塩泉からなる青い湯は青色透明の時があり美しい。
この豊礼の湯は青白いことが多く、わいた山荘やいちのいで会館、神和苑のような青色透明の時は少ない。今回は青白濁、塩味、噴気臭であった。
つるつるの感触があり入浴感は非常に良い。96.5度の食塩泉で総計2620㎎である。メタケイ酸は73.4㎎と青くなる湯にしては比較的少ない。露天風呂のみの施設で涌蓋山の展望が美しい。
10 北乃園温泉 80
川底温泉や壁湯、法泉寺温泉などを抜けて大分県に入った。玖珠町の北乃園温泉に入浴するためである。玖珠町には街中にも各所に温泉があり20か所ほど温泉が点在している。
ほとんど入浴したが位置が離れているので温泉数のカウントは別にしている。分かりづらい場所にあり、以前訪問したことがあるが今回はかなり迷った。
小さな湯小屋の共同湯で小さな内湯が一つである。掛け流しで利用されている。湯は薄い黄色で少油味がする、匂いはモール臭とでも言おうか?53度の温泉で分析表を見忘れてしまった。
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1やまもり温泉 やまもりキャンプ場
源泉掘りたての仮設温泉。一人用の木製浴槽が2つ設置されている。
非常にレアな温泉であった。27.7度のNa-Cl、SO4(芒硝食塩泉)で総計1615㎎である。
しかし新鮮な温泉をボイラー直結で掛け流ししているので気泡で白濁していた。少苦味があり、香ばしい香りが放散されている。
新鮮な湯であった。脱衣場は建築があるが、庭に木製の浴槽が2つ置いてある露天風呂であった。
2羽合温泉 旅館水郷 温泉地再訪
羽合温泉では小さな旅館で掛け流しにしているところを、旅館案内所で聞いていった。
旅館水郷というコンクリートの中規模の旅館である。内湯が1つで弱く掛け流しになっている。55度のNaCa―Cl,SO4で総計1553㎎の清澄な温泉である。
毎分1000リットルの湧出量で集中管理されている。中規模の内湯が一つで岩風呂である。透明、少塩味、無臭で個性は少なかった。
3東郷温泉 養生館 温泉地再訪
東郷温泉は過去に訪問した谷水は廃業していた。駅前の寿湯は日本一細い路地を抜けて行くといった立地であるが健在であった。
寿湯の路地
寿湯の内湯
今回は老舗の養生館に訪問した。大浴場と離れの露天風呂がある。
湖に面した和風旅館で木造の2階建てである。水面の景観が良い温泉宿である。82.4度のNa-Cl.SO4で総計1523㎎である。
透明、微塩味、源泉の湯の香あり、で内湯はオーバーフロー循環であった。
露天風呂は湖に面した四角いタイル風呂で開放的な立地である。昔ながらの良い旅館であった。
4浜村温泉 旅風庵 温泉地再訪
浜村温泉は共同湯に入浴したが今回は旅館に入浴してみた。斜面に建築されており、屋上が内湯と露天風呂がある。
石の縁にタイル風呂の内湯1つと、風雅な庭園風露天風呂もある。弱い掛け流し(オーバーフロー循環)で集中源泉の52.8度のNaCa―SO4,Clで透明、石膏味、無臭の湯であった。
総計1076㎎のほとんど単純温泉に近い清澄な湯であった。
5宝喜温泉 再訪
宝喜温泉館は以前、訪問したままに存在していた。湯量豊富な弱アルカリ性単純温泉で47度の源泉である。
大湯量掛け流しなので新鮮で透明、無味、少香ばしい香があった。
大浴槽と深いプールもありともに源泉掛け流しである。CO3は含有されておらずつるつるの感触はなかった。
6鹿野温泉 山紫苑 再訪
国民宿舎の温泉、コンクリートの4階建てである。総計764.7㎎の単純温泉で56.4度の高温である。
