1 見立温泉
林道に着くまで道路決壊のため、進入禁止のポールが2ヵ所ある。それらをどけて先に進むが林道はレンタカーのビッツでは腹をこすり放し、いつ亀の子状態になりそうな荒れた林道で諦める。村まで戻り、交渉の末軽トラックで案内してもらうことに成功した。温泉は私が引き返した地点より1キロほど先であった。入口は草に覆われ案内人がいなければ分からなかった。適温の良い温泉
夏油温泉の山を下り、錦秋湖畔を通り穴湯っこの奥にある見立の湯に行った。以前から知っていたが、なぜかまだ未湯で残っていた。道路から徒歩5分と聞いていたので安心していたが道路が決壊していて通行止めである。
最後の民家のところでカラーコーンの進入禁止が立っていたが、行けるところまで行って見ようと、走ってゆく、まだ見立の湯入り口まで遠い地点である。道路は舗装してあるがこの夏は通行止めで人が入っていないのであろう、草が両側から伸びて細い道幅になっていた。不安ながら走ってゆくと2つ目の通行止めがあり、路肩がえぐられそうになっている。ここも突破してついに未舗装になる。
しかし雨のために路面が荒れていて、レンタカーでは腹が摺りっぱなしである。いつか進退不能になるのを恐れて引き返した。迷っていると釣り人が現れ、見立の湯を知っているという。その人を乗せて再度林道を戻り、案内してもらうが入り口がわからない。先ほどより奥まで行ったが、その人も入り口が分からないと言った。
しかたがなく民家のところまで戻り人を探し、見立の湯の入り口を聞いた。しかし言葉では分からないので、その人の軽トラックに乗せてもらうことになった。案内してもらった。謝礼は受け取らなかったが最後にトラックの椅子のところに置いてきた。
先に引き返したところの1kmほど先であった。比較的新しい見立の湯の看板はあるが、入り口は草に覆われ分からなくなっていた。道路からすこし入ると、明確な道が付いておりほんとうに5分くらいでタイル貼りの浴槽に到着した。すこし手前にコンクリートの源泉槽がありそこからパイプで引いているそうだ.。
その源泉槽の沢に手を入れると適温の湯が流れていた。こちらでも子供プールで入浴出来そうである。さてタイル浴槽は2連になっており今回は片側にしか湯は張られていなかった。透明、少苦味、無臭の湯で綺麗に掃除されていて快適である。39度ほどで夏は適温である。入り口は草に覆われてしまったが誰かが来て清掃したのであろう。快適な野湯であった。
2 鉛温泉 藤三旅館 (再訪)
湯治部泊 足元湧出温泉の白猿の湯は健在。
鉛温泉の湯治部に泊まって良かった。2食付で5800円ほどである。驚いたことに、食事は部屋出しである。木造3階の古い棟で、旅館部のとなりにある。3連休とあって若い人や女性のグループも見受けられた。ここ藤三旅館の名物は混浴の内湯で大きな吹き抜けの底にある白猿の湯であろう。
私もそのために再訪した。天然岩を刳り貫いた足元湧出源泉浴槽で深いので立って入浴する珍しい温泉である。大きな空間と長年使われた浴槽で風格がある。まさにこの足元から湧出しているのが素晴らしい。
昔は河原であったのであろう、半地下のような大きな空間で高い天井の銭湯よりもさらに大きい空間である。湯治部では河鹿の湯という内湯と桂の湯という内湯と露天風呂が付いた浴場も利用できる。桂の湯は露天風呂が2つあり一つは豊沢川の清流に沿った野趣に富んだものであった。以前あったアトミック風呂は改修され白糸の湯、竜宮の湯となった。こちらは旅館部専用である。
部屋は一人旅では充分な広さの6帖間で、一人でくつろいでいると湯治部で充分である。湯は下の湯源泉と河鹿の湯源泉でともに単純温泉で50.2度と50.4度である。透明、無味、無臭のきれいな湯ながら掛け流しで使われよい温泉である。
3 大沢温泉 (再訪)
ここの自炊部か菊水館に泊まりたかったが満室。菊水館は8月の予定まで聞いたが、休前日全室予約済 アルカリ性単純泉 透明、無味、無臭 つるつるの湯 CO3 23.7mg
大沢温泉は鉛温泉の下流にある大きな一軒宿。山水閣と自炊部、菊水館の3つに分かれている。茅葺きの建築で風情のある菊水館に泊まりたかったが、大人気で予約は一杯である。ちなみに7月だけでなく8月もすべて満室であった。
都会の人は乳頭温泉の鶴の湯やここなどの茅葺きの宿に泊まってゆっくりとしてタイムスリップしたいのだと思う。私もその一人である。自炊部も満室であった。泊まれなかったので朝に日帰り入浴した。
