1 湯の上温泉 扇屋
茅葺きの宿 湯は掛け流し
289号線で駒止峠をトンネルで難なく抜けて会津田島に出た。大川沿いに開けた会津線方面では唯一の大きな町である。下流には渓谷美があり、塔のへつりや湯の上の深い渓谷が芦の牧温泉まで続き、会津若松のある平野に流れ下っている。
湯の上には温泉が湧出し、渓谷に沿った美しい村落である。茅葺きの宿が残っており、今回扇屋と会津野の両方に行った。そのうち扇屋で入浴した。平屋の茅葺き屋根の古い民家で、玄関を入ると暗い土間の天井の高い空間である。白壁に格子の戸が繊細である。壁には古い民具や箕傘、お面、わらじなどが掛けてあり、磨かれた木の床と相俟って古い宿の風情を出していた。
広間に入ると板敷きの囲炉裏部屋に畳の食事処が繋がっている。茅葺き部分は梁や柱が真っ黒にいぶし出されており、やや暗い空間で落ち着く。浴室は別棟になっており、タイル浴槽とひのき浴槽の2つがある。ひのき浴槽の方で入浴した。
57.3度の炭酸泉で総計465.8mgの極めて清澄な湯である。弱く掛け流しで使われている。透明、無味、無臭、弱いつるつるあり、と記録した。この後、湯の上温泉でもう一軒ある会津野という茅葺きの宿にも行ってみた。
大きな2階建ての曲がり屋の造りで立派であった。露天風呂もあった。しかし茅葺きの屋根の一部が破損しており、ブルーシートで覆ってあるのが残念であった。
2 湯の上温泉 川沿い露天風呂
隣にも足元湧出の砂地の露天風呂がある。
湯の上温泉は大川が深い渓谷を作り、高い橋から眺めると深い谷底に渓流が流れている。ここの無料開放の露天風呂が川沿いにあって、深い谷を細い道で下ってゆく。近年廃止になったそうであるが、この横の川原は源泉湧出地で底を掘ると温泉が湧出する。
小型乗用車でもやっと切り返しができる細い道で、川沿いに降りれる道が付いている。川に下ると大きな水量のある川で雪解けの水を含んで太く速い流れになっていて豪快であった。コンクリートの四角い浴槽が川に迫って位置し、数人の客が入浴していた。
湯はやや熱め適温である。谷の両側の木々が新緑で美しい。透明、無味、無臭ながら掛け流しであり良い温泉であった。湯の上温泉同系の単純泉であろう。
またこの露天風呂の川沿いは源泉湧出地になっており、砂地を掘ると温泉が湧出する。この話を以前聞いてこのたび再訪してみたのである。川岸にかなり大きな浴槽が作られており、やや浅めであるがスコップも用意されていて底を適度に掘ると入浴出来る深さになった。適温の温泉である。
足元の砂の中から温泉が湧出し、尻が熱くなる。この場で湧出しているのが実感できて満足であった。写真を撮ると川に沿った天然砂風呂になり美しい風景の写真となった。
すぐ横にダムの排水口があり、水が川に合流している。大量の水で迫力満点である。この天然砂風呂の横がその合流点で川の水は渦を巻き猛烈な速さで流れ下り豪快な背景であった。
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