1 仙人湯温泉 後立山連峰が見える絶景の露天風呂 小さな屋根付きの内湯はジモ専風 単純硫黄泉 透明、微酸味、湯口少硫黄臭
仙人湯遠景
仙人湯に行くには、阿曽原温泉小屋から2時間半の急登のはずであった。ここから仙人湯を往復してけやき平に戻る予定であったがこのコースは通行止めになっていた。驚いたが仕方がない。雪渓が崩落して道が寸断しているとのことである。予定を変更して翌日は仙人湯往復だけになりそうだ。まず登りであるが、仙人ダムまで水平歩道を行き、そこから尾根を急登するコースが今年から開削されていた。
源泉地帯
仙人湯まで登り5時間である。下りは同じ道で3時間半とのことである。8時間半を要するコースになっていた。ここまで来たら行くしかない。早朝に出て、なるべく早く阿曽原小屋まで戻り、水平歩道をけやき平まで下れるかどうか、体調で判断しようということにした。山の朝は早い、4時起床で4時半出発であれば8時間半のコースに入浴時間1時間を見て9時間半の時間がかかるので、14時に帰り着くことになる。やはりこの阿曽原温泉小屋にもう1泊であろう。
予定通り4時半に阿曽原を出発して水平歩道まで急斜面を登る。まだ足元は暗い。ようよう明るくなり5時半に仙人ダムの地点に到着した。そこから鼻が付きそうなくらいの急斜面の登りである。至るところにはしごやチェーン、ザイルが張ってある。飽きずに登るしかない。朝で気温もまだあまり高くなっていなかったのも幸いして7時に約1400メートル地点で朝弁当を食べた。尾根に出るとさすがに北アルプスの一角である。後立山の稜線が見えてきた。白馬岳から鑓ガ岳、唐松岳、鹿島槍ガ岳、爺ガ岳まで一望に眺められる。ところどころに残雪も見える。
急な登りだが景観は美しい。7時半にやっと1629メートルピークに達し、あとは仙人湯の源泉の前を巻いて仙人湯小屋までのトラバースルートである。8時丁度に仙人温泉小屋に到着した。荷物を大幅に減らし阿曽原に置いてきたので3時間半で登ることができた。早い到着時間になって良かった。源泉のところは湯の川が流れている。かなり高温で熱い湯である。
少量飲んでみるとやや酸味を感じた。岩が赤銅色に染まっているので明礬系の単純泉であろう。仙人温泉小屋には露天風呂と屋根付きの浴槽の2箇所あり両方ともなかなか良かった。露天風呂は絶景の大展望である。前記の後立山連峰が浴槽からすべて見える。
湯は単純泉だろうが仄かな個性もある。透明、少明礬酸味、噴気臭ありと記録した。もう一つの屋根のある湯小屋の風情が良い、天然岩の浴槽にバラックのような簡素な屋根が掛かり、地元専用共同湯か個人宅温泉のようである。この湯も熱いので少量加水していた。しかし遥かに遠い山の湯で景観も良く素晴らしい温泉である。
江戸時代の昔から利用されていたらしく、剣岳の裏の稜線を越えてやってきたということである。約1時間の入浴の後9時に来た道を戻る。下りは急でまっ逆さまに落ちる感じである。ザイルや鎖につかまり上半身の筋肉もなるべく使うと足の負担が少ない。一心不乱に下る。阿曽原温泉小屋に12時に着いた。3時間の下りで合計2時間の短縮であった。しかしこの後に水平歩道を5時間歩くのは7時間近くの歩きをしてきたので、明日にすることとした。
昼から山小屋に滞在してゆっくりとした時間を過ごした。昼寝をしたり、阿曽原温泉にも入浴しに行った。山小屋はまた同じ部屋であった。
2 仙人ダム温泉 関西電力寮の浴室、特別許可 透明、無味、無臭 掛け流し 地熱のあるトンネルより引き湯
仙人湯からの仙人ダムに下ると、関西電力の寮が2棟建っている。そのうちの一つは外から見ても温泉とわかる浴室があり、きっと温泉であろうと推測した。帰りにお願いして入浴させていただいた。この地区の関西電力の施設は閉鎖的な状況で、「許可を取ってきたか?」とか、「一般は入室不可である」とのことである。やや粘った末に許可が出た。
この温泉こそが高熱隧道からの温泉を利用している。登山道も一部ダム付近は隧道に入るが中からサウナのような高温の熱気が出ており温泉源泉として充分である。この寮に貯湯槽から引いている図面があった。きれいな湯で個性のほとんどない透明、無味、無臭の湯である。浴槽から床一杯に湯が掛け流しで利用されていた。
唯一の個性は弱いがつるつるの感触があった。タイル貼りのきれいな浴室であった。
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