透明、無味、無臭ながら露天風呂は掛け流しで使われていた。内湯も掛け流しであるが湯量が少なかった。
露天風呂は風雅な岩組のもので、内湯は曲線のタイル風呂であった。
7吉岡温泉 下湯 再訪
吉岡温泉は過去に訪問したがどこに入浴したかも記憶していないほどの昔である。今回は温泉館と下湯のどちらにしようか迷ったが、小さな下湯に入浴した。
総計538㎎の単純温泉で50.5度である。小さなタイルの浴槽が1つの簡素な浴室であった。温泉館も旅館もこの下湯もすべて同じ湯とのこと。
掛け流しで利用されており、熱い湯であった。透明、無味、無臭の個性はない湯であった。
8砂丘温泉 ふくべふれあいランド
鳥取砂丘の東側にある温泉センター。海原を眺める美しい立地の温泉である。総計3646㎎のCaNa-SO4,Clで29.7度の湯温である。
立派な温泉センターで2階が浴室である。循環と殺菌が残念であるが透明、芒硝石膏味、無臭と味覚に温泉の個性が出ていた。
1鳥取温泉 日の丸温泉 再訪
鳥取の関金温泉で講演会があるので、久しぶりに鳥取に訪問した。鳥取市内の日の丸温泉は再訪問であるが、変わらずに営業されていた。46.6度のNa-SO4、Cl(食塩芒硝泉)で総計4876㎎の温泉である。
味覚がしっかりとした温泉である。内湯1つのみの簡素な施設である。壁より掛け流しになっている。味覚に特徴が現れており塩苦味であった。
過去の訪問では食塩泉だと思っていたが芒硝泉であった。透明ささ濁り、塩苦味、無臭と観察した。
2船岡美人温泉 再訪
以前、青木ヶ原温泉という名前で仮設で営業されていた時に訪問した温泉。現在は船岡美人温泉として営業されている。
三角屋根のやや大き目な湯小屋のような造りの建築で男女の内湯のみの簡素な施設である。22度の純重層泉で総計1940㎎である。
CO3(炭酸イオン)を54㎎含有しておりつるつるやや強しの良い感触である。大きな内湯1つの浴槽である。源泉が微量掛け流しにされていた。
3鳥取湯谷温泉
ぽつりと未湯で残っていた温泉が鳥取湯谷温泉であった。この度訪問した。
小ぶりな温泉センターの施設で小さな内湯が1つの施設である。29度のNa-Cl,HCO3(重層食塩泉)で総計1739㎎である。
未加水、加温、循環で透明、金気味、微えびせん臭と個性は感じられた。やや弱いつるつるの感触もあった。
4関金温泉 湯命館 再訪
大きな温泉センター。ここで講演会を行い、その後に入浴した。
関金温泉の集中管理の源泉であるが湯量が少なく、ちょろちょろと源泉が入れられている状況であった。そして浴槽は巨大なので透明、無味、無臭の循環であった。
加水、殺菌もあったように感知できた。
5関金温泉 湯楽里
国民宿舎のスコーレに泊まったが、そこには入浴せずに隣の湯楽里に入浴した。
関金温泉の共同源泉がちょろちょろと入れられている内湯1つの簡素な施設で、透明、無味、無臭、循環であった。
6関金温泉 鳥飼旅館
関金温泉では温清楼が廃業して、独自自噴源泉の3か所が使用不能になった。残るは鳥飼旅館の2源泉と関の湯源泉1か所である。
温い源泉と熱い源泉を足して適温にして掛け流しにしている。小さな内湯が男女1つずつで小さな木の浴槽に掛け流しで利用されている。
浴槽の底も木製である。46度の単純温泉であるが放射能を30マッヘ含有し放射能泉にもなっている。透明、無味、無臭ながらよわいつるつるもある。
掛け流しの新鮮な湯は関金温泉では共同湯の関の湯と、ここ鳥飼旅館のみになってしまった。良い湯であった。
1 筌の口温泉 新清館
