南紀白浜温泉の個性的温泉
1 白浜温泉 白浜館 温泉地再訪
壁一面の析出物に圧倒される。塩甘味で少硫黄臭がある
白浜温泉の白良浜に面したメイン通りにある温泉。白い3階建ての建築でリゾート風な雰囲気である。高層ホテルではない。白浜温泉の泉質は以前は重曹泉であったが、汲み上げ過ぎのために海水が浸透してきて、年々、食塩泉になってきたと言われている。過去にあった源泉が硫黄を含むつるつるの重曹泉であったならば、素晴らしい温泉であっただろう。以前、民宿「望海」で甘露源泉という凄い分析表を発見した。含重曹食塩泉がほとんどの白浜で、含食塩重曹泉であった。
総計も塩分が少ないので少なく4160mgで驚くことに硫化水素イオン(HS-)が38.8mg H2S 0.92mgというものであった。この白浜館の源泉は上山湯源泉で総計10354mgの重曹食塩泉で白浜の代表的な行幸源泉に近いものである。ムロの湯源泉よりも重曹が少なく、食塩が多くなっている。76度の源泉で熱い湯が毎分450リットルも湧出している。総硫黄は1.3mg(HS 0.6 H2S 0.7)ほどで少ない。
浴室に入って驚いた。源泉を流している壁一面が幅10メートルほどに渡って析出物の鍾乳洞のようになっていた。露天風呂には岩風呂と2連の樽風呂がありこちらには付着していない。この内湯の析出物の壁は湯の児温泉の昇陽館などと同じく人為的に付きやすく流したものと思われるが、立派な造形になっている。
湯は透明、塩甘味、弱いが甘い硫黄臭と観察した。重曹を含む食塩泉であるがつるつるは感じられなかった。
2 白浜温泉 湯崎館 温泉地再訪
行幸源泉の掛け流し、つるつるの湯(レベル2)
ムロの湯近くの海岸沿いにある温泉旅館。高層ビルの建築である。海を眺める貸切露天風呂と「屋形の湯」という岩組の露天風呂、そして「竜門の湯」という内湯がある。
内湯が掛け流し量が多くここで入浴した。室内に大岩があり、熱い湯が適量掛け流しになっている。行幸源泉で分析表が2枚あり、総計8928mg・83.2度(平成元年)11150mg ・78.6度(年月日不明)の食塩泉である。
重曹分は25%(平成元年)から17.9%(不明)に減少し含重曹とも言えなくなっている。硫黄分はチオ硫酸が1.0mg(平成元年)と2.3mgである。透明、おいしい塩甘味、微硫黄臭である。ここにも湯口に析出物があり白浜館ほどではないにしろ析出物が付く泉質である。CO3が25.3mg(平成元年)と129mgと2つありずいぶん違う分析になっている。湯の感触はつるつるで気持ち良い。
3 椿温泉 元湯椿館 (再訪)
独自源泉 つるつるやや強し(レベル3)
椿温泉ははるか昔の訪問で、記憶が薄くなったので入浴しに行く。国道沿いの宿で崖地のためエントランスが8階になっており、海に向かって下がってゆく建築である。
展望の良い海の見える内湯と庭にある林の中の露天風呂がある。独自源泉の単純硫黄泉で総計241.8mg、32度という源泉である。毎分120リットルの湧出量とpH7.9で特記成分はH2Sの3.57mgである。温泉は少し加熱してすべて掛け流しである。カランも温泉である。
透明、無味、微々硫黄臭である。薄い成分総量と芒硝食塩系ながらつるつるする湯でかなり強いのが不思議であった。主な成分はNa 39.2 Mg 8.1 Cl 64 SO4 42 HCO3 10.9という組成である。CO3の分析値は無かった。この成分でつるつるする理由が見つからない、温泉とは不思議なものである。
32度という温度なので源泉浴槽があり、好感した。湾になった海の景観が美しく、青い水平線が良く見える。湯は掛け流しで入浴すると床に溢れ良い。露天風呂は裏庭にあり、石組の庭園露天風呂である。ヌル目の湯がつるつるで気持ちよい。奇麗な湯であった。