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2012/12/22 新情報 
東ティモールの温泉2 

東ティモールの温泉の後半、離島のヴィケリ温泉と 山中の秘湯 ボボララン温泉、 草津の湯畑のように湧出し多きな50mプールのような浴槽の

あるマロボ温泉の三箇所である。

 

3ヴィケリ温泉 (アタウロ島)

東ティモールに行くだけでも大変なのに、ディリから離島に行く温泉。船をチャーターして行くのでこのような外務省の依頼でないと非常に高価であると思われる。



朝の7時半に乗船してちょうどディリの北側にあるアタウロ島に向かう。ホテルティモールの前の海岸がディリ港になっているので徒歩ですぐである。



ホンダ製225馬力のエンジンを付けた10人ほど乗れる船でアタウロ島に向かう。2時間かかり9時30分にアタウロ島に到着した。



小さな集落があるだけで、そのほかはまるで自然のままである。アタウロ島の港からさらに小さな船に乗り換えて温泉に向かう。4人ほどしか乗れない小さな細い船で両側に転倒防止の浮きが付いているタイプである。15馬力のヤマハエンジンである。ヴィケリ温泉は2か所にあり、「岩場の湯」と「砂浜の湯」がある。



まずこの小型船で30分以上で岩場の湯に到着した。岩の多い遠浅の海岸に温泉が湧出し、浜一帯が熱い。海に負けない温泉の湯量であるので合計すればすごい湧出量であろう。

                                                         岩場の湯

透明、強塩味、無臭で源泉は65~70度であろう。NaCa-Cl泉と思われる。海水より薄いので20グラムほどの総量と思われる。岩が多いが砂地も多く足元から温泉がどんどん涌いている。

                    岩場の湯

「岩場の湯」と呼ぶのは次に行く温泉が砂浜の上の陸地から湧出し海に流れ込んでいるためである。その岩場の温泉から、ふたたび小型船に乗り10分ほど行くとマングローブの林が海岸に沿って広がっている。

                   岩場の湯

その奥の海岸が温泉湧出地であった。「砂浜の湯」と呼ぶ。海際の海岸線上に湧出地があって少量の湯が海に流れ込んでいる。しかし砂浜がマングローブで湖状に閉鎖されているので大きな円形のプールのように温度のある湯溜りになっていた。こちらでも適温である。また海岸の上にそちこちにある湯溜りにも入浴できる。

                   砂浜の湯 遠景

20から22グラムの海水より薄い食塩泉で苦味もあるのでカルシウムも入っているであろう。この2つの温泉はほぼ同系であろう。熱いところでは60~70度のところもある。



砂浜の湯

熱い湯口を観察すると痕跡であるが硫黄臭も感知できた。ここの景観は美しく、穏やかな海とマングローブの林の間に温泉があり、海岸から湧出している熱い湯が表面に漂っているので浅いところで掻き回して入浴すると適温である。



東ティモールでも秘湯とも言ってよい海中温泉で日本では体験できない良い経験であった。小型船から10人乗りのやや大きな船に乗り代えてティモール本島に帰った。

                  砂浜の湯 源泉地

途中にアタウロ島の入り江でイルカが出没する地点に行って船の上で昼食をとった。今回はイルカは現れなかったが、船から海に飛び込んで泳いで遊んだ。ディリに帰り着いたのは午後遅くであった。






4ボボララン温泉

翌日はディリより西に走り、1日かけてインドネシア国境の近くのマリアナへ行く。ここに泊まり1日目には山の中にある徒歩1時間半の野湯ボボララン温泉へ行った。翌日、このツアー最大のハイライト、マロボ温泉に行く。宿泊はマリアナの小さなホテルでシャワーも水である。最初に行ったピリラ温泉の前を通りさらに西に向かってゆく。途中ポルトガル統治時代の遺跡で休憩。城のようになっており、コーナーに青銅のカノン砲が設置されていた。



東ティモールはどこでも人が住んでおり。日本でも特に北海道のようにオールオアナッシングではなく、どこにでも民家が点在している。子供が多く、将来人口は増えるであろう。主な交通機関は裕福な人でバイクである。道で交差するバスはどれも満員である。屋根に乗っている人や、ドアに捕まっている人もいる。