筌の口温泉は炭酸を充分に含有した温泉で、成長の度合いで緑色から赤褐色になる素晴らしいものである。総計3559㎎のNaMgCa-HCO3,SO4でCO2は750㎎という炭酸泉間近である。
鉄分は分析表には無いが、赤くなり大きな露天風呂は茶褐色、炭酸エグ味、金気臭と少炭酸刺激臭である。
風情のある造りで大きな露天風呂の中に東屋が建っており、湯口からは豪快に湯が注がれている。内湯はコンクリートの浴槽で湯の色が緑白濁である。
浴槽の縁には析出物が付着し、うろこ状になっていた。良い温泉である。
2 山里の湯温泉
炭酸泉の本場に来た。筌の口温泉の入口にある山里の湯はCO2が1080㎎で立派な炭酸泉である。
温度が40度あり炭酸泉としては熱い方である。源泉浴槽と仕切られた浴槽の2つがあり、源泉直接の浴槽は透明、2槽目は薄白濁していた。
源泉からは大量の気泡が湯口から上がっており、近くに行くと炭酸刺激臭がする。味覚は炭酸エグ味で炭酸が強い、匂いは炭酸臭とかつおぶし臭(微硫黄臭)である。
身体への泡付きが多く、すぐに真っ白に気泡が付く。素晴らしい炭酸泉である。このあと新清館を含めると炭酸泉系の温泉を6か所はしごするがここの泡付きが下ん湯の次に多かった。
3 七里田温泉 下ん湯
七里田温泉の下ん湯は日本有数の炭酸泉で泡付きも韮崎旭温泉などと日本一を競っている。
今回行ってみるとラムネ温泉と表示され外壁は塗り替えられて、内装もきれいに改修されていた。鍵付きになり、七里田温泉館で1000円の保証料を払って借りる方式であった。
浴槽は以前のままで湯の入れ方も湯口少し下からそっと入れている。透明、炭酸エグ味、炭酸臭+少金気臭であった。
泡付きは山里の湯よりさらに多く、超大である。自分が泡発生器になったように泡が付くのはここが一番であろう。温度も38度ほどでそれほどぬるくない。日本を代表する炭酸泉であろう。
4 長湯温泉 郷の湯旅館
入口の前に川があり、捨て湯の析出物が大量に丘のように付着して壮観な温泉。浴槽も析出物で縁が厚くなり茶碗のように析出物で凝り固まっている。
総計5573㎎のMgNa―HCO3(重炭酸土類泉)で炭酸CO2は792㎎と炭酸泉には少し達していない。黄色白濁、エグ味、無臭で源泉温度が高いので炭酸が飛んでいる感触であった。
露天風呂は湯が入れられておらず、内湯だけであった。湯は掛け流しで良い使い方である。
長湯全体に言えるが熱い温度なので炭酸分が源泉近くですぐに抜けてしまっているのが残念である。気泡は付かない。
5 長湯温泉 水神の森
なかなかすごい温泉がある。温度が48.4度もありながら炭酸分CO2を989㎎も含有しているのである。そしてタンクに溜めずに掛け流ししているので源泉周囲は炭酸刺激臭が放散されすごい存在感の源泉である。
鉄分も多く含み源泉名は含鉄土類重層泉(Fe2-NaMg-HCO3)である。総計5668㎎と濃い源泉である。
重層泉なので塩分はなくエグ味が強い。露天風呂と2浴槽の内湯の施設で茶褐色に濁り、炭酸エグ味、炭酸刺激臭が多く、アンモニア臭もある。
熱いので身体に気泡は付かないが匂いが凄く、充分に炭酸を感じられる名湯である。
6 長湯温泉 ラムネ温泉
藤森氏の変わった建築になってから初めてラムネ温泉に来た。外壁は焼いた木と白い漆喰で黒白のツートンカラーになっている。浴槽の入口は低く、茶室のにじり口のようであった。
2本の源泉を使っており内湯は温度のある源泉で総計4328㎎の重炭酸土類泉(MgNaCa-HCO3)で41.2度である。3つの浴槽があり微妙に温度が違っている。