まずここの有名な混浴露天風呂の大沢の湯に入浴した。豊沢川に沿った大きな露天風呂で水色のタイルが底に貼ってあり明るい露天風呂である。透明、無味、無臭ながらつるつるの湯で分析表を見てみると51度のアルカリ性単純温泉でCO3が23.7mgも含有されていた。
対岸に見える菊水館の茅葺きの棟の風情が良く泊まりたい宿である。次に菊水館の内湯、南部の湯に行く。木造の浴槽に伊豆石の床で窓を開けているので半露天風呂のようだ。自炊部の大浴場はコンクリート造の薬師の湯で2つの浴槽がある。
最後に山水閣にある半露天風呂の豊沢の湯に行った。大きな岩を組んだ内湯ながら窓が開放され半露天風呂になっていた。51度のアルカリ性単純温泉が毎分753リットルも湧出し湯量豊富な温泉である。
4 鬼が城温泉
後生掛から徒歩2時間 硫化水素の心配ありでガスマスクにて入浴
花巻温泉郷から高速道路に乗って八幡平に来た。後生掛温泉の自炊部に「本日泊まりますがこれから焼山の温泉に行きます」と告げて登山道を登り始める。なんとこの登山道は後生掛温泉の浴室の渡り廊下の間から始まっていた。
アスピーテ型火山である八幡平は急峻な山ではなく。緩やかな傾斜である。しかし徐々に高度を上げて1時間もすると全身汗だくになった。ひとりの山行は不安なものである。前を歩いていたカップルに話しかけ一緒に登って行った。また鬼が城、硫黄取りともに硫化水素ガスの不安があり、また火口のために急斜面であるなどの、事前調査が不安を募らせていた。
もうせん峠までの登りを過ぎると、稜線に出て楽になる。次の名残峠までの間に鬼が城の火口温泉があるのだ。後生掛温泉から玉川温泉までを結ぶ登山道は整備され不安はない。後生掛玉川中間点の道標を過ぎると非難小屋がありここで昼食とした。
この小屋の中で6人のパーティが居てこれから鬼が城の温泉に行くと言うと、その人たちも行くことになった。私はガスマスクを持っているがその人たちは危険である。しかし確かめながら行くと言い私に付いて来た。鬼が城の火口を眺める稜線に出ると素晴らしい光景である。真っ白な水面と背後の沸騰する噴気群が見えた。
急斜面を下り一番手前に足を付けてみるとヌルい温度である。32度くらいであろう。足元は白い析出物が泥田のように堆積し足が沼のようにもぐる。中央部や対岸は猛烈に温度が高そうであるが手前側ならばヌル湯であった。少し深いところまで行き入浴した。湯は万座に似たPH3くらいの酸性硫黄泉であろう。濃い白濁、酸味、強い硫黄臭と観察した。
5 硫黄取りの湯
鬼が城の裏手の沢、20分から30分の歩きで着く。帰りの急斜面の登りが疲れる。 この後玉川温泉まで1時間半
鬼が城の温泉に入浴した後に近くの硫黄取りの湯に向かう。登山道から反対側の稜線の鞍部に向かい登り、沢を見下ろす。10分ほど進むと噴気のある地点が見えてきた。そこには茶色に染まった木材もあり、硫黄取りの湯だと思い急斜面を下って行く。
落石を発生させながら下ってゆく。下に人がいたらたいへんである。噴気地点に着くとそれは大きなボッケ(沸騰源泉)で2mほどの湯溜りが沸騰していた。さらに横にはやや高温の硫黄泉が湧出している場所も発見した。
ボッケから湧出する湯が沢水と混じり適温になる地点と、硫黄泉の湧出している下流で入浴した。さらに下流にはもっと源泉があるということだがここで引き返した。湯は酸性硫黄泉で白濁、酸味、硫黄臭という強い硫黄泉の典型のような源泉である。鬼が城と同系と観察した。
6 玉川温泉の川
登山道から玉川の噴煙を見ながら下ってきて、一番最初に渡る沢。白い水だなあと思い、手を入れてみると適温、硫黄臭の良い湯であった。
鬼が城と硫黄取り温泉に入浴し後生掛温泉に戻ろうと思ったが、玉川に下るほうが近いというので玉川温泉に下った。山の上からもはっきりとわかる玉川温泉の噴気群が見え出した。山登りの終点に近づいた。荒涼とした玉川温泉の源泉地帯が大きくなりついに下り付いた。至るところから噴気が噴き出し、壮絶な景色となった。
階段の登山道を下りきってから最初に川を渡るが、その色が白濁している。興味本位で下って手を入れてみると適温の湯が流れていた。白濁、硫黄甘味、硫黄臭の湯でそちこちの噴気から溢れた湯が沢に流れ込んで温度があるのであろう。玉川大噴きの強酸性泉ではなく白濁の硫黄泉である。酸味はなかった。橋の上下たくさんの入浴スポットがありいろいろ楽しんだ。
温泉めぐりは予定以外のこういう楽しみも醍醐味である。しかし玉川の岩盤浴のところにある露天風呂がカラであった。入浴しようと思っていたが残念。
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