1鳴子温泉 滝の湯共同湯 (再訪)
酸性硫黄Na、Al,Ca,Fe-SO4泉 46.2度 町営下地獄源泉 白濁、酸味、硫黄臭
滝の湯は鳴子の有名な共同湯で混雑していた。小さな湯小屋ながら大きめな内湯浴槽が室内に大きく取られている。裏側に打たせ湯がありこちらが温泉神社源泉で、浴槽が町営下地獄源泉である。分析表ではPH2.8の酸性泉で酸性硫黄緑礬石膏明礬泉である。
鳴子での酸性泉は少なく珍しい。裏手の地獄地形の表層水なのであろう。すぐ隣のゆさやの源泉はアルカリ性である。青森ひばの床、浴槽で46.2度の源泉が大きな樋から掛け流されている。真っ白に白濁し、酸味、硫黄臭の温泉である。ヌル目の打たせ湯の源泉は炭酸味がした。
2鳴子温泉 ゆさや (再訪)
硫黄Na-SO4 99.5度 HS 83.4 CO3 90.0 緑色、硫黄エグ味、たまご味、硫黄臭あり、つるつるの湯
うなぎ湯の本家で有名なゆさやである。滝の湯の隣にあり、100メートル以内の掘削でまったく違った源泉が湧出している。99.5度の含硫黄芒硝泉でPH 8.9である。硫黄の含有量が多く全国でも屈指のHS 83.4mgを誇っている。CO3も90mg含有されつるつるの湯になっている。
重曹泉でなくても炭酸イオン(CO3)が存在すればつるつるするのである。緑色不透明、硫黄たまごエグ味、硫黄臭と観察した。今回はつるつるが少々弱かったような気がした。好調であれば中山平に匹敵するつるつるであるが、やや少なめであった。
3鳴子温泉 すがわら (再訪)
透明、少エグ味、少薬品臭 CO3 50.3 H2SiO3 498.6 つるつるの湯
鳴子の東寄りにある宿。平成20年に分析し直すと、総量が倍増したとのこと。またCO3が50.3mg メタ珪酸が498.6mgと個性的物質も含有したまに青くなる温泉である。
別府や湯布院の一部に見られた青い湯は、鳴子にもあったのだ。東の横綱と思われる多数の泉質と個性的な湯がたくさんある鳴子にまた変り種の温泉を発見した。透明、少エグ味、少薬品臭でつるつるの湯であった。今回は青くなかったが青くなった写真をみた。
4東鳴子温泉 まるみや (再訪)
薄赤褐色、渋エグ味、少金気臭 鄙びた湯治場、日帰り不可
東鳴子温泉は鉄分を含み赤味をもった源泉の赤湯と黒い湯の重曹泉が湧出する温泉地で各旅館によってその個性が違い、素晴らしい温泉地帯である。東鳴子の入り口に近い鳴子温泉寄りのまるみやは独自源泉の浴槽が良い湯で薄い赤褐色の色の湯である。
47.5度の重曹泉で溶存1016mgの薄いものだが、鉄分を1.2+1.5で2.7mg含有し存在感のある湯になっている。弱い炭酸味も感知できる新鮮な湯である。薄赤褐色、渋エグ味、少金気臭と観察した。
半地下のようなコンクリート浴槽が独自源泉の浴槽で、1階には赤湯共同源泉を使用している浴槽もある。こちらは透明で存在感は少ない。日帰り入浴不可の湯治専門宿で古い風情のある建築であった。
5東鳴子温泉 田中旅館 (再訪)現在廃業しました
黒褐色、エグ味+苦味残る、油刺激臭多し 円形のドーナツ型浴室
東鳴子の東部に行くと黒湯が湧出している。代表的な例が田中旅館である。黒褐色の湯でエグ味+苦味残る、油臭多しと記録した。特に匂いが強烈で、刺激的な油臭が印象的である。ほかには初音旅館や高友旅館、馬場温泉なども黒湯である。80.5度の重曹泉で総計1808mgと1722mgの2枚の分析表があった。
ドーナツ型の浴槽で穴の部分は吹き抜けで外部になっている。変った浴槽で混浴である。東京の黒湯が高温で湧出し、さらに油臭がするといった温泉である。強い存在感のある温泉である。古いコンクリート造の浴室棟で宿は奥に木造の瀟洒なものが建っている。昔、鳴子に初めて来た時に泊まった温泉である。20年近く前であるが時間が止まったかのように同じく存在していた。
6東鳴子温泉 高友旅館 (再訪)
黒湯はオリーブ色、刺激味、タール臭 ひょうたん湯は薄褐色、エグ味強し、油臭
田中旅館の前にあるのが高友旅館である。ここには名湯「黒湯」とシャボン玉のような泡が表面に出来る「ラムネ湯」が有名である。木造の大きな宿で迷路のように建っている。大浴場的に使われているのが黒湯で混浴である。以前は4ヶ所の浴槽はみな混浴であったが今回はラムネ湯が女湯、ひょうたん湯が男湯になっていた。ラムネ湯とひょうたん湯は同じ源泉なので良いだろう。
しかし湯の入れ方で泡の浮くラムネ風呂に入れなくなったのは残念であった。黒湯はその名前のごとく黒いわけではなく、オリーブ色である。黄褐色の濃いものである。刺激味で、タール臭がある。幸の湯源泉で59.2度の含硫黄重曹泉(S-Na―HCO3)でHS 2.4mg H2S 2.2mg CO2 189mgである。しかしアスファルトのタールのような刺激臭が特殊である。
油臭の濃さは田中旅館に一歩譲るが、すこし匂いの種類が違う。ラムネ湯に使われている玉の湯源泉は51度の含硫黄重曹泉で薄褐色透明、エグ味強し、油臭である。つるつるがやや強めで良い感触の温泉であった。朝一番の掻き回されていない時には表面一面にシャボン玉のような泡が付くのである。何度か遭遇したことがある。
7馬場温泉 湯小屋 (再訪)
黒褐色(コーラ色)刺激味、少油臭あり、つるつるの湯 泡付きあり、47度前後の熱い湯
馬場温泉の庭先にある国指定の文化財でもある湯小屋は立て替えられていた。もう5年になるというので、それ以上のご無沙汰であったわけだ。風雪で板の表面も茶色に染まり風格が出てきた。以前のものとあまり変らない感じで建っていた。文化財でも同じように立て替えて良いのだそうだ。
ここの湯はいつ来ても熱い。今回は夏なので、48度くらいの熱い湯になっていた。入浴すると泡付きがあり新鮮な良い湯である。匂いも良い。しかしなんせ熱すぎて長湯が出来ないのが残念である。ここは冬向けである。黒褐色(コーラ色)、刺激味、少油臭であった。つるつるの感触もあり、色、味、匂いの個性もはっきりとある名湯である。東鳴子の宝である。
なお別源泉が母屋と宿の間にあり、温度もあり似たような源泉ながら使われておらず、ただ捨てられているのがもったいなかった。宿の湯は同系の重曹泉でコンクリートの湯小屋に三角形の浴槽がある。屋根は木造である。自炊もやっている新しい湯治宿である。ここに泊まり中庭の湯小屋で湯三昧すれば素敵であろう。次回の楽しみとしたい。
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