緑褐色濁り、炭酸エグ味、湯口刺激臭と有機物臭があった。炭酸CO2も911㎎含有しほぼ炭酸泉に近いものである。長湯の代表的な泉質である。
露天風呂がヌル湯の炭酸泉で総計3662㎎の含炭酸重炭酸土類泉で32.3度である。CO2は1380㎎で溶存物質は2282㎎とその分少なくなっている。透明、炭酸清涼味、炭酸刺激臭あり、と観察した。
泡付きは山里の湯よりやや少なめの中程度ながらしっかりと気泡が付き身体が白くなる。以前の仮設の時とほぼ同じであったので良かった。
7 湯平温泉 志美津旅館
湯平温泉は飲泉が有名で、お茶代わりに温泉水を出すことでも有名である。四万、峨々温泉とともに日本三大胃腸病の湯に選定されている。
湯は総計2474㎎の重層食塩泉で69.5度である。透明、弱塩味+微エグ味、無臭と観察した。特に味覚は昆布茶の薄いもののような独特のうまさがあった。
この温泉の浴室は洞窟風呂が有名で、岩を組み合わせて洞窟のようになっている。瀟洒な和風宿で雰囲気が良い。
8 湯平温泉 砂湯温泉共同湯
湯平温泉街は細い石畳の両側に温泉宿が並んでいる風情のあるものである。その中に共同湯が点在していて格安で入浴できる。
金の湯共同湯、銀の湯共同湯、中の湯共同湯、橋本温泉共同湯、とこの砂湯温泉の5か所もある。
細い路地で川を渡ったところにある共同湯で、川に迫り出しており。洪水のときには流されそうな配置である。木枠の浴槽が1つの簡素なもので掛け流しで湯が床に溢れている。
熱い湯で透明、少塩味、無臭の湯平特有の泉質であった。
9 湯布院温泉 山のホテル夢想園
湯布院郊外にある温泉宿で、由布岳が敷地全体から見渡せ美しい斜面にある。大きな露天風呂から眺める立派な山容の由布岳は美しい。
男湯は御夢想の湯で、女湯が空海の湯、弘法の湯の2つ、このほか貸切風呂が4か所ほどある。62.5度のアルカリ性単純温泉で総計804㎎である。
炭酸イオンCO3が24㎎含有され弱いすべすべがある。浴槽は巨大なもので25メートルプールのようである。
循環であるが致し方ないであろう。しかし爽快な眺めと凝った造りの露天風呂で風情は良い。
10 湯布院温泉 ゆふいん泰葉
この湯には驚いた。青い湯でさらにつるつる強しであった。すごい存在感である。
98.4度の食塩泉で総計2007㎎である。そのうちつるつるの指標である炭酸イオンCO3は99.6㎎で九州地区でも指折りであろう。メタケイ酸は567㎎でかなり多い。
隣の庄屋の館が594㎎で少し勝っている。しかし青い色の湯で今回はすこし時間が経っていたのか、青色白濁であった。
弱い塩味、無臭である。すぐ横に大きなゆけむりが立っている源泉がある。以前行った一禅はこの源泉の引き湯とのことである。40トンタンクで1日冷ましてから浴槽に入れているがまだ熱いそうである。強烈なつるつるで素晴らしい温泉であった。
11 湯布院温泉 庄屋の館
大きな露天風呂が有名な庄屋の館に再訪した。今日は青色透明ではなく、青白濁であった。
総計2050㎎の食塩泉でCO3 21㎎でメタケイ酸594㎎という温泉で弱いつるつるの湯になっている。巨大な露天風呂が一つで100度近い高温の源泉が注がれている。
高温の源泉のため大きな露天風呂も表面が熱く掻き混ぜると適温になる。青白濁、微塩エグ味、噴気臭の温泉であった。
宿の造りは古い木造の移築なのか風情が出ている。離れのように点在している。個性的な温泉宿である。
1 山香温泉 風の郷
山香温泉は個性的であった。内湯と露天風呂の浴槽は加水されているが、つるつるの感触があり「つるつるやや強し」と記録した。
