1 湯の鶴温泉 喜久屋旅館 温泉地再訪
単純泉 掛け流し 硫黄臭は感知出来なかった。
湯の鶴温泉は佇まいの良い温泉地である。温泉街は木造の温泉宿が細い道の両側に続き、滞在してみたくなるような田舎の良い温泉地の風情が溢れている。永野旅館に素泊まりで予約していたが、前日は温泉巡りの予定を消化できずにキャンセルした。中央に清流が流れており喜久屋旅館は橋を渡ってアプローチする。川に沿った白い外壁の細長い宿で奥に貸切り露天風呂や手前に内湯もあるが中央の豪快な太い木枠の半露天風呂に入浴した。
底には大きな石が敷いてあり、上からパイプで源泉を掛け流しにしている方式である。硫黄臭があった記憶であるが、この湯は透明、無味、無臭の奇麗な無個性の湯であった。しかし掛け流し量は満足行くもので、床に温泉が豪快に溢れ流れていた。
貸切り露天風呂は客室から行くような形式で畳の部屋が脱衣場である。なおこの温泉地の中でも一番の立派な建築の湯の鶴旅館が休業中のようで残念である。木造3階の立派な造りであった。
2 湯の鶴温泉 四浦屋本店 温泉地再訪
HS 4.0であるが感知出来ず 源泉変ったのが原因か?
湯の鶴温泉でもう一軒訪問してみた。川に沿って共同湯のような四浦屋本店大浴場と書かれた建築があり、入浴してみたいと思った。瀟洒な和風宿で地下部分に石造りの大浴場がある。内湯だけで湯が滔々と掛け流されていた。この温泉も透明、無味、無臭の清澄なもので硫黄臭が感知出来ない。分析表によるとHS 4.0mg の単純硫黄泉で54.1度 PH8.8である。総計796mgの源泉である。しかし源泉を掘り直したと聞き、硫黄分が減少したのではないかと推測する。
CO3 は21mg含有されつるつるの湯の感触はある。硫黄分を感じないのが残念であった。立ち寄り湯も200円と格安で9時から21時までと長時間に渡って開放されている。湯治宿の伝統であろうか、気軽な雰囲気で良い。
3 湯川内温泉 かじか荘 (再訪)
素晴らしい足元湧出源泉
湯の鶴温泉から峠を越え、鹿児島県に入った。田の頭温泉の脇を通り折尾野温泉を通り、湯川内温泉かじか荘に到着した。3回目である。そのうち1回は宿泊している。この温泉はかなり好きである。足元湧出源泉の貴重さもあるが宿の古びた外観ながら清楚な雰囲気があり、良い温泉宿である。
浴室は上下に2ヵ所あり共に男女別に足元湧出の浴槽がある。37.7度の単純硫黄泉で総計153mgと薄い成分量である。しかしその存在感は大きく、温泉は成分量だけでなく個性的な感触を発揮する成分がどれだけ含有されているかに拠る。この湯は硫化水素イオン3.2mgとチオ硫酸イオンを2.0mg、炭酸イオンCO3を32.9mg含有し炭酸イオンは59.1%で主成分になっている。NaCO3系の単純硫黄泉である。
上の湯は壁に薄石が貼られ木枠の浴槽で底は大きな石が露出し石以外は砂地である。底から気泡が絶えず立ち昇り、足元湧出温泉特有の表現になっている。女湯と底は繋がっている。青く澄み切っていて底の岩が見える奇麗な泉で神聖な雰囲気さえある。国内でも屈指の絶品の浴槽であろう。
透明、たまご味で苦味残る、硫黄臭ありと記録した。下の湯は同じく木枠の浴槽であるが、小石と砂利の底の湯小屋である。上の湯よりも神聖さは薄れているがやはり完全に透明に澄み切り底の白い砂利が見える。浴槽内の周囲に木の腰掛が造られており長湯できるようになっている。私も1時間以上入浴した。
ほぼ同じ感触の湯でつるつるの感触もやや強めである。良い温泉であった。明治時代までは島津家専用の温泉であったという、明治維新後に一般に開放されたということである。このような素晴らしい温泉は大名家専用であった。現在は誰でも利用できて良いことである。
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