マリアナ部落に着き昼食をとる。手羽先のゴーヤ炒めを食した。ボボララン温泉は地方集落のマリアナから50分の村に行きそこから急な悪路の林道を30分以上走り林道終点まで行く。 その後歩き45分ほどである。林道を行けたので歩きが半分になり、普通は歩き1時間半であるという。妙義山のような峨々たる山の中腹にあり、山道を登ってゆく。



こんなに上に温泉があるのだろうかという思いがしてきたときに、沢の水流の音が聞こえ温泉が近いことがわかった。硫黄の匂いがしたと思うと温泉がすぐあった。硫化水素イオン5から10㎎の単純硫黄泉であろう。透明、たまご味、硫黄臭である。35から36度の源泉が岩より湧出し、3本の竹の樋で打たせ湯のように垂れ流されている。ここは東ティモールで唯一、子供プールが必要な温泉であった。湧出量は毎分150リットルほどで樋の先は温泉の小川になっている。



その途中に子供プールを開き温泉を溜めて入浴した。これで海中温泉、強食塩泉のピリラ温泉、離島のヴィケリ温泉の食塩泉とワイカナ温泉の石膏泉に続き単純硫黄泉があったことになる。この日はここからマリアナ部落に戻り昼食と同じレストランで夕食を取り、リスキーホテルという物騒な名前のホテルに泊まった。



 



 

5マロボ温泉

この東ティモールの温泉行きで一番の楽しみにしていた温泉。東ティモール西部のマリアナから南に下ってゆく。大きな山を越えて行く。



東ティモールははげ山が多く密林ではない。まるで南米のマチュピチュ遺跡に行くような高低差の大きな道路である。遥か下に谷底があり、視線の上には急峻な岩山がある。



その中をオフロードの悪路を進む。高い三角形の山の裏側に回り込む形で進んでゆく。温泉の近くで道路が悪くなり、急な下りになるがそこで車を止めて徒歩で下ってゆく。車はパジェロとランドクルーザーであるが登って帰れなくなる可能性があるほどの下りである。



ここは温度もあり湯量も豊富なのでポルトガル時代に開発されて石組みの露天風呂と階段状の湯冷まし階段のような設備ができている。車の終点より徒歩30分である。行きは急な下りであるが帰りは登りで辛そうである。途中に石造りのポルトガルが作った建築跡が残っており、宿泊のホテルだったようである。



この温泉は緩やかな斜面に湧出しており、源泉湯畑から段々で下り、露天風呂に注がれているのと、湯の川になって流れ去っているのと、どこで使われているか不明だが配管によって引かれている源泉の大きく3つに分かれている。



このマロボ温泉は48度くらいの含硫黄石膏泉(S-Ca-SO4)と推測され、白濁または緑白濁、青白濁している浴槽があるので硫化水素分は30㎎ほどあるだろう。酸味はなく硫黄泉と言ってよいであろう。



総計は2500~3000㎎と推測した。薄緑色不透明、たまご味、石膏苦味、硫黄臭多し、である。毎分2000リットルほどの湧出量があり、草津の湯畑のような源泉地から湧出し、階段状の湯流しを通り50メートルプールのような大きな浴槽に入れられている。



こぼれた湯は小川になり、緑色白濁だけでなく、そちこちで青白濁した湯溜りや白濁した湯溜りを造っている。色が湯溜りによって違い、写真の構図によって違う温泉のように見える。



たくさんの撮影位置があり、非常に多くの写真を撮った。しかしこの温泉の多様な全容を理解できないほどである。大きな50メートルプールのような大浴槽は腰の深さからだんだん深くなり一番奥は足が立たないほどの2メートル以上の深さになっている。



ここの特徴は日本ではすでに数少なくなった、鉱泥が底に堆積していることである。例で言えば阿蘇の地獄温泉すずめの湯のようである。しかし入浴者が少ないので多量に残っており足元からすくって肌に塗りつけることができる。10センチ以上はたまっているであろう。



48度くらいの源泉は大露天風呂では43度ほどに下がり日本人には適温である。しかし現地人には熱すぎるようである。私の意見ではこの大露天風呂のオーバーフローでさらに下に露天風呂を造ると40度以下になって良いであろう。



湯の川の各所で写真を撮り、大きな露天風呂では絵になりづらい、段々の湯冷まし場では打たせ湯のような写真を撮った。



このマロボ温泉は日本の温泉に比べても草津ほどのポテンシャルを持っており、放置されているのは残念である。まず道路整備と現地人用のヌルい浴槽を造ることが急がれると思われる。



 





 

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