源泉浴槽が露天に樽風呂になっており、茶褐色で塩甘味、炭酸味、少刺激臭がある。総計14420㎎の重層食塩泉(Na-Cl,HCO3)でNa 3670 Ca 394 Cl 4340 HCO3 4930 CO2 352というスペックである。
源泉掛け流し浴槽は38.7度の源泉をゆっくりと掛け流ししているため、かなりのヌル湯になっている。しかし浴槽の縁には炭酸とカルシウムによってうろこのような析出物が付き、色もある湯で、炭酸味と匂いがある個性的な湯であった。
CO2は352㎎であるがそれより多く感じた。体感清涼感があり、炭酸味があるので800前後の含有量であろう。しかし重層の含有が半分を占めているので、加水するとつるつるするという個性が出てくる不思議な源泉であった。
2 亀川温泉 四の湯温泉
亀川の市街地にある四の湯は小さな共同湯で男女別に楕円形の浴槽が1つある別府の典型的な温泉である。
浴室の中央に1つのみ浴槽があり、楕円形の中央に仕切りがあり温度差が付けられている。適温の浴槽とやや熱めの浴槽である。
透明、無味、ながらえびせんのような噴気臭がある。泉質は単純温泉である。古いままの造りの共同湯で別府第1湯になった。
3 別府海浜砂湯
亀川から別府に向かう海岸沿いに海浜砂湯がある。海岸の波打ち際に砂場があり、2か所が四角く仕切られている。片側は湯が張ってあり、田圃のようであり、片側が砂になっている。
簡素な屋根があるが張っておらず、露天である。砂をかけた人の上には日差し除けの黄色い傘が突き刺してある。源泉としては62.8度の食塩泉である。
これで砂を温めているのであろう。指宿のような足元自噴ではないが昔は自噴していたのであろう。現在は配管で湯を入れている。内湯浴槽もある。
4 明礬温泉 湯の里
明礬温泉の一番高いところにある露天風呂がメインの温泉施設。湯の花小屋の並ぶ観光地の奥にある。大きな露天風呂と小さな内湯がある。
含硫黄酸性泉で白濁しており、酸味がある。匂いは硫黄臭がある。露天風呂からは明礬温泉の市街が見渡せる美しい景観である。
明礬温泉の中でも酸味のある温泉で個性的である。他には山田屋や湯元館、鶴寿泉などと同系の泉質である。明礬温泉のもう一つの泉質は白濁しているが酸味の無いものでえびすやや岡本屋、豊前屋などである。
5 明礬温泉 豊前屋旅館
現在、閉鎖されている地蔵泉共同湯の前にある温泉宿。小さな内湯があるだけである。熱い湯を掛け流しにしている。
小さな浴槽1つである。中性の硫黄泉で白濁、無味、甘い硫黄臭である。
6 さわやかハートピア明礬
大きなホテルの温泉。内湯はCaNaMg―SO4,HCO3で57.3度の湯が使われている。透明、無味、無臭ながら弱いすべすべのある泉質であった。
大きな1つの浴槽である。ここは露天風呂が白濁した硫黄泉で良い。以前は簡素な湯小屋であったが、この度改築され男女別の内湯付き露天風呂が新築されていた。
総計928㎎の単純硫黄泉でHS5.1㎎ H2S 23.4㎎と充分な硫黄分が含有されている。離れになっており、庭先を歩いてゆく。
内湯とそれに湯がつながった露天風呂が付いている。湯の花が多量に浮遊して白濁し、無味、硫黄臭あり、と観察した。
7 照湯温泉
新築になった照湯は妻側に鬼瓦の付いた白い壁の温泉施設になった。昔は浴槽が一つであったが、この度は男女別になった。
今回は昔ながらの石の浴槽があるほうは女湯で新築の浴槽のほうになった。正方形の浴槽が浴室の中心にあるタイプの温泉である。
98.1度の単純温泉で加水掛け流しとしている。透明、無味、かつおぶしのような硫黄臭(噴気臭)であった。
8 鉄輪温泉 渋の湯共同湯
鉄輪の中心部にある共同湯。温泉寺の下である。透明、塩味、噴気臭の鉄輪特有の食塩泉が入れられている。熱い湯である。
JR九州からの依頼で九州内の温泉を88ヶ所選び、別府温泉道のような企画を始めるということで私が選定委員長に選ばれて別府での会合に呼ばれた。九州では1000ヶ所を上回る温泉地に入浴している私は、そのなかでわずかに88ヶ所であればかなりの厳選ができると信じている。
温泉好きの永遠の聖地、別府に行くというのは興奮する。定番の鉄輪温泉の渋の湯から入浴した。
今回の選考委員にも選ばれている斉藤氏の湯雨竹で源泉のまま適温に冷まされている源泉は素晴らしく、塩ダシ味がはっきりと分かった。匂いも湯雨竹の部分から放出されており、鉄輪特有の噴気臭がわかった。87.1度の食塩泉である。
9 鉄輪温泉 かんなわ蒸し湯
渋の湯のとなりが蒸し湯である。石蕉を敷いた岩室に入りサウナのようにあたたまる。しかしここの熱さは強烈でいつも短時間しか入れない。
薄い食塩泉の内湯も併設されている。鉄輪温泉で名所のひとつであった蒸し湯が改築されてから2回目の訪問である。すでに4年経っているという。源泉は82.4度の食塩泉である。渋の湯とともに十万源泉で金龍地獄と河野源泉が足されている。しかし浴槽部分は加水されているのか透明、無味、無臭であった。蒸し湯は男女別になり貸し浴衣を着ないと入れなくなっていた。8分入るように言われたが、渋の湯で暖まった身体に8分は強烈で、5分も経たずに出てしまった。床に敷いてある薬草の石菖の香りがよかった。ただしかなりの高温である。
10 鉄輪温泉 ひょうたん温泉
別府鉄輪温泉でも特有の酸味のある食塩泉が湧出している温泉。3781㎎の食塩泉で102度である。
湯雨竹で源泉のまま適温に冷まされている源泉は素晴らしく透明、酸味がある塩味、噴気臭となっている。
施設内は温泉が数多くあり、内湯が数か所と大きな露天風呂、さらに名物の19本の打たせ湯が壮観である。
11 別府温泉 ゆわいの宿竹の井
別府温泉の旅館集中地区の北浜の中にあるビルの温泉宿。8階の屋上風呂である。総計1181㎎の芒硝食塩重層泉(Na―HCO3,Cl,SO4)で53度の温泉である。
薄く黄色になっておりモールの含有がわずかであるが認められる。無味、無臭である。しかしよわいつるつるがあった。
12 別府温泉 加賀旅館
別府一の析出物が付着した洞窟風呂には間欠的に噴出する源泉があって、壁にぶち当たりそこら中が析出物だらけになっている浴室が素晴らしいが、今回は湯を張っていなかった。
さらに源泉の湧出口にエルボを付けて壁に直接ぶつからなくなっていた。奥にある内湯に湯が張ってあり、源泉湯口からは以前の通り間欠的にボコッボコッと浴槽の中に出ていた。
湯は透明、甘味、無臭でつるつるの感触がある。別府特有の金気と渋味は無い。
13 別府温泉 野上本館
内湯大浴場に入浴した。壁に立てかけられた石は析出物が成長してさらに迫力を増していた。床にも析出物がたまりだんだん風格が出てきた。
総計1225㎎のNaCa-HCO3(土類重層泉)で55.8度である。建物の直下が源泉である。透明、甘味、無臭ですっきりとした温泉である。
14 別府温泉 ちとせ旅館
別府の街中にある民家のような小さな宿。素泊まりで1泊2500円という格安の宿である。独自源泉を持っており。玄関横に源泉があった。
湯は重層泉だと思われる。透明、無味、無臭ながら析出物が多く、浴槽の縁に迫り出して析出している。縁の立ち上がり部には10センチほどの析出物が付着して厚くなっていた。
弱いつるつるのある温泉であった。